「禁じ手使ったから、眠い映画も一変だ」ワン・デイ 23年のラブストーリー トコマトマトさんの映画レビュー(感想・評価)
禁じ手使ったから、眠い映画も一変だ
何の予備知識もなく、時間が空いていて劇場の招待券(東宝の株主優待券)があったので飛び込むように渋谷東宝へ。
洋画であるということしか事前の知識はなし。
アン・ハサウェイは名前と顔は知っているが、他のキャストもまったく知らない。
1988年の7月15日を振り出しに、それから23年間の7月15日に主人公の男女2人の間に起きることをスケッチしていくことを積み重ねる構成。
20代前半から40過ぎまでを演じる主人公の2人。それぞれ30歳ちょいという実年齢はちょうどその2世代を演じて不自然ではないギリギリのところなんだろう。
青臭い学生っぽさが人生にもまれていくうちに中年のわびしさを背負うまでをよく演じていた、と思う。
ただ、物語としては、2人のひっついたり離れたりが、淡々と描かれるだけでかなり退屈な印象。
「ああ、もうどうでもいいや、こりゃ、★3つもないな」と思ったが、終盤でヒロインがあっけなく事故死。
登場人物を殺す、というのは物語としては一種禁じ手なのだが、この映画の場合は、それで話が引き締まり、その後の男の生きる姿にちょっと共感を覚えた。
あそこで、ヒロインが死ななかったら、相当凡庸な作品だったろう。
まあ、アラサー、アラフォーの自分探し中の男女にはそれなりに感動できる映画なんじゃね?
オイラのように映画の主人公のように20代に(それ以外でも)恋愛経験がない人間には、好き合った人と別れたり、ヨリを戻したり…なんていう男女関係は実感できないから、遠くの景色を見てるようだったな。
それでも、映像はきれいだし、アン・ハサウェイは美しい。ユーモアもちりばめてあり、きれいな作品だから、デートで見ても損はない映画じゃないかな。