ドライヴのレビュー・感想・評価
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シンプルさが良いね!
昼間はスタントマン。
夜はその天才的な運転テクニックで、強盗犯の逃亡をたすけるドライバー。
寡黙で孤独な彼が、より凶悪な事件に巻き込まれていくサスペンスなんだけど、素晴らしくシンプルでイイね!!
正直言っちゃえば、ストーリーは読める。突然の暴力シーン以外には驚く部分はないし、オイラの大好きなドンデン返しもない。
登場人物も最小限にまで抑えてあって、サッパリしすぎなくらい無駄がないんだ。
しかし何故だ?その、奇をてらうことのないストレートさクラシックさが、面白かったぞ!!
序盤のカーチェイスシーンの、凝りすぎず潔いドライバー視線の映像とか、流れる70〜80年代っぽいポップスが、なんだかノスタルジック。
また、その中に彼自身の孤独や刹那的なモノを感じたりもした。
彼が生まれて初めて恋をした人妻ってのもコレまた言葉少なな女性で、この2人が静かに過ごす時間が美しくて痛々しかった。
過去や因縁を表すシーンを除くと本当にセリフが少なくて、それでも伝わってくるモノが多かったな。
そして、その「事件」に巻き込まれてから彼の目的はただひとつだったから、以降ただひたすら、ひとり闘う彼の姿を描く!
いいじゃな〜い!好きだなこういうの!
いや違うか…「こういうの」でスベったら、見ててイラつくほど最悪だろうから「好きだなこの映画」に訂正するわ〜!
ただ、ひとつだけお願い。
殺人シーンは、出来れば銃などの武器を使って「一思いに」やって頂けませんかね…?
台詞を切り詰めて観客の想像力に訴えかける、男の美学を描いた作品。
タイトルから、派手なカーアクションを期待するムキには、地味に思えるでしょう。もちろん本業がカースタントに、裏稼業が「運び屋」とくれば、誰だって「トランスポーター」シリーズを想像してしまいます。
だけど車が飛んだりしないし、クラッシュする車の量もは控えめ気味。
本作の感じは、フランス映画のバードボイルドへのオマージュがたっぷりで、通好みの作品といえます。寡黙な主人公をヒーローに押し立てて、その背中で男の美学を語るのです。主人公の優しさは、木枯らし紋次郎に似て、身返りを求めずヒロインから去って行くところはかっこいい!だから、主人公には名前も明かさず、孤独なキャラが似合っています。演じたライアンによると、当初はもう少しセリフのある役だったというが、ニコラス監督と相談するうち寡黙なキャラになっていったのだとか。
監督が切り取るロサンゼルスの街のあやしい魅力を切り取った映像に、ライアンがよくマッチしていて、作品の世界観を完璧に作り上げていました。
主人公は、昼はスタントマン、夜はドライバーとして強盗の逃がし屋という二つの顔を持つというのが本作の要。この二重性には意味が込められているようです。ライアンがいうには「自分の中にオオカミ男のような面を持っていて、それが出てしまうことを常に恐れ、人から距離を置いて生活している。しかし、ついにアイリーンの目の前で、冷酷で残虐なオオカミ男の面が出てしまうんだ」と分析しています。
普段は寡黙で優しくアイリーンに接するけれども、向かってくる敵には容赦しない。そんな突如として放たれる容赦ない暴力性を織り交ぜる緩急のリズム付け方は、すごく通好みの展開だと感じました。
そんな主人公が惹かれていく人妻アイリーンへの淡い恋心は、終盤にふたりの強い絆を感じました。そのシンボルが主人公が着ている背中にサソリが刺しゅうされた白いジャケット。ライアンがこだわったのはヒーローのマントだったそうで、さすがにマントを羽織って乗車は無理なので、ジャケットになったそうです。返り血を浴びて、紅く染まっても決して脱ごうとしなかったのは、ジャケットの色には、ヒロインとなるアイリーンにとって彼が白馬の騎士であるという意味が込められたそうなのです。
