「ゾンビがいっぱい」ワールド・ウォー Z 小二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
ゾンビがいっぱい
ゾンビの数が多いです!とりあえず数で勝負じゃーと云わんばかりの多さです。あまりの多さに勝てる気がしません。
そしてゾンビが速いです!世界陸上レベルの速さで襲ってきます。
そんなゾンビ達相手に、ブラピが真面目に闘っております。
ブラピ以外の俳優陣も、地味ながらキッチリ真面目に演技しております。上手いです。(デビッド・モース出ててびっくりしました。マシュー・フォックス地味すぎてどこに出てるのか判りませんでした…。)
数多い&速い&真面目で、ぐいぐい迫ってきます。迫力あります。
話の展開も早いので、観客に考える隙をあたえません。
たいへん面白かったです。
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ただ一つ、ちょっと残念だったのは…。
最後の研究所のシーンでしょうか。
研究所という設定上、ゾンビ数が激減します。
また、また音に反応するゾンビを刺激しないよう静かにしているので、シーン自体が落ち着いてしまいます。ゾンビも減速します。
ここで、思わず、考える隙が出来てしまって…。
ブラピと研究員の話を聴いているうちに、様々な思いが浮かんできてしまい…。
例えば作中の細かい設定。音に反応するゾンビ…イスラエルのシーンで「歌」に反応して襲ってきたけど、その前にバリバリ飛んでたヘリの音には反応しないの?とか、ものすごーく野暮な疑問が湧いてきて。
さらには
そもそもゾンビって何なの?という「そもそも論」まで、私の中で湧き始め…。
(そんなことはブラピじゃなくてジョージ・A・ロメロ先生に訊けって話なんですが。)
これ、本作が悪いっていうより、ゾンビ映画観ながら、そんな野暮なことを云う私が100%悪いです。
(いや、ロメロやフルチの作品だったら逆にそんな疑問も湧いてこないのですが…。
ゾンビ映画というジャンルを解放し、一般向けにレイティングも下げる配慮がなされた本作。
マニアではない一般向けにゾンビという触媒を使って何を表現しようとしたのか?何のためのゾンビだったのか?と、ふとした隙に湧いてきちゃいました…。ブラピの狙いも判らなくもないですが、伏線の未回収や、スピーディーな展開を優先したがために単純化された部分もあり、狙いもぼやけてしまったような気がします。ぼやかさずに、この世界観をガチに作ったなら、レイティングもR18くらいになってしまって今ほどのヒットは見込めなかったかもしれないけど、歴史に残る大傑作か大珍品になっただろうに…と、ちょっぴり残念に思ってしまいました。
エンターテインメント作品としてみれば、こんな指摘は大変野暮です。楽しみを阻害するほどの齟齬はないと思います。ごめんなさい。)
兎にも角にも、一度ギアを入れたなら、観客に考えさせぬよう、一気に突っ走れ!!いや、突っ走ってください…と、お願いしたくなる研究所シーンでした。
これが噂の撮り直したシーンなのかなーと思ってみたり、撮り直す前のシーンも観てみたいなーと思ってみたり、ちょっと悶々としてしまいました。
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ちょっとした悶々もありましたが、全体的にはとても充実した映像で、全米でブラピ史上最高興収&ゾンビ映画史上最高興収なのも充分納得です。面白かったです!