ヘルプ 心がつなぐストーリーのレビュー・感想・評価
全80件中、41~60件目を表示
男たちはいったいどこに?
60年代アメリカ。公民権運動が盛り上がっていても、南部の保守的な土地では人種に関する政策や世論は従来とあまり変わらない。 そんな中で、物書きを目指す若い白人女性が、白人家庭に雇われる黒人のメイドの視点から物語る本の出版にこぎつける。そして、本の取材を通して黒人メイドたちの間には少しずつ意識の変化が芽生えるという大筋。 映画で描かれているのは女性たちの社会。メイドと雇い主の主婦が中心に据えられ、その社会にいるはずの男たちの影はほとんど見えない。 まず、メイドをしながら自分の子供を育てている黒人女性らの夫が出てこない。オクタビア・スペンサーが、どうやら夫から家庭内暴力を受けているらしいことが語られるが、その姿は出てこない。 次に、白人の男性はというと、エマ・ストーンと一時交際をする若い男のみが、はっきりとその職業と名前を表されるが、その他の白人男性はほとんどストーリーに絡まない。チョコパイの悲劇のヒロイン、ブライス・ダラス・ハワードの夫にようやくセリフが与えられているが、それも黒人メイドととの面倒な関わりを避けるための言い訳が口から出るのみ。 そしてこの作品で、最も皮肉に満ちたシーンとも言えるのが、ニューヨークの出版社の女性が、エマ・ストーンからの電話を受けるとき、二人の男性に挟まれて酒食をともにしているところである。 ここにきてようやくこの映画は、男性に関して積極的に言及しているのだ。つまり、女は男の力を借りなければ本当のところ何もできない。颯爽と華やかな女たちは、それが東部のインテリであろうと、南部の上流階級の主婦であろうと、男たちの経済力、政治力がなければ何一つとして成しえない。 映画は様々な中心と周縁の対比を描いている。白人中心の社会における黒人差別、男性中心の社会における女性の従属、経済力が発言力につながる社会(油井の掘削現場で働く若者にはストーンに対する発言力もなかったし、彼女の育ての親が解雇されたのは母親に発言力がなかったことが理由として描かれている)。 周縁部におかれた者は、中心に対してきっぱりと従属することを拒否するとき、発言力を得ることができる。しかし、そのためには多くの犠牲や努力、そして何よりも勇気を必要とする。二人の主人公、スキーターとエイビリーンの生き方を通して映画はそのことを示唆している。
差別を違う視点で描く
題材が人種差別ではあるものの、登場人物が明るく前向きなキャラクターが多く、観ていて不快な気持ちはあまりありませんでした。 家族で観た後に、どのキャラクターに共感したのか話したい作品ですね。
社会性とコミカルさの配合が絶妙
黒人の公民権運動という背景を持ちながら、がちがちのストーリーではなくいい具合にコミカルに描かれている。世間の動きではなく、あくまで数人の白人と黒人の個人的な関係を中心としているので、人間ドラマとしても楽しめる。
社会の変化
公開時に見たかったのだけど、タイミングを逃していた作品。 すごく心に残って、そのことをずっと考えちゃう感じではないけど、役者の演技がみんなステキで良かった。 1960年代の家の雰囲気とか、ファッションとか見ていて楽しいし。 日本の戦後の成長もそうだけど、50年で社会も思考もこんなにも変わるのね
人種差別問題をコミカルに描いた良作
ほんの数十年前にはこれが当たり前で、そしてその片鱗はいまでもどこかしこに残っていることを、真剣にときにはコミカルに問題提起してくれる良作かと。 実際にはこんなふうにうまくいかなかったり、このあとに大変な思いをしたり、殺されてしまったりすることのほうが多いのかもしれず、その点では甘いっていう意見があっても当然かとは思います。思いますが、エンターテイメントかくあるべしを感じます。 ディズニーらしく、映像がカラフルなのも楽しい。
実は身時かにある話
60年代のメイド(と言っても秋葉原にいる女の子じゃなく)の話。 アメリカ南部の、しかも黒人の... 60年代「招かれざる客」とか、「夜の大捜査線」などの人種差別映画があった。 70年代は「ルーツ」ってTVドラマがヒットした。(もちろんその間に黒いジャガーとかの黒人が主人公の映画もあったけど…) 80年代はスピルバーグが「カラーパープル」を撮ったり… 自分の世代からすると黒人が大統領になるなんて昔から考えると夢のような話だった。 「人種差別問題」とかがテーマって言うと引いてしまうかもしれないけど、ここに出てくる登場人物は日本人の我々だって「こんな人いるよ」と思ってしまう人達ばかり… アメリカだけが抱えてる問題じゃない。 差別はどこでも、いつの時代もあると思う。 これからも… 子供達はきっと黒人のメイドを母親以上の存在と思っている。日本で言えば「祖母」 的な存在。祖母は孫がかわいいから… でも、メイドは血の繋がらない子供を自分の子供のように育てる… さすがプロだと思う。 有効な時間の使い方だと思った。 この映画を見ていた時間は。
2回目!