その白馬の騎士を待ち焦がれる可憐なアイリーンがまたいいんですね。マリガン演じるヒロインのいかにも幸薄げなところが抜群に魅力的なんです。『17歳の肖像』で注目を浴びて以来、彼女は最近役に恵まれていて、『SHAME -シェイム-』の妹シシー役でも、本作とはまた違った幸薄さを感じさせてくれますから、ぜひ見比べて下さい。見比べるときっと彼女の演技力の凄さを感じるでしょう。
ところで主人公が放つ暴力シーンは、かなりのスプラッターな表現なので、血を見るのが苦手な人は注意が必要です。
台詞を切り詰めて観客の想像力に訴えかける、ムダのない演出と編集。独特の照明に映し出される過激な暴力表現。そして男女の秘めた思いの交差。決してハッピーエンドに終わらないところは、男の美学を雄弁に語りかけてくる作品でした。
ただ30万ドルも主人公に投資しておきながら、主人公を抹殺しようとする投資家の心理がちょっと理解できませんでしたね。そして、100万ドルもの大金をネコババされたマフィア組織が、結局ラストまで登場しないのもハリウッド映画らしくない設定でした。「ワイルド・スピード シリーズ」ならもう冒頭から派手にドンパチするのが相場のところ。本作は主人公の身の回りの人物だけでドラマを組み立てているところが、評価が分かれることになるでしょうね。
思いがけず涙腺が…。
役者、ストーリー、音楽、条件そろってます。
単調な音楽のように 静かにストーリーが流れるところ、不意にガツンと頭を叩かれるような衝撃。 そこからどんどん ぐるぐる渦巻いて、行きつく先は…。
甘いマスクに厚い胸板、今年もっともセクシーな男に選ばれた ライアン・ゴズリングと 透明感の中に芯の強さを感じさせる とってもキュートなキャリー・マリガン。 セリフの少ない作品は、役者の腕(演技)の見せどころ。 それを踏まえてみると、良いキャスティングだと思いました。 二人の独特の間と空気、この幸せな時間が永遠につづいてほしいと願ってしまう 心地よい前半から ある出来事をきっかけに“生き残り戦”へと変わる 後半シーン。 「そ、そこまでやるんですか…」と引いてしまう部分も、ちょっと期待(応援)してしまう報復シーンも 興味深い演出でした。 主人公(ライアン)の子供とテレビを見る場面は『フォレスト・ガンプ』を思わせる ちょっとマヌケな笑顔も 可愛かった(笑)
『ドライヴ』にも 何通りものドライヴ(運転)の仕方があって、その撮影方法も 車好きにはうれしいかも。 プレビューにもあるファイトシーンは 目を覆いたくなるほど激しく、(よっぽど映画が好きじゃない限り)デートには不向きです。 個人的には ストーリー展開の意外性と ライアン&キャリーの演技を堪能できた満足感、また音楽が作品とマッチしていて良かったので 4.5評価。 …しかし イタリアン・マフィアって怖いゎ。。
ハードボイルドなのにクールな最後
監督:ニコラス ウィンデイング レフィン
キャスト
ドライバー :ライアン ゴスリング
アイリーン :カーレー ムリガン
雇い主シャノン:ブライアン クラストン
アイリンの夫 :オスカー アイザック
バーニーローズ:アルバート ブロックス
二ノ :ロン パールマン
ストーリー
カルフォルニア。名もない映画のスタントマン(ライアン ゴスリング)は 運転にかけては誰にも負けない。プロのレーサー並みの速さでスポーツカーを乗りこなし スタンドマンとして、どんな危険な運転でも怪我一つせずに 冷静にやってのける。その腕を買われて 時には強盗や犯罪者の逃亡を助けて そのアガリを受け取ったりもする。どこの誰なのか、何をしてきた男なのか、彼の素性については誰も知らない。ある日 ふらりと自動車修理工場シャノン(ブライアン クラストン)の店にやってきて、修理の腕前を見込まれて、そのまま働くようになった。いつも無表情で 極端に口数が少ない。しかし、よく働いて、まじめな男として、シャノンとの信頼関係はしっかり築かれていた。
