パーフェクト・センスのレビュー・感想・評価
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見たあとに問いかけられる映画
突如始まった人間の感覚を奪う病気。
瞬く間に世界に広がり人類は五感を失っていく。
感覚を無くした人々はどう生きていけばいいのか。
それでも人は繋がっていけるのか。
五感を超える“センス”とは何かを見る者に問いかけられる衝撃的な一作。
見たあとに何を感じるかは人それぞれ。
センスについて考え込む者。
「は?なにこれ?」と啞然とする者。
おそらく大きくはこの2つに分かれるのではないかと。
私はある意味胸糞とも言えるその驚愕のストーリーに驚きながらも、その後を想像して考え込んでしまいました。
荘厳な世界
無表情なナレーションで始まり最後まで荘厳な物語を語る。 嗅覚を失い、悲しみに暮れ、味覚を失い、怒りに満ちて、聴覚を失い、最後は資格もなくなる。 触覚も?と思ったがそれが唯一残って人間は愛し、生き続ける。 それが世界全体の視点と男女二人の間を描いている。 聴覚を失っての最後の20分は音はなく、音楽だけが響く。
【世界中で、謎の感染症により嗅覚、味覚、聴覚、視覚の順に徐々に人々が感覚を失う中、愛の形を変容させながら添い続ける恋人の姿を描いた作品。現況下、観賞すると意義ある作品である。】
■嗅覚が失われる原因不明の感染症が、世界中で発生する。
病気が進行すると、最終的には五感の全てを失うことが分かり、絶望した人々はパニックに陥る。
そんな中、シェフのマイケル(ユアン・マクレガー)と感染症学者のスーザン(エヴァ・グリーン)は恋に落ちるが、二人も徐々に感性を失って行く・・。
◆感想
・私は、「007 カジノ・ロワイヤル」を鑑賞以降、エヴァ・グリーンのファンになり、殆どの作品を鑑賞したと思っていたが、今作は初鑑賞作品であった。
そして、今作は、エヴァ・グリーンの美しさ、エロティックな姿が横溢している。
・聴覚を失っても、手話で楽しそうに会話する人々の姿。
・そして、マイケルとスーザンも、感染してしまう。が、視覚を失っても触覚で愛を確かめ合う姿。
ー マスクをしている二人の姿に、この作品の先見性を感じてしまった・・。-
<2012年公開作の作品の内容が、謎の感染症に侵されて行く世界を描いたモノである事に驚いたとともに、そんな中でも生きる希望を失わない人々の姿が心に響いた作品である。
触覚が失われたら、お互いの肌の温もりで生きていくのだろうな・・。>
人類みな ヘレンケラー
良くも悪くもヨーロッパ的な
言わば 恋愛ファンタジーとも言えるほどのものを感じた。
今このコロナ禍にあって
世界は思いもよらない事になる可能性が充分あるんだ、というのはわかった。
わかった上で何かどこか リアルに感じられないパニックムービーだと思ったのは、そのウィルス(かどうかも解明されないまま)と言うか主人公の感染症の専門家もあまり何かしてる気配がないこと
人類はその障害の中で
希望を見出して暗闇に生きる事を甘んじて受け入れていること
こういう感覚と言うのはイギリスの医療体制とよく似通っている。
イギリスはNHSという制度で誰でも一律に無料で診療してもらえる。
素晴らしい?全然素晴らしくない。
薬は有料で一種類ごとに金額が発生する。
(しかもそのNHSにかかるには外国籍のものは年間安くない金額を国に納めなければならない)
今回のコロナの中 (昨年のこと)
娘の知人(娘夫婦はコロナ直前の2020年2月まで8年イギリスに住んでいた)の義母が亡くなったのだが
彼女はもともと心臓疾患があり手術を受けねばならない状態であったが先延ばしにしつつ生きていた。
だがいよいよと言う時になってのコロナ。
それでも手術を受ける事となり入院。
そして院内感染。
コロナ患者の手術の出来る病院のあきを待ちやっと手術を受けるも二日で退院。
は?心臓の手術でしょ?何?二日って。
自宅療養となるも コロナと術後の療養。
当然 (と思ってしまう) 2週間も経たずお亡くなりになった。
全て無料である。
イギリスではこの様な事態を家族はどうけとめるか
医療従事者の皆様 本当に良くやってくださった。と感謝するのです。
日本ならマスコミが押し寄せ、問題提起され
救える命であったとのデモンストレーションのもと
政権は支持率を失う。
イギリスは他にも 一般的に救急車を呼ぼうが来ることが稀れ。来たらラッキーである。
私は心底日本人で良かった、と思っている。国の外に住もうなんて絶対思うまい。世界中でこれほど 医療について甘やかされている国はないのだ。
もちろんイギリスの医療制度の良いところはたくさんあって、不妊治療がどんなに高レベルでも無料である事は筆頭にあげたいが。
