ファミリー・ツリーのレビュー・感想・評価
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今までにない感じの映画だった
なんとも不思議な類の映画。こういうのはみたことない。
いつもの二枚目役でなく、かっこ悪くサンダルで走り回る単なるオヤジのクルーニー。
他の方も書いておられますが子役の2人の演技がいい。ママが助からないことを知ったときの演技は本物です。
ハワイのアンニュイな空気が優しくくるんでいる感じ。(でもカッピーンな快晴ではないのよね。グレーな感じ。)
常識のない無礼な彼氏も、何ものにも囚われず本音で生きるいいやつというのがわかり、
少しだけ羨望。(少しだけだけど。)
最後のソファのシーンに救われた。とてもいい画だ。
不思議がいっぱい
アレクサンダー・ペイン監督の作品群を見てみると、派手さはないが綿密に積み上げられていく温かさがある脚本を書く人のように思う。よく言えば素朴で優しい味わい。
しかし裏を返せば、明白で強烈なメッセージ性を持っていないとも言える。
人それぞれ好みがあるので良し悪しは言えないけれど、ふわふわとしてとらえどころのない作風は本作「ファミリーツリー」にも当てはまる。
たまたま偶然手にした先祖の土地も、たまたま偶然家族になった者たちも、たまたま偶然だけでは平穏に維持することはできない。土地に対しても家族に対しても多少の努力と気遣いは必要だ。
そしてたまたま偶然は続いていく。っと、まあ多分こんな感じのふわふわした作品だったかなと思う。
ジョージ・クルーニー演じる主人公マットと娘二人は、妻(母)の死を前に分裂寸前。そんな家族を破天荒な母が脳死状態でありながら修復していくという不思議な物語。
厳密には母はもちろん何もしないし、分裂の原因の大部分を彼女がもたらしているので、字面ほどハートフルではないし、結構ドロドロしている。
それでも、エンディングでは温かな気持ちになるのだから不思議だ。
私的に一番面白かったポイントは、長女のボーイフレンドのシドのキャラクターだ。
初めは単なるアホなティーンエイジャーで、本当に殴りたくなるような男なのだが、マットら家族と行動を共にしていく中で、次第に素敵な一面をみせるようになっていく。
多少はシドの内面にも変化があったかもしれないが、最初のアホさは彼の一部分でしかなく、脳死状態の母と同じように隠された別の顔も持っているのだ。
ラスト付近ではカッコいい男にしか見えなくなっているのが、これまた不思議で面白い。
父親としての意思の強靭さ
<映画のことば>
家族は群島と同じだ。
全体では一つだが、個々は独立し、少しずつ離れていく。
自分の感情は圧し殺しても、なお家族が崩壊することを必死に食い止めようとするマット(ジョージ・クルーニー)の姿が、印象的な一本でした。
そりゃあ、並大抵のことでは、なかったことでしょう。マットにとっては。こういう状況で自分の感情を圧し殺すのは。
ボートの事故で最愛の妻の命が奪われようとしているということだけでなく、その最愛の自分の妻が他の男性に心も体も許していた、しかも、入れ込んでいたのは妻のほうで、相手の男性の方はマットの妻を単なるセフレとしか見ていなかったというのですから。
こういう事態を招いたことについて、マットにも責任があった(弁護士としての仕事に明け暮れて、家族を顧みていなかったetc.)のかも知れませんが、その心痛は、察して、余りがありすぎると言うべきでしょう。
しかし、自分というものを殺し通すことができたからこそ、二人の娘…特に17歳という余計に感受性が強かったであろうアレックスとの父娘関係も破綻なく維持することができ、家族の崩壊を食い止めただけでなく、妻の野辺の見送り(海洋散骨)まで、無事に済ませることができたと言えるのだと思います。
それぞれの島(娘…と妻?)を群島(家族)として取りまとめようと努力する父親としてのマットの…その精神力の強靭さ。
そのことに思いを致すと、充分に秀作と評することができる一本と思います。本作は、評論子は。
なお、イケメンながら、どうかするとドラマでは三枚目的な役回りを演ずることが、多かったのではないでしょうか。ショージ・クルーニーは。評論子には、そんな印象です。
その彼がシニカルに演ずるドラマというのも、面白い一本でした、評論子には。(でも、どことなく、やっぱり三枚目っぽい?)
