劇場公開日 2012年8月18日

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「死んだように生きるな、死にもの狂いで生きろ!」THE GREY 凍える太陽 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0死んだように生きるな、死にもの狂いで生きろ!

2012年8月25日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

名優L・ニーソンが『特攻野郎Aチーム』のJ・カーナハンと再タッグを組んだサバイバル劇。
カーナハン監督は今やブッ飛びアクション専門の印象が強いが、今作は彼が注目された『NARC』により印象が近いかな。
殺伐としたアクションと重厚なドラマ性。彼は多分こっちが本領じゃないかしらと思う。

やー、しかし過酷極まりないサバイバルでしたよ!
墜落シーンの恐ろしい臨場感。観るだけで骨まで凍えそうな白銀地獄。
そして勿論、狼。狼がひたすらに恐ろしい。

最初はね、狼っつってもフサフサ大きめの犬みたいなのを想像してたんですよ、僕は。
ところがそんなレベルじゃない。とにかくデカく、凶暴で、死なない。
一匹殺すにも死にもの狂い。群れで襲われたら全く太刀打ちできない。
奴らはまるで大自然の無慈悲さの化身だ。
満を持して登場した黒く巨大なアルファ(群れの長)の姿には威厳すら感じた。

なんでもアラスカの狼は実際に体長150センチ位あるそうな。
ゴールデンレトリバーより明らかにデカく凶暴な輩が、群れ成して襲い掛かってくる感じですよ。
束の間の和やかなシーンでも画面の死角からいきなり襲撃されるのではとハラハラし通し。心臓に悪い……。

だが中盤以降が少し難アリか。
物語上仕方無いとはいえ、森や雪原をひたすら歩く展開が続くのでちょいと緩慢に感じる。
狼の襲撃に関しても、物語が滞り始めた頃を見計らったように
ぐるるるぐわんと襲い掛かってくる感じを少し受けた。
都合の良い脚本だと感じてしまったかなあ。

あとは、あのラストをどう取るか。
尻切れトンボな結末と考える方もいるでしょうが、個人的にはあれで決着は付いてたと思います。
主人公の再生を決着と呼ぶなら。生きる気力を失い死人同然だった主人公が、
再び『この生を闘い抜こう』と立ち上がるまでの道程だったとするなら。

「大切な想い出は闘う力になる」

生きたくて生きたくて死んでいった者達の無念を背負って生きる。
あるいは、忘れたくない想い出を忘れない為に生きる。
最強の敵=“死”と闘い抜く事は、後ろに遺してきた者達への弔いであると同時に、
彼等をどれだけ大事に想っていたかを自身に証明する事だ。

だから、死んだように生きるな。
死にもの狂いで生きろ!!

あの終着点は……主人公には絶望ではなく、救済だったのかも。
彼の願いは聞き届けられていたのかも。
骨太な佳作でした。

<2012/8/18鑑賞>

浮遊きびなご
りりーさんのコメント
2012年8月26日

きびなごさん

こんいちは。
こちらへお邪魔させていただきました。

いつも的確な言葉で感想を書いていらっしゃって、いつも羨望の眼差しで拝見させていただいています。

≪あの終着点は……主人公には絶望ではなく、救済だったのかも。≫
私もそう思います。
寒い中、早く狼たちから逃げないといけない中、
集めた○○○もしっかり持っていましたものね。
同じ想いで安心しました。

映画は私の生活に彩りを添えてくれているのは確かです。

映画って良いですね。

りりー