つまり何が言いたいかと言うと
ヨーロッパはアメリカと違って
何か災厄が起きた時に、何が何でも力技でねじ伏せようという思考が弱い気がする。
起こってしまう事に対し
半ば受け入れる(神の為せること)と感じてしまう雰囲気がある。
だって このご時世にアフリカの途上国じゃあるまいにインフルエンザにかかると「今インフルエンザ流行ってますが、かかった人は病院には来ないでお水飲んで寝てなさい」
という掲示が病院のホームページに載る。
タミフルだけでなく リレンザやイナビル等
日本では病院に行けば当たり前の様に処方される。
そしてウィルス感染後なるべく早く服用するとかなり軽症で済む。
娘が在英中に酷い風邪を引いた時はいてもたってもいられず薬を日本から送った。
乳幼児にはいい薬があるのと対照的だ。
そういう国なのだ。
今でさえ そういったことに違和感を持っているのだが
街中が病気由来の暴徒によって破壊されていく感じや
得体の知れない川魚みたいなやつを生で齧るとか
たぶん日本では ないよなあと思ってしまう。
あれはフィッシュ&チップスの揚げる前のお魚だな。
そんな事を思いつつ
見えなくなった男女が抱き合い、それはそれで幸せです♪みたいなやつはどう考えてもリアルに受け止め難いのだった。
とは言え今のコロナ禍だってとてもじゃないけどたった数年前は全然リアルじゃなかったんだよなあ。
最後に
教えてくださったtalismanさん
本当にありがとうございました。
非常に興味深く 見ることが出来ました。
惹き込まれる
コンテイジョンに似た感じ。
違いはコンテイジョンはパニック映画風というか病気に重きを置いているが、今作は人間模様?人間関係?に重きを置いている。
徐々に五感を失っていく感じがめっちゃ怖い。
失う前にある感情が爆発するのも良い設定だと思った。
コンテイジョンより面白い。
恋愛もメインで意外とベッドシーンが多くてびっくりした。
ユアンの見えてるよね、、?笑
嗅覚、味覚がなくなるのはコロナに似ている。
嗅覚を失うのは記憶を無くすのと一緒。匂いに紐づいている記憶も一緒に無くしているというセリフにハッとした。
聴覚と視覚が無くなるのは絶望でしかない。一応超バッドエンドってことでいいのかな。いやデッドエンドか?
最後すれ違ったシーンで、もしかして2人とも会えずに終わる胸糞映画なのかって思ったがしっかり再会できてて良かった。
ここにもユエン・ブレムナー出ていた。トレスポ、ブラックホークダウンに引き続きこの2人大好き。
ちなみに調理場の上司?役の人はユアン・マクレガーの実際の叔父らしい。
いいSFだ
個人評価:3.7
たんたんとしたSF作品が好きだ。
五感と他者との関係性の対比がとても興味深く、五感によって、人と人は繋がり、また拒絶する事がよく表せている。
途中のパニック系演出が、やや商業映画を感じさせたが、それを差し引いてもいいSFだと感じる。
またエバ・グリーンがとてもよい。
人間のもろさ
五感が徐々に失われていく感染症が世界中で流行。そんな希望のない世界での一組の男女のラブストーリー。
まず、あらすじで引き込まれた。「絶対おもしろいだろうなー」と思い視聴。期待を裏切らず、めちゃくちゃ面白かったですね。
後半30分の聴覚を失うあたりから完全なホラー作品でした・・・。そんな絶望的な状況でも希望を捨てずに、自分の仕事をまっとうしたり、自暴自棄にならず真面目に生きてる人もおり、現実にいたとしたらマジで尊敬ですね。
五感を失う前の感情爆発が人間の弱さというか、脆さみたいなのが表現されてる気がしました。
なんというか、どんな人間でも小さい病原体ごときで、感情を狂わされ、全てをコントロールされる。抗うことができない。人間って弱い存在だなーと思いました。
肉体的な痛みや苦しみは一切ないが、精神的にこれ以上つらい病はないですね。五感を失うなんて。
ラストはついに視覚を失い、そして終わるわけですが、流れ的に五感が回復せず、いつか触覚も失ってい、生きてると感じることもできなくなりそうですね。
I can't smell anymore. 死に至る病、そして
レビュワーのクリストフさんとtalismanさんに「コンティジョン」のレビューコメントでオススメ頂いた本作。遅ればせながらやっと観ました!うん、面白かったです。オススメありがとうございました。
本作は感染というか、不思議な感じです。次々と感覚がなくなっていく。あれは結局なんだったんでしょうか?変な話、人類の終わりを観ているようでした。あの症状は滅びる時の為に人間のDNA に刻まれているような、神様のマスタープランなイメージでしょうか?よくよく考えるとメッチャ恐いです。
