ファミリー・ツリーのレビュー・感想・評価
全68件中、21~40件目を表示
Alexander Payne
こういう映画が大好き。
アレクサンダー・ペインというなんとも素朴かつ豊かな世界を描く監督・脚本家の素晴らしい作品。もちろん、ハラハラ、ドキドキするようなサスペンス・スリラーも良いし、考えさせられるようなサイコロジカルも良いが、やはり、ヒューマンドラマには目がない。しかも、彼が描く作品には、大それた事件性もないし、急に主人公が成長するようなシンデレラストーリーもなく、様々なキャラクター、特に家族が小さなことをきっかけに少しずつ繋がっていって、人間としての情だったり、絆だったりを育んで行くという、その素朴さが大好き。私たちが日常経験するようなことが、たくさん出てくる。日本のドラマに少し近いといったら良いのかな?
彼の作品の良さは確実にキャラクターにある。何気ない、その辺にいるようなキャラクター。しかし、映画で描かれる前の過去と、映画で描かれる後の未来を持っているキャラクター。それが映画開始30分以内に色濃く描かれるから、その後の展開に超現実的な事件が起きなくても、キャラクターに感情移入することができる。
今作でいうと、家族3人のキャラクターがとても豊かだし、お互いが影響しあってキャラクターが出来上がっているんだなということが分かる。さらには、昏睡状態の奥さんの過去も分かっていく。たとえ、全く動かず、喋らずとも。それは例えば長女のエリザベスに対して、「お前の性格は良い意味でも、悪い意味でも、母親にそっくりだ」と主人公のマットが言うシーン。そこからさらに、次女の暴言に対して「そんな言葉遣いどこで習ったんだ?」/「お姉ちゃん!」というところも。更に言えば、最初何%の人が、エリザベスの彼氏シドのことを「なんやコイツ(怒)」と思ったことか。それが最後のあの空気の読み方!こうやって家族ってできていくんだなと思いました。
とても些細なことですが、アレクサンダーペインは撮影へのこだわりがすごいんじゃないかと思う。フレーミングやサイズ、レンズにして見てもキャラクターの変化を後押しするぐらいの些細な違いで変化させているのがすごい。一つ例にとってみると、みんなでカウアイ島へいく後半のシーン、フレームにいるのは4人全員。海岸をただ歩くだけのシーンであっても、4人が並んで時には2人ずついいバランスで歩いている。それは、誰がどう見ても家族。別にそのショットでストーリーが前進するわけではないが、確実にキャラクターは前に進み、お互い歩み寄っている。このような、視聴者が無自覚の内に受け取る印象というものを、スクリーンへと映し出す才能は素晴らしい。
この映画から感じたことは、人の繋がり。作中たくさんのキャラクターが出てきますが、そこには夫婦の繋がり、親子の繋がり、友人の繋がり、ビジネスの繋がり、土地の繋がり、などいろんな人々の繋がりが出てきますが。一番理由いらないのは、家族の繋がり。家族がつながっているか繋がっているかに理由はいらない。通い合った遺伝子と、それまで過ごしてきた時間があるから。その全てを表すような、クライマックスの病室でのシーンはとてつもないパワーでした。ジョージクルーニーの涙には泣かされてしまいました。そして、これからくること間違いないであろうシェイリーン・ウッドリーには未来を感じました。
浮気相手の男を捜せ!てな感じで、土地売却のために親戚たちが集まる...
浮気相手の男を捜せ!てな感じで、土地売却のために親戚たちが集まるのに、どちらが目的なのかわかんなくなった男マット(クルーニー)。17歳の娘アレクサンドラも父親の味方だ。変てこな年上の恋人シド(ニック・クラウス)もいて、じいちゃんに失礼なことを言って殴られたりする。若者言葉で無礼な奴だが、素直すぎるのがわざわいしたか・・・
広大な土地をデベロッパーに売ってしまえば、自然が破壊される!などといったテーマをさらりと描き、「土地は売らない」とマットが決意するのは浮気相手ブライアン・スピアー(マシュー・リラード)が不動産屋であり、土地売買に絡み大儲けするという理由のように描くところが憎いところだ。直接対峙したとき、ブライアンの妻ジュリー(ジュディ・グリア)にブチュっとキスするシーンも印象に残る。可愛い復讐だったけど、その後に彼女も事実を知り、夫婦喧嘩が絶えなくなったとか。
家族愛を再認識する作品だったが、ところどころ日本人にも理解しやすい親戚づきあい。原題の DESCENDANTSも“子孫たち”だからなぁ。序盤にもでてきたが、5つの大きな島で成り立つハワイ諸島を家族に喩えるところなんてのもいい。ただ、全体的なストーリーは平たんなもので、役者次第で大きく評価が変わりそうなもの。欧米でウケたのもよくわかる内容だ。
ものすごく盛り上がるとかものすごく眠くなるとかはないけれど、じわじ...
