劇場公開日 2023年10月27日

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「鑑賞後の満足度◎ 一つの国が失くなる過程を様々な映像技法、映画手法で描き上げた一大叙事詩。歴史的事実の上を凡そ有り得ない話が疾走していく(バルカン音楽を背景にした)映像でしか奏でられない狂想曲。」アンダーグラウンド(1995) もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0鑑賞後の満足度◎ 一つの国が失くなる過程を様々な映像技法、映画手法で描き上げた一大叙事詩。歴史的事実の上を凡そ有り得ない話が疾走していく(バルカン音楽を背景にした)映像でしか奏でられない狂想曲。

2020年7月26日
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鑑賞方法:映画館

※2024.01.03. 2回目の鑑賞。【シネマート心斎橋】
①やはり優れた映画は何回も観ないといけないですね。(故淀川長治先生の“映画とは格闘しなさい。何度も何度も観ることが大事”というお言葉が今更に思い起こされる。)

②恥ずかしながら、今回の鑑賞でどれ程素晴らしい映画なのか片鱗でも解ったような気がします。

③考えてみれば頭から最後まで戦争の中で繰り広げられる話なんですよね。
それをコメディ的な、ファンタジー的な切り口で描いている。
普通なら不謹慎とも言われかねない語り口なのでありますけれども、歴史的に紛争が絶えない(現在進行形でもある)地域を舞台に、そこで生まれ育った監督が演出しているという圧倒的な事実の前に言葉はありません。

④大きな歴史のうねりを捉え描くには様々な映画の撮り方があると思います。
『風と共に去りぬ』や『戦争と平和』のような叙事詩と叙情詩とを併せたような正統的な映画化。
テオ・アンゲロプロスの『旅芸人の記録』のような映像技法を駆使して映画として再構築する形で歴史と歴史に翻弄される人々を描き出す手法。
そういう意味では本作は本質的に『旅芸人の記録』に近いのかも知れません。
ただ、バルカン半島の歴史の流れは非常に複雑でややこしい。
勿論、バルカン半島(特に第二次世界大戦以降のユーゴスラビア社会主義連邦共和国があった頃から解体されるまで)の歴史を知らなくても此の映画を味わうため楽しみが半減するわけではありませんけれども、知っていればより映画を理解できることは間違いありません。

もーさん