果てなき路のレビュー・感想・評価
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素晴らしすぎる
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果てなき路の終点である行き止まりのトンネルで犯罪が行われ、男女は、死体を替え玉にして逃げる…という実話の映画を撮るにあたり、監督はイメージぴったりの女優を抜擢し、加速度的に彼女との愛を深めながら撮影を進めてゆく。
ぴったりなのは当然のこと。ローレルはヴェルマ本人である。女優が登場人物の役になりきるのではなく、登場人物が女優になりきっているのだ。
男優もセスナ機で墜落するタッシェン本人だ。
そして、実話ではヴェルマは自殺したことになっている。
で、キューバの政治的な思惑も絡みながら、保険調査員がその事実に気づく。ヴェルマが生きていては辻褄が合わない。そしてついに悲劇が起きる。
監督は発砲したあと二人の遺体を撮影するが、その様子を謎の撮影クルーが囲んでいる。
何も知らない無邪気な映画監督の話を、別の監督が撮っているようだ。
ラストの監獄の面会シーンでも、ナタリーが最後の撮影を終えた感じだし。ものすごく不気味だ。
撮ることと観ることを同時に体験することは、虚構と現実の境界線があいまいになる。まるで映画という無限ループに入り込んでしまった感覚。
で、まんまとループにはまった私は、終わった瞬間に「もう一度観たい!」と思わされた。
「第七の封印」の悪魔が引用されている。悪魔は、何かを途中で頓挫させ終わらせる残酷さと同時に、何かを「永遠」に残すというチャーミングなところがあるようだ。
無限ループの中で、目を閉じたヴェルマの顔は永遠に美しい。
モンテヘルマンの前作、あの名作『断絶』のローリーもまた永遠だ。エンディングの「ローリーに捧ぐ」に涙した。
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