劇場公開日 2011年12月23日

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「常に日本映画のオールタイムベストで上位にランクインする理由も納得、フランキー堺氏が当意即妙、軽妙洒脱でリズミカルな演技は必見。」幕末太陽傳 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0常に日本映画のオールタイムベストで上位にランクインする理由も納得、フランキー堺氏が当意即妙、軽妙洒脱でリズミカルな演技は必見。

2025年4月20日
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鑑賞方法:映画館

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惜しまれつつ25年7月27日(日)閉館を迎える丸の内TOEIさんにて「昭和100年映画祭 あの感動をもう一度」(3月28日(金)~5月8日(木))と題した昭和を彩った名作42本が上映中。本日の3本目は『幕末太陽傳』。

『幕末太陽傳』(1957年/110分)
幕末、品川宿の妓楼を舞台に落語の『居残り佐平次』『品川心中』などの演目から着想した川島雄三監督、今村昌平氏らがオリジナル脚本を執筆、当日の若者風俗「太陽族」を意識したタイトルをネーミング、古典落語の良さと新奇のラディカルさが見事融合しています。

「もはや戦後ではない」と宣言された当時の高度経済成長期の勢いを主人公・居残り佐平次演じるフランキー堺氏が当意即妙、軽妙洒脱でリズミカルな演技で体現、以後の植木等氏のヒット作「無責任シリーズ」も少なからず影響されたかも知れませんね。

佐平次を狂言回役として3つのドラマが並行、ラストで伏線回収されるストーリーも実に気持ちが良いです。
日活の製作再開3周年記念作品なのでデビュー直後の石原裕次郎氏、二谷英明氏、小林旭氏、岡田真澄氏、左幸子氏、南田洋子氏、芦川いづみ氏など出演者も豪華。

ラストシーンも風邪を拗らせながらもアメリカへの渡航を夢みて日の出の方向に墓場を走り抜ける佐平次のラストも良いのですが、川島監督が当初構想していた、そのまま走り抜けて現在(1957年)の品川に至る幻のラストシーンも、今のご時勢なら観客に受け入れられたかも知れませんね。
常に日本映画のオールタイムベストで上位にランクインする理由も納得です。

矢萩久登
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