「タッジオの存在感」ベニスに死す komasaさんの映画レビュー(感想・評価)
タッジオの存在感
男性か女性か全くわからない、そんな10代後半の美しい中性的な男性に会ったことがある。同世代だったのだが、目で追ってしまったり、話すときにどぎまぎしたり、そんな自分に戸惑った記憶がある。
ほんの僅かな期間のことで、本人が意図するものではない。しかし、そんな刹那的なアンバランスさが目を引いてしまうのだろうか。
この映画の主人公もも、タッジオに自然と目が吸い寄せられてしまう。彼が主人公に何かしたわけではない。言葉すらかわさない。しかし主人公は狂わされていく。
その流れに、いつの間にか抵抗を感じなくなり、ラストを当然のように受け入れてしまう不思議。まるで主人公の自意識に取り込まれたような感覚だった。
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