マリリン 7日間の恋のレビュー・感想・評価
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あっさりとした上品な映画(・∀・)
マリリン・モンローの映画はほとんど観たことないし、この映画の原作は実は創作だっていうことを踏まえて観ても・・・
上品だし面白い文芸作品としていい映画だと思う(^_^)
ミッシェル・ウィリアムズは、はっきり言ってマリリン・モンローには似ても似つかない。
でもこの映画を観てるうちにどんどん本物っぽく見えてくる(^O^)
当時のハリウッドの完全役割分担制も、当時の映画界、演劇界で主流とされたスタニフスキー理論もさりげなく描かれてて、歴史映画としても良くできてると感じます(・∀・)
マリリンは下積みを経ずにぱっと出で主役級に抜擢され、細かい仕来たりやルールを知らずに周囲に迷惑をかけまくり、そのせいで映画の製作が相当遅れることもあったのも事実だとか。
そしてその役に完全になりきるために、架空の人物なのにその生い立ちやら育った環境やらを想像してそれを頭に叩き込むスタニフスキー理論に取りつかれて、それが完璧にイメージできないうちは役に入れずどうしても芝居ができなかったのも事実。
マリリンはそれにのめり込むあまり、酒やら薬におぼれて行ってしまった。
そのあたりの描写も、細かい説明抜きにしっかり描ききってる。
わきを固める役者人も(・∀・)イイ!!
ローレンス・オリヴィエ役のケネス・ブラナーなんて、マリリンに振り回されてほんと困り果ててる雰囲気がかなり良く出てたと思う。
池で泳いでる所の描写も、この映画に少ないコメディタッチな描写ではあるけど、不自然な感じが全くせずあくまでさらっと済ませてるあたりが(・∀・)イイ!!
そしてミッシェル・ウィリアムズの歌と踊りもかなり(・∀・)イイ!!
マリリン・モンローはセックスシンボル的な存在ではあったけど、あえてこの映画ではそのあたりのエロさを出さずに淡々と進行させてる部分も共感が持てます(´∀`)
とにかく『J・エドガー』とか『マネーボール』と似たようなタッチの、必要以上に説明をせず、そして淡々と進める手法が、この映画の上品さを際立たせてると思う。
お勧めです(^_^)
震える程のマリリンの「美しさ」
とても良かったです。昨年のコクリコ坂以来の感動。
マリリン・モンローはスターとしても
一人の人間としても本当に素敵な女性でした。とても純情可憐で。
彼女の繊細さに涙が止まりませんでした。
ミシェル・ウィリアムズの演技に圧巻です。
純粋であることがどんなに素晴らしいか、
素直さがどんなに素敵なことか教えてくれる作品。
天まで登り詰めた大スターなのにも関わらず、
とても人間味のある人柄に心を打たれました。
彼女の容姿の美しさも心の美しさも本当に畏敬の念を抱くほどです。
恥ずかしながら、マリリンが出ている映画は一本も観たことがないので、
これから観ようと思います。とにかく良い映画でした。終始涙。
マリリンという大スターを教えてくれた此の映画に感謝します。
ミッシェル・ウィリアムズのマリリンだけでも、この映画を観る価値アリ。
1956年、マリリン・モンローとローレンス・オリヴィエが共演し、オリヴィエが監督した映画「王子と踊子」撮影の舞台裏でおこった、マリリンと無名の助監督の密やかなロマンス。
マリリンを演じたミッシェル・ウィリアムズは完璧。マリリンの曲を自身で吹き替え無しに歌いこなした上に、その演技のみならず、彼女の持つ心の繊細さ、危うさまでを演じきっている。マリリン以上にマリリンらしい、というのは、誉め過ぎかもしれないけれど、それほどあまりあるミッシェル・ウィリアムズの可愛さがこの映画の全て。なので、彼女の演じたマリリンだけでも、この映画を観る価値がある。
その上で、脇役陣もさらにいい。特にサー・ローレンス・オリヴィエを演じた、ケネス・ブラナー。最初、オリヴィエは演技の上の問題でマリリンと対立するが、それは後に、老いを感じつつあった名優が嫉妬心と裏腹に、一人の女優に魅せられていく。また、ドミニク・クーパー、エマ・ワトソン、そしてジュディ・リンチもGJ。
