劇場公開日 2012年1月28日

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「【FBIを作り上げた男の虚勢と見栄と尋常ではない努力。終生明かされなかった同性愛者としての生き様を描いた作品。フーバーを演じたディカプリオの24歳から、晩年容色が衰えて行く様を演じきった姿も凄い。】」J・エドガー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【FBIを作り上げた男の虚勢と見栄と尋常ではない努力。終生明かされなかった同性愛者としての生き様を描いた作品。フーバーを演じたディカプリオの24歳から、晩年容色が衰えて行く様を演じきった姿も凄い。】

2023年3月5日
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鑑賞方法:VOD

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■1919年。パーマー司法長官宅の爆破事件を受け、共産主義の過激派を国外追放する特別捜査チームのトップに就任したフーバー。
 24歳という若さで大役を任された彼はごく限られた人物だけでチームを編成し、人権侵害すれすれの手口で国家反逆者を追い詰めていく。

◆感想

・フーバーの24歳から晩年までを、その間に米国で起こった様々な事件、リンドバーグの息子の誘拐事件、ケネディ大統領の暗殺、キング牧師のノーベル平和賞受賞などを絡めて描いた作品。

・フーバーの功績としては、今作にも描かれているように今では当たり前の”指紋採取”から始まる科学的捜査方法を導入した事が良く分かる。

・一方、今作で力点を置いて描かれるのは、フーバーの性的嗜好であろう。若きクライド・トルソン(アーミー・ハマー)との出会い。そして、彼を右腕にしながらFBI長官の座に君臨しつつ、私生活ではクライドとの交流により、人間性を保っていた事が分かる。

・又、母(ジュディ・デンチ)を慕いながら、母からの吃音克服や、同性愛を否定される中、苦しみ足掻く姿は、何とも言えずに鑑賞した。あの反動が、皆の前での高圧的態度として表れていた事は直ぐに分かる。

・今作でフーバーを演じた、レオナルド・ディカプリオの24歳の才気煥発の時代から、晩年容色が衰えて行く様を演じきった姿も凄い。

<巷間で有名な有力者達の個人ファイルを作成し、一時期は影の大統領とも呼ばれた男の最期の姿は哀しい。
 一人、ベッドの脇で息絶えて居る姿。
 救いは、彼の身体にそっとシーツを掛けた、同じく老いたクライド・トルソンの姿であろう。
 後年、J・エドガーの評価は、地位を乱用しての個人ファイル作成の事実が明るみに出て、問題視されたが、彼が生涯を賭けて現在のFBIの基礎を作った事は事実である。
 その事は、賞賛に値すると私は思う。
 後は、残された者たち、引き継ぐ者たちがFBIを正しく、国家を守るための組織として運営して行くことに尽きるであろう。>

NOBU