「本当の楽園は…」ファミリー・ツリー harukitaさんの映画レビュー(感想・評価)
本当の楽園は…
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広い空、青い海、木々の緑…
美しいハワイに暮らす主人公マット・キングは先祖から受け継いだ広大な原野を預かり、プール付きの邸宅に住み、預金には手を着けずに弁護士をして生計を立てる。なんとも羨ましく思えるこの男の家庭がこの映画の舞台である。そしてハワイ暮らしでカメハメハ大王の血を引く子孫というところがミソだ。
事故により意識が戻らない妻を前に、今まで仕事ばかりで妻と向き合ってこなかった自分を悔いる。開いてしまった娘たちとの距離に悩み、妻の浮気が発覚し、しかも知らなかったのは自分だけだったという事態に傷つく。
妻の尊厳死をきっかけに家族の絆を取り戻すという皮肉…
預かっている原野をどう処理するべきか悩む。
きっと当事者にとってみれば、ハワイの海や木々の美しさなど関係ないのだ。そんなものは楽園でも何でもないのだろう。この映画に出てくるハワイは決して美しいものばかりではない。汚れたプールの水や黒い雲を見せている。
どこに暮らそうと人生はラクではないのだ。
しかしそんな人生を少しでも軽くするかのように流れるハワイアンミュージック…
マット・キングにとっては楽園ではなくとも子供たちのために何を伝え、何を残すのか…
冒頭、マット・キングは「ハワイの生活は皆が思うような楽園ではない」と嘆いた。そのラストシーンで、マット・キングは本当の楽園を見つけたのではないだろうか?
苦しみ悩みながら子孫に受け継がれていくものを…
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