マリリンの、相手となる無名の助監督コリンを演じた、エディ・レッドメイン。どこかで見た顔だとずっと思っていたが、あとで、以前見たウィリアム・ハート主演「幸せの黄色いハンカチ」のリメイク版「イエローハンカチーフ」(2008)で、武田鉄矢がやった若者の役をやっていたことを思い出した。この映画では、英国の裕福層出身という設定。所謂、イケメンじゃないということで、ちょっとした否定的な意見もあるようだが、純情な若者のを素直に演じていて、好感が持てた。
好きな場面は、マリリンとコリンがつかの間のデートをする場面。現実に戻らなければならないその帰り道、コリンはマリリンの手をそっと握ろうとするが、彼女はそっとコリンの想いを拒否する。BGMはナット・キング・コールの「枯葉」。夕暮れがセピア色となってつつむなか、二人の短い恋の終わりを美しく描いていたのが印象的。
だれかが呟いていたけれど、もう確実にマリリン・モンローを全く知らない世代がいる中で、この物語の背景がどれだけ受け入れられるか、わからない。もちろんそれを十分知ったうえでこの作品を観れば、もっと面白いけれど、たとえそうでなくても、純粋にファンタジーとして観ることが出来るなら、誰にでも受け入れられるラブロマンスといっていい。
3月28日 角川シネマ有楽町
程よい尺で、淡い恋を楽しんで♪
良く見りゃ別人ながら
ミシェル・ウィリアムズがマリリンに化ける2時間弱
細見でひゃろっとしたエディ・レッドメイン
時々笑顔が若かりし日のジェームズ・フランコに見える時あり
役柄でしょうが、もう少し重さが出ればこれからも拝見する事多々カモ
話は邦題そのもので、想像通りの展開に目新しさはないものの
ジュディ・デンチ圧巻の存在感!!それだけで十分元が取れた気が・・・
天性の魔力。
M・モンローの出演作品は幾つか観ているけれど、
彼女が演技派だなんて思ったことは一度もない^^;
(荒馬と女くらいかな)
今作でのメソッド演技を巡るオリヴィエとの対立も
(有名な話なので)知っているけど、
そこまで入れ込んで役作りをする必要のない女優、
(観客が望む彼女はセックスシンボルでしかない)
その葛藤が彼女をどんどん精神不安定に追い込み、
ドラッグと酒に溺れさせる原因をつくった。
まぁ…当時の(今も)有名人が陥る罠には違いない。
でも彼女の本質は、スターオーラの泉に輝いており、
例えば街中であれだけの目を惹いてしまうほどの
セクシー加減^^;、そんな天性の魔力はオリヴィエが
嫉妬し尽しても自ら持ち得なかったスター性なのだ。
多くの目を惹き、幾人もの男を虜にし、破滅させ、
でも最後まで本当に欲しいものが手に入らないまま
終わってしまった哀しい女性だったと私は思う。が、
あれだけのスターになれたんだもの!ねー。
美空ひばりも松田聖子も捨ててきたものがあるのよ。
(あ、比べるなって話?)
さて。。。
M・ウィリアムズ、会心の演技。
本家マリリンと比べると小さくて可愛いが、むっちり
加減がソックリで、表情や仕草もかなり勉強している。
うわっ!!と思うほどのオーラには欠けるが、
イギリスの片田舎で、名もなき青年とアバンチュールを
愉しむ解放的な素朴ぶりはかなり堂に入っていて好印象。
情緒不安定な弱弱しさと裏腹に、自身がモンローである
ことへの誇りと奢り、そんな部分もよく出せていたと思う。
オスカーは残念でしたが^^;鉄の女にやられちゃったね。
K・ブラナーのオリヴィエぶりもすっごく似ていた!(爆)
でも奥方のV・リー…ちょっと違くない?(J・オーモンド)
A・ミラーの神経質な唯我独尊ぶりも良かったし^^;、
P・ストラスバーグの嫌味なまでの付き添いぶりに笑えた。
S・ソーンダイクは私生活でもデイムの称号をもっていて
まさにデンチが演じて当然!の名女優。もっと優しい顔
だった気がするが^^;劇中でもとてもいい味を出している。
あ、E・ワトソン。相変らず可愛かったなー。
あっちを振ってマリリンって…^^;まぁ分かる気もするけど、
彼女とはその後どうにかならなかったのかしら?
