劇場公開日 2012年5月18日

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「ジョージ・クルーニーならではの、「赦しの物語」」ファミリー・ツリー 梅薫庵さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ジョージ・クルーニーならではの、「赦しの物語」

2012年6月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

赦しの物語だと思う。

妻の浮気を、彼女の昏睡状態に陥ったあとにしった、夫の気持ち
母親のそれを知っていて、父親に隠し続けていた娘の気持ち

そのような状況に接したときのひとの気持ちと
それが次第に和らいで、お互いの気持を理解し
和解するまでをユーモアを込めて、描いていく。

そこにあまり外国の話、という雰囲気が感じられないのは
ハワイという舞台設定があるからだろう。

論語には、隠すことを受け入れる、
という意味の説話があるらしい

父親は子供に間違いがあった場合でも、
子供をかばってそれを隠すし
子どもはぎゃくに、たとえ父親に失態があった場合でも
それを隠す
親子がおたがいにかばいあい
助け合うといった行為こそが
親子のあいだにおける
情愛の素直な表現であろうことを
教えたものである

論語では、父親と子どもの関係だが
この映画はそれを、アメリカ的な解釈で
親子だけでなく、夫婦、人間関係において
表現したものといえなくもない

ジョージ・クルーニーはアクションものより
こういった飄々としたキャラのほうが断然、際立つ
この作品は、そういったクルーニーだからこそ
成立した物語。
彼自身は、ちょっと違うかもしれないが
今風の「ジェームス・スチュアート」ともいえるだろうか

梅薫庵