劇場公開日 2012年8月18日

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THE GREY 凍える太陽 : 映画評論・批評

2012年8月14日更新

2012年8月18日より丸の内ピカデリーほかにてロードショー

大雪原の猛獣アクション映画の形をとった極限の“サバイバル”ドラマ

アラスカの山奥に飛行機が墜落した。奇跡的に生き残った男たちは救援の望めない大雪原で孤立し、獰猛な狼の群れにつきまとわれる。しかし心配は無用だ。生存者の中には、リーアム・ニーソン扮する頼もしいタフガイがいる。彼のリーダーシップに従えば、きっと愛する家族のもとに帰れるはずだ……。

こうした見立てのもと“リーアム・ニーソンVS狼軍団“の豪快なバトルを待ち構えていた筆者は、予想外の展開に驚かされた。登場人物は狼の猛攻に圧倒されっぱなしで、反撃に転じるシーンはさっぱり訪れない。主人公オットウェイは狼退治専門のスナイパーという設定だが、墜落時にライフルを失い、狼に関する知識を逃げることに活用するのみ。ひとりまたひとりと命を落とす壮絶な物語が、リアリティと臨場感を追求したハードな演出で描かれ、観ているこちらまで精神的に追いつめられる。

そう、ジョー・カーナハン監督の狙いは、観客に爽快なスリルを提供することではない。寒さや飢え、狼の襲撃にも耐え抜いた生存者たちは、さらなる思いがけないハードルに行く手を阻まれる。それは偶然や運命、人生の皮肉、神の悪戯といった目には見えない障害物。登場人物それぞれの個人的な苦悩のドラマも絡む本作は、B級アクションや動物パニック映画の枠をはみ出し、極限のサバイバル劇へと突き進んでいく。正直疲れるが、物凄い見応えだ。おまけに生と死という崇高なテーマに挑んだカーナハン監督は、最後に主人公が立ち向かうべき試練として、この物語上、考えうる限り最も皮肉で絶望的な状況を用意しているのだ!

高橋諭治

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