前に途中まで見てて、今日たまたまオンタイムでやってたから見た!というか本当は全部見たことあるかも! 実際のお話を元にしてるのかな? つまり、正義は勝つ!っていうお話。 いや、違うかもしれないけど、大体はそういうことだと思う。
自分の色を変えたヘルプ
素晴らしい作品でした。
泣ける場面も多いし笑いもあります。そして、この作品で昔はなにがあったかが学べます
昔は黒人ってだけで差別される時代があったとは思いもしませんでした。
黒人が使った教科書は黒人しか使わないとか白人と黒人のトイレが別とか、、、本当残酷です。黒人ってだけで病気を持ってるって思われるのも残酷におもう。
だかこの映画はそのような扱いに耐えて、白人に立ち向かった黒人のメイド(ヘルプ)の話です。
アカデミー賞を取ったのも納得です。
心温まる映画でした!
これを観てない人は名作を見逃してることでしょう。
おんなじ人だもの。そうでしょ?
黒人差別をテーマにした作品は沢山ありますが、女性しかも、家政婦という職に着目した作品。 残虐的なシーンはないし、心で感じるこの問題はとても大事な事だ思います。 そして、やっぱり人の心って素晴らしいと感じました。
勇気
強い立場である時こそ、
流されてはいけない。
傲慢になってはいけない。
良識を持たなければならない。
黒人と同じトイレを使うと病気になる。
そんな風に思ってるのに
大切な子どもの世話は任せっきり。
黒人メイドを母のように思っている子どもも
いつか差別のことを知り、
自分も差別をする側になってしまう。
子どもたちがメイドを慕う姿を見て、
差別の原因は大人にあると
つくづく考えさせられました。
周りに流されるのではなく、
自分の目で正しく判断しなければならない。
そして勇気を持って
良いものは良い、悪いものは悪いと言えなければならない。
差別や偏見はすぐになくなるものではないけれど、
この映画は多くの人が知ったり考えたりするきっかけになるんじゃないかと思います。
俺が悪いか?日本側配給会社が悪いか?
