「友達なんて初めからムリ。」ワン・デイ 23年のラブストーリー ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
友達なんて初めからムリ。
ポスターやチラシ、また予告映像で何度も流れたキスシーン。
恰好からしてもちろん若い頃の二人だとは分かるが、それが
本編のどこで流れるのかが楽しみだった。…でもそれは、私が
予想した場面ではなく、物語のかなり後半で使われていた。
その意味とは…
面白い構成だと思った。23年間にもわたるラブストーリーを、
一年毎のたった一日(7月15日)で観せている。
これで話が繋がるのか…?と思うけど、構成は非常に巧い。
~どの一日も、あなただけを見ていた~というだけあって、
二人の出逢いから、親友となりその日のデートを楽しみにする、
心の歯止めが効かなくなる、それで別れる、また出逢う…と、
人生の進み具合と並行して二人の足跡が次々と映像に現れる。
しかしこれはどう見ても…
とある名作とダブっちゃうところが多い^^;
まったく違うアプローチではあるものの、この二人の価値観や
性格、生き様そのものがよく似ている。(お坊っちゃまとガリ勉)
どんなに好き同士でも生き方・考え方はかなり違う。
もしもこの二人が長く生活を続けていたら…と考えれば、あの
結末でアリなのか…とも思えるが、それにしてもあれは切ない。。
相手を好きになるのに理由は要らないものだ。
なんであんな男を!?と周囲は(観客も)誰もが思うだろう。
エマが長く働く料理店で出逢い、同棲までしたイアンの無念を
私達は最後まで共有することになる。
だけど…(私がよく書いているんだけど)本当の幸せは他人が
推し測るものではなく、本人が自身で感じるとるものなのだ。
本当に好きな人とならば、誰がどう言おうと邁進できるはずだ。
そしてそれは、別れを選ぶ時も同じ。
周囲がどう言おうと、嫌いになれば自ずと顔も見たくなくなる。
このデリケート且つ単純な心の動きは本人でしか分からない。
僕が(私が)○○の代わりに貴方を幸せにしてあげる…なんて、
まったく勘違いも甚だしい…!ってことになるのだ。
とはいえ、、大方はこのケースだもんなぁ。相思相愛なんて、
こういった映画の中でしかなかなか味わえないものだし(痛感)
で、話を戻すとエマとデクスターのその後。。
原作が男性で監督が女性というところが様々な面で感じ取れる。
どちらの目線で見ても、同性でないと理解できない部分があり、
その考え方があり、未知で分からないところが多いかもしれない。
ラスト20分がかなり衝撃的であり、感動的でもある。
話は原点に立ち返り、あの頃の自分達をもう一度回想する。
甘酸っぱいとは言い切れぬ想いと、なぜ自分がその道を選んだか、
気付くのはいかに平凡で幸せな出逢いに彩られていたかである。
(エマの幸せをどう捉えるか。この価値観で相性が測れるかも…)