儚い夢物語のような7日間だが、
マリリンにとってはコリンは数多くの友人の一人?だろう。
コリンにとって忘れられない女性なのは言うまでもないが。
E・レッドメイン、初々しさでよく似合っていた。
(もう彼女のような女優は出てこないでしょうねぇ。肉色兼備v)
マリリンは自分の味方がほしかったんだよね・・・
映画を観る前は秘められた恋を描いたものかと思っていたが、実際は「王子と踊り子」撮影裏側日誌みたいな内容だった。主人公の青年が映画好きでとにかく映画の仕事をしたいという気持ちが前面に出ていた。私がこの映画で一番いいなと思ったのは、マリリンではなく大女優役のジュディ・デンチだった。オリビエと違ってマリリンを理解しようとしていたし、サードの下っ端でしかない主人公にも気配りしていたことがすてきだなと思った。もちろんアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされたマリリン役のミッシェル・ウィリアムズには感心した。はっきり言って普段はセクシーとは思わない女優なので、すごく努力したと思うし、歌も歌っているし、本人に似せようとがんばったと思う。マリリンってある種わがままかもしれないけれど、すごく感受性が豊かで、少女みたいなところがあって、かわいい人だと思った。映画の中のマリリンではなく、素顔のマリリンに触れられる、それがこの映画の最大の魅力だと思う。
主役はマリリンにあらず
モンローは、ひとりの女として愛されたい一方で、大衆の視線を感じることに歓びを感じる。天性のオーラを持ち、プライドも高いが、なにをしたらファンが喜ぶか知っている。根っからのスターなのだ。
明るく茶目っ気があるように見えて、神経は繊細で、演技することに対しても納得できるまで自分を追い詰める。
そこに初めて体験する海外での撮影のプレッシャーと、夫との確執が重なり、演技方法まで監督と意見が合わず、完全に自信を喪失する。
そんな彼女の救いが、第3助監督のコリン・クラークだった。
ここまで書くと、邦題から受ける印象も相まって、世紀の大スターのうたかたの恋を描いたスキャンダラスな物語のように思える。
だが、この作品をよく見ると、マリリンはコリンに逃避したのであり、そこに多少の愛情と感謝があったではあろうが、決して恋焦がれたのではないと分かる。
むしろ、恋する1週間を過ごしたのはコリンのほうであり、この物語の真の主人公は彼なのだ。
そのコリンを演じるそばかす顔のエディ・レッドメインが清々しくていい。どんな作品でも主役に向くほどのインパクトはないが、共演する女優に輝きを与える俳優だ。その理由はわからないが、エディが一緒だとマリリンのミシェル・ウィリアムズはもちろん、エマ・ワトソンや高齢のジュディ・デンチまで輝きを増す不思議でお得な存在だ。
ミシェル・ウィリアムズは、モンローを相当研究したのだろう。その成果はもちろんだが、表情はミシェルのほうが明るい。とくに上目遣いの彼女の表情は愛くるしい。
忘れてならない登場人物がもう一人。
マリリンとコリンを見守る、執事兼護衛のロジャー・スミスを演じたフィリップ・ジャクソンが、酸いも甘いも知る男の情を見せる演技で作品を締める。
時間(とき)が過ぎゆく。
いつまでもコリンに甘えるわけにいかない。コリンに本気で恋するわけにはいかない。ワタシは女優。
モンローの目がプロの目に変わる。と同時に、また女の幸せをひとつ失う哀しみ・・・。
そんなシーンに流れるナット・キング・コールの「枯葉」は切なすぎる。サイモン・カーティス、これが長編映画初監督作品とは思えない。
高級ブランドのポスターを思わせるスチールをエンド・クレジットに使うなど、最後まで演出が冴える。
で?