白人と黒人の女性達によるコメディー映画と思ってレンタルしたら・・ 1920年代?南部アメリカの人種差別に関した映画だったヽ(^o^)丿 単一民族(正式には琉球やアイヌの方が居るが・・)で育つ日本人には、イマイチピンと来ないけど・・、でもテーマは壮大だと分かる。 そしてそんなテーマを重くならず描いてる(軽くもないが・・)。 脚本や進行がしっかりしてるな・・と思ったのは、昨日見た『●恋人たちのパレード』と同じで、原作が小説だからなのね・・。 星☆評価は・・ DVD100円基準で(*^^)v DVD買う度 ◎ モ1回見たい度 ◆◆ おすすめ度 ***** デートで見る度 ◇◇◇ 観た後の行きたいお店】 アメリカンなダイナーヽ(^o^)丿 観た後の飲みたいお酒】 バーボンやワインをぐいぐい。 観た後の食べたい一品】 フライドチキンやポークチョップ。 望んだ映画では無かったけど・・ でも、なかなか興味深かった(*^^)v♪ 結論】最後は、正しく優しき者が笑う世/であって欲しいなぁ(^ム^)
強いものに流されない
この映画を見て、スキーターの生き方がいいなあと思いました
地元の友達が結婚して、子供もいるなか
スキーターは大学を卒業し、出版社に就職します。
女子社会って共感や協調性を求められる気がします。
だから、強い人に流されがちです。
それでも、自分の意志を貫くスキーターの姿勢が
とてもかっこよかったです。
真実を本にした代償として、
友達とは疎遠になり、恋人とは破局したけれど、
きっとニューヨークで新しい出会いが待っているとおもいます!
なんだか元気がでる映画でした。
「ブサイク」は、心の中に育つもの。
映画「ヘルプ 心がつなぐストーリー」(テイト・テイラー監督)から。
アメリカの黒人差別時代を採り上げた映画作品は多くある。
主人公が、男なのか女なのか、スポーツ選手なのか家事手伝いなのか、
そんな違いはあるが、最後は黒人が白人をやっつけるパターンや
お互い手を取り合い1つのものを作り上げるなど、さまざま。
私が今回注目したのは、黒人のHELP(お手伝い)が、
自分の子どものように愛し育てた白人の子どもに、
生き方のアドバイスするシーン。
「自分を憐れむのはおやめなさい、それこそ『ブサイク』ですよ。
『ブサイク』は、心の中に育つもの。
イジワルで人を傷つける男子そっくり」と励ましたり、
仲間外れにされていると悩む少女に
「自分に問いかけるのです。『私は信じるのか?』
『今日、あのバカどもが私に向かって言う悪口を?』と勇気を与える。
家事全般の家政婦としてでなく、一人の大人として助言をする姿は、
貧しさ・人種差別のため、自分の子どもを他人に預け、
白人の子どもを育てる、というだけではない、深い愛情を感じて、
私の心は大きく震えた。
ラストシーン、本来の母親に「あたしの子供、頼みます」と言って
行っちゃいや~、と泣き叫ぶ子どもにも振り返らず去っていく。
「黒人家政婦のプライド」を教えていただいた映画だった。
オールドファッション
彼女たちの髪型が素晴らしい。 古いアメリカ映画そのままです、あれは昔も鬘だったんですね~ みんなきれいで美人でノリもかわいくて・・・ スキーターは唯一大学に行っており優秀で先進的な人物。 親友の婦人会会長のヒリーは自分より優秀な人が許せなかった。 自分の思い通りにならないのが気に入らない。嫉妬心がみえみえです。 顔はきれいなのに。 エリザベスは少し気弱なのかヒリーに押し切られがちで、良くも悪くも日和見な性格。 でも彼女はbarでドリンクくれましたし スキーターがハブられている時にも気にしている様子がありましたし、 ヒリーなんかよりずっとスキーターのことを思っているのに・・・と仲違いしたままなのが少し残念。 郊外の閉鎖感がよく分かりました。 ほんと車がないとどこにも行けないのですね。 女性陣は個性あふれていてどなたも素晴らしいのですが、 特にお気に入りなのは無邪気な振る舞いがかわいらしいシーリア! 彼女は何でも楽しがってくれて、一緒にいると心が明るくなりそう 美人なだけじゃなくて気立てもよいのが素敵です。