そのことも加味しての評価となっていることを、申し添えておきたいと思います。
なお、本作は、映画.comレビュアーに教えてもらって観た一本になります。
末尾に記して、きりんさんへのお礼としたいと思います。
残念。響かなかった
母親の事故による昏睡状態をきっかけに、ばらばらだった家族が本来の絆を取り戻していくというストーリー。
ジョージ・クルーニーは普通のダメおやじを好演していますが、残念ながら何も心に響いて来ず。
子役の演技も凡庸で、特に何も感じませんでした。
音楽と、時々映し出されるハワイの景色が良かったかなぁ。
家族とは
事故で意識の戻らない妻に対し、今までを反省して元気になったら妻孝行をしようと思っているマット。しかし長女から、妻が浮気をしていたことを知らされる。マットの動揺ぶりが可笑しい。浮気相手を娘と探し出し、相手の家に乗り込み、浮気相手の奥さんに、別れ際の挨拶で頬にではなく、口にキスをしたのは、妻の浮気相手に対する、精一杯の復讐なんだろう。なんか意地らしい。
それにしても長女が17歳、ママが浮気相手と一緒にいるところを見て喧嘩になり、それが最後になってしまったことに後悔している。辛い思いをしているのに、しっかりパパの相談相手になっているのが健気。妹のフォローもちゃんとして、いいお姉ちゃんなのである。
マットは義父に何かと嫌味を言われるのだが、反論せずにじっと耐えている。よほど言ってやりたいだろうに。お前の娘はそんなにいい娘か?浮気して家族を裏切っていたんだぞ!
でも言わない。じっと耐えている。そこは偉い。確かに義父からしたら、大切な娘が事故で死んでしまうとなれば、それほど辛いことはないから。
結局、病室に顔を出さなかった浮気相手、その代わりに会いにきた浮気相手の妻、素敵な女性である。
マット、良きパパになって娘2人と仲良くね!
珍しいハワイ映画
沖縄の映画やTVドラマはたくさんあるのに、ハワイが舞台の作品は極端に少ないですね。
特に現代ハワイの普通の生活を描いたそこそこ有名な作品はほとんどこれくらいしか知りません。
全編ハワイの音楽が流れて、海岸だけでないハワイの日常生活や住宅街が普通に出てくるので、ある意味で非常にハワイ的な作品である点が一番の特徴でしょう。
クルーニー選手って凄く二枚目なのに、自信なさそうな役なんかを飄々とこなすので、結構コメディサイドの役者ですね。二人の娘や長女の彼氏などもなかなかいい演技です。
いや、私的な問題なんですが‼️❓
何故か、ジョージクルーニーに似てると、言われるんです、親しい女性に、その女性たちは例外なく浮気して相手が妻子持ちです、そんな女性と婚約して破棄した過去があります、今では思い出です。
だから、この映画には、思い入れがあるのです、私はハワイのような良い環境ではありませんが。
自分に投影できない人には退屈だと思われるでしょう。
そんな人はハワイの風紀を楽しんでください。
ハワイ通が知らないハワイ
いい映画だったなとしみじみ思い出します。
リアリティにも寄せながら、楽しい人物像もありました。クルーニーの一般人の感じが、いい絵になっていました。ウッドリーが演じたアレクサンドラは、過剰さのないリアルな反抗期の娘でした。シド役のNick Krauseのキャラクターは、軽いけれど裏がなく、愚かだけれど心が広い、いい兄ちゃんでした。
映画は、多少おおげさに言ってしまうと、ひとの不完全さを受け容れること──の構造をもっていたと思います。
アクティブな嫁が、事故によって昏睡となり、そのあいだに、いままで知り得なかった素行や夫婦関係が、露わになってくるのです。
ロバートフォスターが演じた嫁の父は、娘が植物状態になったことを逆恨みして、マット(クルーニー)につらくあたります。それは理不尽とはいえ、相対的な普遍性のなかにいる父親だったと思います。
マットが人妻であるジュリー(Judy Greer)にとつぜんキスするシーンがあります。
ジュリーに夫ブライアンの浮気を、示唆する目的だったのかもしれません。
でも、とっさに思いついたようなキスでした。
説明のできないキスでしたが、観る者にはキスの理由、かれの内側の葛藤がわかりました。セリフのない行為から、むしろ脚本が浮かび上がるシーンだったと思います。