ものすごく盛り上がるとかものすごく眠くなるとかはないけれど、じわじわと家族の問題、現代が抱える問題を描いている。
ジョージくんはどんな役をやってもはまるね。
家庭を顧みず、ほったらかしにしていた父親と浮気をしていた母親、全寮制の高校に通う一歩間違えたらアウトローな女の子、母親が事故で入院して不安定になっている小学生。
どこにでもありそうな家庭だが、事故で意識のない母親の生命維持装置をはずすことに苦悩し、浮気相手に苦悩し、義父に苦悩し、娘の男友達に苦悩し、それらの苦悩を通して家族の絆と民族としての自分のルーツを大事にする姿は、現代人が忘れかけていることでもある。
それをさらっと提示してくれているので、楽しみながら見れた。
自分の祖先(原題はdescendants【末裔】)が残してくれた土地を自分の代で、すべては変わって行くという思いは大事にするべきだろう。
イノチのバトンを受け継いだ責任として。
風土と人々の暮らしは
深刻に不幸な筈だが
完璧過ぎる
なんだろう。
こんな娘は嫌だ
総合:70点 ( ストーリー:65点|キャスト:70点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
娘たちはどうしようもない方向に育っているし、娘がつれてくる男もちゃらいし、義父は責めてくるばかりだし、妻はあの状態で秘密が出てくるしで、ジョージ・クルーニー演じるマットの生活はもう無茶苦茶。
でもはっきりと描かれていないけれど、これって結局、彼自身が家族を顧みなかったから招いた状況なんだよな。ここで彼は初めて自分が軽視してきたものに向き合うが、時既に遅し。いろんなことで右往左往する彼の姿が滑稽に描かれる。最初に登場したときは嫌な印象しかなかった娘たちも、右往左往の後にはなんとなくまとまりが出てきたように思える。
だが土地の件は物語の大枠に関係ないし蛇足でしょう。
あとからじわじわと
観た当初はうーむ。いいんだけど、という感じ。
でも何度も見直すと、ジョージクルーニーの心情が痛く伝わってきて、ああ、共感はできないけど、それは私がまだ若いからなんだと。
妻の浮気を知って、橋のそばでひとりなくジョージ。妻を罵り、でも返事はもちろんない。義父にはさんざん罵られ、でも耐える。
きっとよくなるよという言葉に ありがとうと答え、そのあと皆に妻の状態を説明し、、、
ひとり芝生にへたり込み崩れる彼。
終盤のシーンの、ジョージの「さようなら、私の苦しみ」のところが忘れられない。
10代20代のひとはあと10年後に観よう!というレビューを書いていた方がいましたが本当に正しいかも。ハワイの優しい雰囲気と音楽にも助けられる。
家族の絆
難しい問題...でも単純なストーリー
少し切ないくすっとほのぼのする映画
妻に浮気された親父が大切なものをみつけるストーリー。
なぜか長女の友達が一緒に行動するところがユーモアがありいい味を出していた。浮気の事実を知り衝動的にドン臭く走りだす姿が秀逸だった。浮気相手にささやかな仕返しでキスするシーンが共感できた。
浮気した妻は昏睡状態で問い詰めることも文句を言うことも出来ず、もどかしい、恨み切れない。ジョージは真相を知りたい気持ちと、妻の気持ちを汲んで浮気相手に見舞いに来てもらうために彼を捜索する。やっぱり愛してたんだと思う。娘とも絆か深まりほのぼのする作品だった。
お父さんは大変です…
ハワイの空の下、中年男のトホホが悲しくて、可笑しくて
事故で意識不明になった妻の秘密発覚、先祖伝来の土地問題。
主人公マットと共に難問に立ち向かうのは、食べ物の好き嫌いもよく知らない距離感の娘達。
ハワイの空の下、中年男のトホホが悲しくて、可笑しくて、しみじみ切なくて。心に沁み込んできました。
観てよかったです。
キャラクターがしっかりとした重みをもってスクリーンの中で生きていると感じました。
家族のピンチに招へい(?)された娘のボーイフレンド。 なんでこの人?と思ったけど、客観性を与える彼の存在はなかなか効いてました。なんか、身がきっちり詰まってるような青年で印象的でした。
途方にくれ人生を見つめ直す中年男をペーソスたっぷりに演じたジョージ・クルーニ、スクリーンのアップは、年を重ねてますます見応えがありました。
ハワイアン中心にした音楽がとても心地よかったです。
今日をちゃんと生きたかな?自分に訊いてみたけど。まあまあってところね、悪くないかな。
何となく捨てかねている家族の古着、キルトに仕立ててみようかな。
全68件中、21~40件目を表示