本当は感想なんて無いっていうか…女優さんは間違いなく美しいし、可愛いけど、それが何か?映画にした意味あんの?マリリン・モンローがこんな人だったんだろうって事は周知の事だし、もっと面白い本やドキュメンタリーも沢山あるので何の為の映画か全くわからない。この後、サッチャー見たけど、女優だけで見せるなら、この位のクオリティーが無いとこっちは時間とお金を損した気がする…唯一見て良かったのはエマ・ワトソンの成長っぷりかなあ。大人になったねぇ…としみじみした。これ見るなら、本物のマリリンの映画をDVDで見る事をオススメしたい。
マリリンがかわいそう
あの世紀の大スターでありセックスシンボルでもあるマリリンモンローが大変な気性難で付き合うには相当な根性が必要であることが描かれていた。
そんなメンヘラのマリリンがイギリスのコメディ映画に出演するために渡英して、撮影が終わるまでに助監督と恋をするというドラマだった。
メンヘラだけど、それゆえの危うさや魅力は大変なものでスタートしても存在感も素晴らしかった。しかしそれ以上に衣装係の女の子の方が10倍くらい魅力的だったのでなんとも言えない気分になった。あそこはもっと地味でいじらしい健気なブスにすべきじゃないかと思った。
ドラマとしては破綻はなくよく出来ているものの、大変盛り上がりに欠けてあんまり面白くなかった。
「女優」を楽しむ映画。
テレビで稲垣吾郎ちゃんが、「なんともない映画だけど、主演のミシェル・ウィリアムズはとにかく可愛い」みたいなコトを言っていたらしい。
うん、それ正解だね。
オイラはミシェル・ウィリアムズ割と好きだから、彼女の魅力を充分楽しんできたよ。
けど、「きっと退屈するヒトもいるだろうな」と思ったり、
観終わったあと「面白かったね〜!」と興奮している女の子達に対して「ふ〜ん…面白いとは?どんな点でだい?」と尋ねてみたい気になったりもしたけどね。
オイラが感じたのは、
「マリリン・モンロー」という作られた人物像が、作られたモノだっていうのに念みたいな何かを持ちゃって、それが「ノーマ・ジーン」という女性に入り込んだ。
その事によってマリリン・モンローは、悪魔的と言えるほどの魅力を爆発させた。
ノーマ・ジーンにこそその能力があった…んだけど、その才能と生きていくには彼女は繊細過ぎた。
それを体現した「ミシェル・ウィリアムズ」の中には、マリリン・モンローとノーマ・ジーンという二人が、まるで憑き物のように共存しちゃってた。
…って感じかな?
一人の女性の中に3人の人格があるみたいで、不思議な興奮があった。
…って、やっぱり「映画を」っていうより、ミシェル・ウィリアムズを楽しんだ感じだね。
チキチンッ♪
強くて弱い可憐な花
英国BBCフイルムが作った映画、原題「マイ ウィーク ウィズ マリリン」を観た。 マリリン モンローをミッシェル ウィリアムズが演じて 3つのゴールデングローブ賞とアカデミー賞にノミネートされている。
全く期待しないで観たのに、とてもよかった。すごく得をした気分。良い映画を観た後の余韻が残っている。
マリリン モンローは 私が映画を見るようになった頃には もう亡くなっていて過去の人だった。ケネデイ家とのスキャンダルや、「寝るとき身に着けるのはシャネルナンバー5だけ」とか、ヘンリー ミラーと結婚するとき、「世界一の美女と世界一頭の良い男が結婚するから 世界一美しくて頭の良い子ができるわね。」と、言ったら、「世界一醜くて 世界一頭の悪い子供ができるかも。」と返されたという話が残っているだけだった。露出過剰で、セクシーだけが売りもので、ちょっとオツムの弱い女というレッテルが先行していて、、「そうではない」と弁護する人が少なかったと思う。
たくさんの歌を歌い、踊り、映画に出演して、アメリカを代表する大スターとして、死ぬまでトップスターであり続けたのだから馬鹿であるはずはない。
そんな彼女を オージー俳優で、たった25歳で死んだヒース レジャーの妻だったミッシェル ウィリアムズが演じている。「ブロークバック マウンテン」、「マイ ブルーバレンタイン」、「ドライブ」で 彼女の映画を見てきたが、とても良い女優だ。ここでは、完全にマリリンになりきっている。ヒース レジャーがそういう役者だった。一つの役を与えられると、撮影が完全に終わるまで 何ヶ月も完全に その役になりきって、自分には絶対戻らない、という徹底した役者だった。
ミッシェルが、マリリンを演じると、その肌の輝きに目を瞠る。画面に彼女が登場すると 美しくて場面が輝き始める。本当にマリリンはスターになるべくして成ったスターだったのだ、と納得がいく。