公民権運動を描いたお気楽映画
最近のアカデミー賞作品賞にノミネートされる映画は昔みたいに興行的にも成功した、とは言い難い。しかしこの作品はアメリカでは口コミで話題となり、「猿の惑星:創世記」に続いて初登場第2位となった。 この事実が証明しているのは、「ヘルプ」はとても観客受けしたということだ。実際、人種差別というヘビーなテーマを扱っているのにも関わらずストーリーはコメディタッチに仕上がっていてとても好感が持てる。元々の原作のおかげもあるだろうが、何よりもメイドを演じたヴィオラ・デイヴィスとオクタヴィア・スペンサーによるものだろう。 しかしその人種問題に深く切り込んでいるかというと、そういうわけではない。結局の所「ヘルプ」は善悪を二元的に描いたお気楽な「ありがち映画」だ。時々ハッとさせられるようなシーンもある。例えばスキーターがメイド達の現状を本に書こうと、その一人エイブリーンに取材を頼むシーン。それにより仕事を失う可能性のあるエイブリーンは初めのうちは協力する気も無く、口を閉ざしてしまう。ここには白人の当の黒人を無視した独りよがりな正義感が如実に表れている。他にもスキーターの母親が自分のメイドをクビにしてしまう場面。彼女は周りの白人の目を気にして、二十数年間雇った家族同然のメイドを辞めさせたのだ。ここにも閉鎖的な土地ならではの差別が描かれている。こういったシーンがもっとあればこの映画も「ただの」映画に終わらなかった。 だが俳優陣は全体的に素晴らしい配役ばかりだ。先ほども上げたデイヴィスとスペンサーは他とは比べものにならない存在感でこの映画の雰囲気全体を作り上げている。主演のエマ・ストーンは若干存在感が薄いが、それでも手堅く役を演じている。差別主義者のヒリーを演じるハワードも役柄そのままに成り切っていて、ジェシカ・チャンスティンは「ツリー・オブ・ライフ」で見せた演技とは真逆の頭の軽い役を嬉々として演じている。ただし彼らが演じた役の多く(特に白人達)はステレオタイプな人物ばかりだ。「人種差別主義者」か「黒人を助けようとする活動家」の2種類の白人しかこの映画にはいないらしい。差別問題を「過去のもの」として描いてしまっている所以がこういう所にもある。 しかし初めにも言ったとおり、全体的には好感が持てる。笑うところは笑えて、感動するところはきっちりと感動できる(「お涙ちょうだい」のシーンが多すぎるきらいはあるが)。もっと良い映画はたくさんあるが、一度は見てみても良いだろう。 (2012年5月2日鑑賞)
笑い、感動、メッセージ…全ての要素が詰まっている
こういう映画を秀作と呼ぶ。
人種問題を扱った映画と言うと社会派映画のイメージが強いが、時に笑わせ、時に泣かせ、そして考えさせ、実に好感度と満足度が高い。
滑らかな語り口がとても心地良い。
女優たちのアンサンブル演技が非常に魅力的。
エマ・ストーン、映画の橋渡しな立ち位置で、彼女の役柄のお陰でスッと作品の世界に入って行ける。
ヴィオラ・デイヴィス、母性愛と涙を誘う名演!絶対アカデミー主演女優は彼女でしょう!
オクタヴィア・スペンサー、貫禄とユーモアと、黒人たちの不満と現状を濃縮した一番美味しい役。
ブライス・ダラス・ハワード、とにかくムカつく!!憎まれ役を堂々と演じ、最後まで嫌みで逆に潔い。
ジェシカ・チャスティン、ちょっと天然な役をキュートに演じつつも悲しい一面も見せ、その存在に救われる。
シシー・スペイセクも、エマの母親役も(この母娘物語も注目)、スキーターの家に仕えていた老メイドも、メインから脇に至るまで、全員が素晴らしい。
世間や自分たちの人生を変えるには恐れてちゃいけない、一歩踏み出す勇気が必要。
そんな勇気を教えてくれる。
確執あった母と娘の和解、人と人の対等な関係で結ばれるミニーとシーリア…爽やかな感動と希望を感じさせる。
だけどただの理想的な形だけで終わりではなく、クビになり、愛する“子”と別れなければいけないエイビリーンのラストシーンに、ほろ苦さと未だ根強く残る人種問題を忘れさせない。
全80件中、41~60件目を表示