しかし、感情が溢れだした後に一つ一つ感覚がなくなっていくという設定を思い付いたのはスゴい!感覚が一つなくなる度にそれに対応していく姿はなるほどなぁっと思いました。味覚がなくなれば食感で料理を作ったり、聴覚がなくなれば振動で音楽を聴いたり。設定だけで終わる事なく、ちゃんと掘り下げてある所が面白かったです。
そしてエヴァ・グリーンが美しいですね。端正な顔立ちで、いかにもパリ出身って感じです。ユアン・マクレガーも良い俳優さんです。感情が爆発してるシーンはホント説得力があります。マリファナ吸ってるとどうしても「トレイン・スポッティング」を思い出してしまいますね。
んー、でも本作は人類全滅エンドなのでしょうか?それとも五感全てをなくしても人類は続いていくのでしょうか?映画の中では明確にならなかったので後はそれぞれで考えてって事なんでしょうけど。例えば自分が五感全てなくなったと考えると・・・うわっ、生きていける自信ないわ~。
救いようがなさそうで、救いのある世界かも
ウイルスが蔓延して世界が混乱するパンデミックものかと思ったら、着眼点がかなり独創的で、想像していたものとは違いました。(『アウトブレイク』のように、ウイルスを解明して解決に向かう…というそんな流れのストーリーではありませんでした)
謎のウイルスによって「嗅覚」が失われ、人々が重症嗅覚障害症候群(SOS)に悩まされることから始まるストーリー。SF風でありながら、科学で一つずつ解決するわけでもなく。スーザンとマイケルのラブストーリーが軸となって進んで行く、ヒューマンタッチのドラマ。ヨーロッパ調の落ち着いた色彩が地味ながらも美しいアートな作品になっています。ジャンル分けの難しい映画かもしれません。
嗅覚、味覚、聴覚が順に失われていく中、人々は絶望的なはずなのに、それでも「日常」を生き抜いていき、悲しみや切なさがあるものの、人は与えられた環境の中で順応性を発揮しているようにも思えました。(終盤、聴覚を失った女性たちが、手話でおしゃべりをしているシーンが印象的でした)
ついには、視覚をも失った、ラストのスーザンとマイケル。それでも、二人は寄り添い、互いを感じる。もしかして、ふれ合う感覚(触覚)がなくなっても、本能??のような、特別な感覚で2人は(人類は)結びついているのかも。こうなると、魂と魂の交歓というか?
ハリウッド映画のような派手さもなく、曖昧な感じでラストに続きますが、ある意味、人間の強さ(しぶとさ)を感じました。
不思議な映画でした。
怖い、怖い、怖い…
いま、新型コロナ真っ最中。2020年4月24日。
まだまだ平和ボケしてる日本です。
コロナの症状に嗅覚と味覚がなくなる、というのは理解している。また治ればそれらも戻る、ということも。
で、本作。
戻らない。一生そのまま。
その上、聴覚も視覚もなくすのよ。
それで生きていく?生きていけるの?ムリでしょ
急な死も恐怖ですが五感が失われていくのも恐ろしすぎる
救いはないのか…
嗅覚、味覚が一時的で戻るのが分かっているコロナはまだ救いがあるなと感じた
とにかくとにかく、怖い、恐ろしい、恐怖以外の何物でもないこの映画
コロナとかぶる。怖ぇー
怖ぇーー。2012年につくられたのか。
感染症で嗅覚、味覚を失うとか、現在のことを言い当ててるとしか思えない。みんながマスクをしてるとか、封鎖された家、ちょっと前なら絵空事としか感じなかっただろうけど、今は、次にそうくるのか?!今はコロナ一年目でしかないのか?!とゾッとする。
コロナも、2年目、3年目となったら進化してくるかもしれんと思えた。
これは恐ろしい
まさかまさかの今現在に繋がるとは…
先日、
「米サイエンス紙によると、新型コロナで重症化すると「脳、心臓、肺、肝臓、腎臓等」の各部位にダメージを与える事が判明した」と言う記事をみた
この映画では、臭覚→味覚→聴覚→視覚 と失われていきますが、感染が拡大していくと、世の中が荒れ狂う様を描いている
症状が出る前触れとして、泣き狂ったり、食べ狂ったり、喚き散らしたり、寂しくなったり…
今まさにそれが徐々に現実に犯されてると言っても過言では無い
恐ろしい
極めて恐ろしい
新型コロナウィルスを
甘くみてると悲惨だ
人は周りが見えなく
行き場を失ってしまったら
必ず荒れ狂う
暴動が起き、犯罪が多発するのだ
「自分さえ良ければイイ」と
他者から強引にでも奪う
でも逆に言えば
今までの自由で安定した世の中(そうじゃない国もありますが…)は奇跡だったのかもしれない
もう人間が自由に生きて暮らしていく時代が終わり、ウィルスに支配(宇宙人じゃなかったね)される世の中が現実となって来るのかも?