端役として、芸達者なジュデイ デッチや エマ ワトソンが出ていて、華を添えている。
ストーリーは
1956年 初夏。
30歳ンマリリン モンローは 3週間前に劇作家ヘンリー ミラーと結婚したばかり。英国のローレンス オリビア卿は「王子と踊り子」の映画制作を企画して、主演の踊り子にモンローを抜擢しアメリカから招聘することにした。そのときコリン クラークは23歳。英国の由緒ある貴族出身だが、親から自立して映画制作所で仕事を始めたばかりだった。ローレンス オリビエが監督、主演、製作するこの映画の アシスタント製作者として働くことになる。
鳴り物入りで ハリウッドからヘンリー ミラーと共にやってきたマリリンは、最初だけ歓迎される。しかし、撮影が始まると、製作者として自分の思い通りにマリリンを操縦しようとするローレンス オリビエは、短気で腹をたてて当り散らすばかりなので、マリリンはすっかり萎縮してしまう。もともとマリリンは、大スターではあったが、両親に愛されて育ったことがない。片親のもとで育ち、孤児院に入れられたり 幼児虐待にも遭っていて、自分に自信を持てないという心に傷があった。撮影は進まない。せりふの言い方から演技にまで口を出すローレンスのやり方に、マリリンは 不安感から、常用している睡眠薬が手放せない。翌日の撮影が怖くて眠れない。いったん眠ると起きられないので撮影時間が守れない。保護者である夫 アーサーも愛想をつかして帰国してしまう。
コリン クラークは偶然マリリンと夫との諍いの会話を聞いてしまい、マリリンが泣く姿を目にしていて、何とか力になりたいと思っている。ローレンスのメッセージを届けるために、マリリンのもとに通ううち、自然と心が通じるようになって、マリリンはコリンだけには会話ができるようになる。そしてコリンを通じてのみ、映画制作に関わっていくようになる。映画撮影は そんな状態で辛うじて進行していき、、、。
というお話。
舞台俳優で英国の誇り、ローレンス オリビエ卿からみたマリリンは 全くムービースターという別世界の人間だ。自分の思い通り「オツムの弱いセクシーなショガール」を演じてくれれば それで良い。事は簡単。それが 何故出来ないのかが、わからない。褒めておだてて 手のひらの上で踊らせようとするが 怖がって引っ込んでしまったり 泣いたりわめいたりして手がつけられない。アメリカのスターってなんだ? ということになる。妻のビビアン リーがローレンスがマリリンに手を出さないように監視しているのも、気に入らない。もう、ビビアン リーのヒステリーに付き合っていられない。別れ時かもしれない。そんな、ローレンスの状況がよくわかる。
いつでもパワーが人を醜くする。白黒映画の時代のローレンス オリビエ、ビビアン リーの美しさは格別だったが、年をとり、時代が変わったのに、パワーを持つようになってしまうと、もう何の魅力もない。
一方のマリリン。
常に脚光をあび カメラの前でポーズを取る大スターの顔と、自信を失って泣きじゃくる姿のギャップ。撮影所から抜け出しても「あ マリリンだ」と すぐに見つかって人々の群れに追われる。どんな時でも人に捕まれば スターとしての笑顔で、ポーズを取り、ジョークで人を笑わせる。徹底したプロのサービス精神。拍手で迎えられれば プライベートな時間でもカメラサービスをして歌まで歌ってみせる。疲れ果てて、睡眠薬に手をのばす姿が哀れだ。
そしてコリン。
古くから続く貴族の家で生まれて育った若いコリンの何の偏見や思い込みのない澄んだ目が捕らえたマリリンを、傷ついた雛を抱えるようにして、マリリンの側に立とうとする姿が とても良く描かれている。未成熟なその胸に飛び込んだマリリンの再生を見届ける 優しい目差しが 美しい英国の古城や自然とともに、叙情的に語られる。そのようにして、男は一人前の男になっていくのだろう。
その後、コリン クラークは作家でドキュメンタリーフイルム製作者になる。兄は有名な国会議員だ。40年たって、コリン クラークは「王子と踊り子」を製作したときの6ヶ月間の記録を出版した。しかし、そのなかに、1週間分の記録がない。それは今まで、誰にも語られなかった。
誰にも語られることのなかった一週間が この映画になっている。
一人の青年の成長記録として、一人の女優の生き方を表現したものとして、とても良い映画として完成している。小品だが、見て何時までも良い映画だったと思い、心に残る映画だ。
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