そして、どんな妻だったとしても、やはり愛していたんだというところへ持っていくこと、に加えて、カウアイ島によこたわる先祖の土地──厖大な自然の地を、未開のまま維持するという決意が、しっかりと重なってくるのです。みごとというほかない演出とストーリーでした。
一連のすったもんだを乗り越えると、しぜんに家族の絆ができあがっています。カウチでくつろぐラストには無上のほっこりがありました。
なんども行っているセレブたちさえ知りえないほんもののハワイがある──そんな感じがする純粋な映画だと思います。
アレクサンダー・ペイン監督の魅力を知った記念作
アレクサンダー・ペイン監督作品の魅力を知った記念作。妻を事故で失った男と娘二人の喪失と再生の物語。
ジョージ・クルーニーがサンダルで走る姿やこの作品後ブレイクするシェイリーン・ウッドリーが父親に反発しながら、徐々に関係性を修復する娘を好演していたことを思い出す。
<2012年5月19日 劇場にて鑑賞>
Alexander Payne
こういう映画が大好き。
アレクサンダー・ペインというなんとも素朴かつ豊かな世界を描く監督・脚本家の素晴らしい作品。もちろん、ハラハラ、ドキドキするようなサスペンス・スリラーも良いし、考えさせられるようなサイコロジカルも良いが、やはり、ヒューマンドラマには目がない。しかも、彼が描く作品には、大それた事件性もないし、急に主人公が成長するようなシンデレラストーリーもなく、様々なキャラクター、特に家族が小さなことをきっかけに少しずつ繋がっていって、人間としての情だったり、絆だったりを育んで行くという、その素朴さが大好き。私たちが日常経験するようなことが、たくさん出てくる。日本のドラマに少し近いといったら良いのかな?
彼の作品の良さは確実にキャラクターにある。何気ない、その辺にいるようなキャラクター。しかし、映画で描かれる前の過去と、映画で描かれる後の未来を持っているキャラクター。それが映画開始30分以内に色濃く描かれるから、その後の展開に超現実的な事件が起きなくても、キャラクターに感情移入することができる。
今作でいうと、家族3人のキャラクターがとても豊かだし、お互いが影響しあってキャラクターが出来上がっているんだなということが分かる。さらには、昏睡状態の奥さんの過去も分かっていく。たとえ、全く動かず、喋らずとも。それは例えば長女のエリザベスに対して、「お前の性格は良い意味でも、悪い意味でも、母親にそっくりだ」と主人公のマットが言うシーン。そこからさらに、次女の暴言に対して「そんな言葉遣いどこで習ったんだ?」/「お姉ちゃん!」というところも。更に言えば、最初何%の人が、エリザベスの彼氏シドのことを「なんやコイツ(怒)」と思ったことか。それが最後のあの空気の読み方!こうやって家族ってできていくんだなと思いました。
とても些細なことですが、アレクサンダーペインは撮影へのこだわりがすごいんじゃないかと思う。フレーミングやサイズ、レンズにして見てもキャラクターの変化を後押しするぐらいの些細な違いで変化させているのがすごい。一つ例にとってみると、みんなでカウアイ島へいく後半のシーン、フレームにいるのは4人全員。海岸をただ歩くだけのシーンであっても、4人が並んで時には2人ずついいバランスで歩いている。それは、誰がどう見ても家族。別にそのショットでストーリーが前進するわけではないが、確実にキャラクターは前に進み、お互い歩み寄っている。このような、視聴者が無自覚の内に受け取る印象というものを、スクリーンへと映し出す才能は素晴らしい。
この映画から感じたことは、人の繋がり。作中たくさんのキャラクターが出てきますが、そこには夫婦の繋がり、親子の繋がり、友人の繋がり、ビジネスの繋がり、土地の繋がり、などいろんな人々の繋がりが出てきますが。一番理由いらないのは、家族の繋がり。家族がつながっているか繋がっているかに理由はいらない。通い合った遺伝子と、それまで過ごしてきた時間があるから。その全てを表すような、クライマックスの病室でのシーンはとてつもないパワーでした。ジョージクルーニーの涙には泣かされてしまいました。そして、これからくること間違いないであろうシェイリーン・ウッドリーには未来を感じました。
浮気相手の男を捜せ!てな感じで、土地売却のために親戚たちが集まる...