だからこそ私達は
愛する人や大切な仲間へ
日々感謝しなければ…
後悔してもしきれない程辛く悲しい未来が待ち受けるだけではないだろうか?
と、凄く考えさせられました(◞‸◟)
静かで希望がもてるパニック映画
嗅覚と記憶の繋がりは、とてもよくわかって、不覚にも涙が出た。徐々に、も怖いけれど、一瞬に、も怖い。でも、できることを、手をつないで一緒に、普通に生きていくことを、人間はできるんだよ、と、この、イギリスの、ヨーロッパの映画は伝えてくれる。恐怖におののくことから、少しでも心を落ち着かせるためにも、この映画は見て良かった。
次の感覚喪失の前に、ものすごい怒りや憤怒、何でも口にする衝動が誰にでも訪れる場面は、私は良いと思った。誰だって持ってると思うから。
最後に残された感覚を失うとき
『コンテイジョン』や『アウトブレイク』のような、科学的な感染ものとは一線を画す映画。
主役は感染病研究者ですが、蘊蓄を語る場面はほぼ無いですし、次々襲う奇病に対しては全くの無能。奇病SOSは脳の病気だと思わせますが、脳外科医なども一切登場しません。
そういったことよりも、人の五感の重要性を詩的に描き、徹底的に主役二人の周囲の世界だけを丹念に描くことで、何気ない生活の美しさを観る者に再発見させようとしています。
失っていく五感は一つずつ感情に結びついており、最後に残されたのは愛したい、愛する人に触れたいという欲求。
触感さえ失ったときに、側にいて欲しい人がいないなんて、暗闇に一人いることと同じで、とても悲しく恐ろしいことでしょうね。
映画からは、時を惜しみ、今を大事に生きてくださいというメッセージを感じました。
『ブラインドネス』など似たような感染パニックものは分断や暴力を、『ワールド・ウォー・Z』などゾンビ系ものは恐怖を描く類なので、徹底して喪失と慈しみを描いたこの作品は、感染ジャンルの中では稀有な存在といえます。
結局奇病は?
かなり意表を突かれた映画でした。
先ず、意外とベッドシーンが多いw
いやー、エヴァグリーンのオッパイはビューティフォー!
さておき、冒頭から「奇病が云々」て話なので、
その煽り方がベタだなー、所謂「ベロベロバー」というか、
お化け屋敷的な感じで、思いっきり外れを引いたと思いました。
ネタバレになりますが、最終的には4感を失います。
その事が怖いぞー、ではなくて、
そーなった時に人間はどう行動するのか、
普段当たり前な、見て聞いて嗅いで味わう事が出来ないと、
最後の「センス」をどうするのか、これがラストです。
「パーフェクトセンス」てこーゆー事かと。
猿とウサギが同じ画に映るシーンがあって、
特に何か起こるわけでもないけど、すごく平和を感じました。
このセンスは人間にもあるんだよ、みたいな。
ただし、このラストにまで持っていく過程が大変。
突然の食欲のシーンはかなりグロいし、
聴覚失うところは、映画の音も無くなるので、
「あれ?壊れた?」とか思っちゃうし、音ないから眠っちゃうし。
実際これ初見では爆睡して記憶無しです。
この過程で評価は分かれるんでしょうね。
自分はあのラストは良かったので、過程も評価します。
.
自宅にて鑑賞。英国・アイルランド・デンマーク・スウェーデンの合作で、D.マッケンジー(共同)製作総指揮・監督作。派手さに欠けるが、現実のニュース映像を挿みつつ、終始落ち着いた語り口で叙情感溢れる詩的な描写が続く。同じパンデミック系でもド派手なハリウッド製に一石を投じ、ヨーロッパ臭漂う静的な本作の方が伝わるモノも有る。五感が失われる過程に妙な説得力が有り、ラストも余韻を残す。本篇の邪魔をしない巧く溶け込んだM.リヒターの音楽も佳い。地味な印象は否めないが、大人にお薦めしたい一作。70/100点。
・“スーザン”のE.グリーン、魅力的に描かれており、某作の共演をきっかけに良からぬ関係になり、おしどり夫婦と云われたJ.デップ離婚の一因になったと噂されるのも頷ける。亦、レストランのオーナー役、D.ローソンは、実生活でも“マイケル”を演じるE.マクレガーの叔父にあたる。
・鑑賞日:2012年6月29日(金)
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