ある日 このスタントマンは 自分のアパートに引っ越してきた 子連れの若いシングルマザー(カーレー ムリガン)に目を留める。数日後 彼女が路上で 車をオーバーヒートさせて困っていたところを助けたことが契機で 母子と親しくなる。5歳の男の子は 運転が上手で、もの静かな このスタントマンのことを大好きになる。スタントマンは男の子に請われるまま運転してやったり 遊んでやるようになっていく。
しかし、アイリーンの夫(オスカー アイザック)が 刑務所から刑期を終えて 帰ってくる。帰ってきた夫を見ても 若い妻の心はすでにスタントマンに移っていて、妻はもとの夫に 自分の心をもどすことができない。
夫の存在ゆえに、スタントマンもアイリーンも互いの気持ちを伝えることが出来なくて、苦しむ。そんなある日、アイリーンの夫が 襲われて半死状態に遭った。襲ったのは、スタントマンに 強盗や犯罪人の逃亡を助ける仕事をいつも依頼してくるイタリアマフィアたちだ。話を聞いてみると、アイリーンの夫は イタリアギャングに利用されて 他人の代わりに刑務所に入って代償金をもらっていた。アイリーンは何も知らない。
スタントマンはまた 質屋に強盗に入った犯人の逃亡を助ける仕事を依頼される。今回の強盗は、アイリーンの夫と ブランコという名の女性の二人だ。スタントマンは二人の強盗が金を持って出てくるのを店の前で待っている。女が奪った大金の入ったバッグを持って 車に乗り込む。次いでアイリーンの夫が質屋から出てきたところで、予想外のことが起る。彼はあっけなく撃ち殺され、それと同時に他の車がスタントマンたちの車を追ってきたのだ。逃げ切って スタントマンは金の入ったバッグを信頼できる 雇い主のシャノンに預ける。しかし女は襲われて撃ち殺され、スタントマンは ギャング達に執拗に追われる。
スタントマンはアイリーンに事情を話し、一緒に来てもらいたい、一生母子を守って暮らしたい と申し出るがアイリーンにはどうしてよいのか わからない。そうするうちにも追ってが迫る。金を預けたシャノンが殺された。シャノンはイタリアギャング達も、スタントマンをも欺いて 金を独り占めしようとしていたのだった。スタントマンは シャノンを襲ったイタリアギャングに復讐する。
しかし、自分も致死的な怪我を負う。アイリーンはスタントマンについて来ない。ひとりきりになってしまったスタントマンに もう金など意味がない。ひとりきり、また どこかに運転していくだけだ。
というお話。
テイストが 懐かしのカウボーイ映画「シェーン」、、、あのシェーン カムバックに似ている。クールなハードボイルドだ。男は愛してしまった女と ベッドを共にしない。だからこそ、最後に一緒に付いてきてくれ と女に言う言葉が際立って生きてくる。決断できないでいながら、愛している女の純真が痛々しい。
ストーリーをみると、ハードボイルドの男の姿が浮かび上がってくるが この映画のおもしろさは、主役をライアン ゴスリングにしたところにある。優しい顔、およそ暴力をふるう姿が想像できない良い人の典型みたいな役者だ。痩せ型で胸の筋肉が ついているわけではない。ニコラス スパークス作、ラッセ ハルトレム監督の「きみに読む物語」で、アルツハイマーで夫や子供もわからなくなった妻のために毎日物語りを読んで聞かせる夫を演じて、世界中の女達を泣かせて味方にしてしまった。彼が哀しそうな顔をしていると飛んでいって 抱きしめてやりたくなる。そんな男がクールに 悪者をやっつけて女と子供を守る。
作品がデンマーク人の監督によるものなので、ちょっとハリウッドのハードボイルドとはテイストが異なる。
音楽は ダイナモフォンとエレキギターを使ったエレクトリック ポップだ。そんな音楽をバックに、夜のロスをひとりきり運転するライアン ゴスリングは ひどく孤独にみえる。
ハッピーエンドじゃないところも クールだ。
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