浮気相手の男を捜せ!てな感じで、土地売却のために親戚たちが集まるのに、どちらが目的なのかわかんなくなった男マット(クルーニー)。17歳の娘アレクサンドラも父親の味方だ。変てこな年上の恋人シド(ニック・クラウス)もいて、じいちゃんに失礼なことを言って殴られたりする。若者言葉で無礼な奴だが、素直すぎるのがわざわいしたか・・・
広大な土地をデベロッパーに売ってしまえば、自然が破壊される!などといったテーマをさらりと描き、「土地は売らない」とマットが決意するのは浮気相手ブライアン・スピアー(マシュー・リラード)が不動産屋であり、土地売買に絡み大儲けするという理由のように描くところが憎いところだ。直接対峙したとき、ブライアンの妻ジュリー(ジュディ・グリア)にブチュっとキスするシーンも印象に残る。可愛い復讐だったけど、その後に彼女も事実を知り、夫婦喧嘩が絶えなくなったとか。
家族愛を再認識する作品だったが、ところどころ日本人にも理解しやすい親戚づきあい。原題の DESCENDANTSも“子孫たち”だからなぁ。序盤にもでてきたが、5つの大きな島で成り立つハワイ諸島を家族に喩えるところなんてのもいい。ただ、全体的なストーリーは平たんなもので、役者次第で大きく評価が変わりそうなもの。欧米でウケたのもよくわかる内容だ。
ものすごく盛り上がるとかものすごく眠くなるとかはないけれど、じわじ...
ものすごく盛り上がるとかものすごく眠くなるとかはないけれど、じわじわと家族の問題、現代が抱える問題を描いている。
ジョージくんはどんな役をやってもはまるね。
家庭を顧みず、ほったらかしにしていた父親と浮気をしていた母親、全寮制の高校に通う一歩間違えたらアウトローな女の子、母親が事故で入院して不安定になっている小学生。
どこにでもありそうな家庭だが、事故で意識のない母親の生命維持装置をはずすことに苦悩し、浮気相手に苦悩し、義父に苦悩し、娘の男友達に苦悩し、それらの苦悩を通して家族の絆と民族としての自分のルーツを大事にする姿は、現代人が忘れかけていることでもある。
それをさらっと提示してくれているので、楽しみながら見れた。
自分の祖先(原題はdescendants【末裔】)が残してくれた土地を自分の代で、すべては変わって行くという思いは大事にするべきだろう。
イノチのバトンを受け継いだ責任として。
風土と人々の暮らしは
ハワイの風土とそこに暮らす人々のドラマを見事に描いていた。
人生は悲哀に満ちている だが 自然―風土がずっと 人々を見守っている それに主人公が気づいたのでは…
余計な演出もなく こういうドラマの描き方は素晴らしい。北野武にも少し似てると思ったが 監督は小津安二郎ファンとの事 あ〜納得! さりげなく じんわりと しかし しっかりと 伝える。
主人公共に映画の中で観てる側もハワイの風土に癒されている。
先祖代々の土地を売ってしまう事とは? 失うものの大きさに正に今 日本という島は直面している。そんな事も考えさせられた。
深刻に不幸な筈だが
家族にとって大問題な事柄が普通なら暗くて重くて涙なしには観れない題材の筈で。
A・ペインは円やかに明るくコミカルに楽しく描いていて可笑しくて最高。
G・クルーニーは良い役者と思わせてくれる演出に長女のボンクラ彼氏が違和感無く家族と和んでいて呆れる位、ナイスなキャラで遣り取りも楽しい。
ラストの家族三人でソファーでくつろぐシーンは明るい未来のあるエンディングで感動が溢れる素敵な場面。
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