「生きるも死ぬも50/50」50/50 フィフティ・フィフティ ゆみくらさんの映画レビュー(感想・評価)
生きるも死ぬも50/50
10年前というと、かつては17才くらいのことだったが、いつのまにやら27才ごろのことになってしまった。27才ごろ何考えてたっけ?少なくとも、「自分も例外なくいつかは死ぬ」とは微塵も思わなかったのは間違いない。あほだ。
明日にもやばそうな闘病記だが、あまり悲愴感を感じないのは、この主人公アダムと彼を支える親悪友カイルのキャラと2人の友人関係が醸し出すコントラストの成せる技だと思う。マジメで素直、アメリカ人なのに(偏見か)酒が一滴も飲めず、車の運転ができない。恋人にも優しく誠実なのに、カゲが薄くなんかいつも損をしているような印象が。アダムは見ているとなんかこう、のび太を彷彿とさせる。それに対して、カイルは暴力こそふるわないが、その面倒見の良さやきっぷのいいところ、いまだガキ大将っぽい振る舞いの裏ではしっかり心の底から友達思いなところが、なんとなくジャイアンを連想させ、私だけかもしれないが妙に懐かしく微笑ましかった。
人生これからの青春まっさかりなのに。なぜ自分がこんな目に。時折自暴自棄になるが、人生が終わる日、自分が死ぬ期限があらかた分かると、生きるのは案外楽になるのだろうか。この映画は、そんなことないよと教えてくれる。
アダム役のジョセフ・ゴードン=レヴィットがいい。日本人に好かれそう。童顔なのだが、年相応じゃない風もなく、くしゃっとなった笑顔がかわいい。
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