劇場公開日 2011年12月1日

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50/50 フィフティ・フィフティ : 映画評論・批評

2011年11月22日更新

2011年12月1日よりTOHOシネマズシャンテほかにてロードショー

ジョセフ・ゴードン=レビットの軽やかな姿が清々しい

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派手さはないが、とことん愉快で、しみじみとした情味を感じさせるハートフルコメディだ。それというのも、主演のジョセフ・ゴードン=レビットが「(500)日のサマー」同様に、圧巻の輝きを放っているからだ。彼が演じるのは、生存確率50%のがんに冒されたにもかかわらず、なるべく周囲に迷惑をかけまいと振る舞う27歳の青年アダム。いつも沈着冷静に行動し、悲愴感など微塵も感じさせないが、闘病をせざるをえない事実を重く受け止め、淡々と治療に向かっている。メインプロットは見るからに気が重そうながん闘病記だが、この主人公の軽やかな姿はとても清々しく、魅力満点だ。

物語はドラマとコメディが絶妙に配合されており、全編にちりばめられたユーモアとペーソスが、深い感動を生む導火線になる。特に抜群のユーモアを注入するのが、アダムを笑わせて励ます親友カイル(セス・ローゲン)だ。彼の言動も無神経そうに見えてコメディ色が濃いが、実はアダムへの深い思いやりに満ちた内容ばかり。製作者兼任のローゲンは、ジャド・アパトー監督の難病ものコメディ「ファニー・ピープル」(2009)でもアダム・サンドラー演じる主人公の親友役で、ユーモアを注入していた。

そして「不幸を治す薬は、ただもう希望よりほかにない」というシェイクスピアの金言の通り、アダムの人生に光を差し込むのが、新米セラピストのキャサリン(アナ・ケンドリック)とのロマンス。スキンヘッドに一度剃られた彼の髪が伸びたころ、交わされる微笑み。その後の熱いキスを暗示するかのような抑制されたラストシーンが、深い余韻を残す。

サトウムツオ

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