劇場公開日 1979年7月21日

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「「エイリアン」第一作で生まれたのはモンスターだけじゃない! 女性ヒロインの先駆け映画を深堀りしてみる。」エイリアン あふろざむらいさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0「エイリアン」第一作で生まれたのはモンスターだけじゃない! 女性ヒロインの先駆け映画を深堀りしてみる。

2025年1月26日
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物語について
映画ファンで「エイリアン」を知らない人はいないだろう。
念のため、ざっくりおさらいしておくと、
物語は貨物船ノストロモ号の乗組員が冷凍睡眠から目覚めるところからはじまる。地球に向かっていたはずが、大幅に航路を外れている。
とある惑星から、発信者不明の信号を傍受したという。
乗組員は渋るが、知的生命体からの信号を傍受した際には調査するという契約がある。
未知の惑星に降り立ち、謎の宇宙船と化石化した宇宙人を発見する。
さらに調査を進めると、一等航海士のケインは生物の卵を発見する。近づくと、卵から飛び出した物体に飛びつかれる。
調査隊の一行はケインをつれて船内に戻る。それが惨劇の始まりだった。

ストーリーは「ジョーズ」によく似ている。
監督のリドリー・スコットも20世紀フォックスに「エイリアン」を売るときに「これは宇宙のジョーズだ」とプレゼンしている。
「ジョーズ」は1975年に公開されて大ヒットした。リドリー・スコットはその大枠を流用して「エイリアン」の予算を獲得したというわけだ。
では、「エイリアン」は「ジョーズ」の舞台を変えて焼き直しただけなのか? だとしたら、現代にも続くフランチャイズにはならなかっただろう。

他作品との類似という点では、本作は「スターウォーズ」(1977年)をかなり意識している。
貨物船ノストロモ号だ。「スターウォーズ」とは全然デザインが違うが、下からのショットが多い。これはジョージ・ルーカスが「スターウォーズ」ではじめたショットだ。
リドリー・スコットは、宇宙船を下から撮るショットが好きなのか、惑星に着陸する際にも下からのショットだ。「ブレードランナー」の冒頭でデッカードを乗せた警察車両が上空に浮上していくショットも同じだ。

では逆にオリジナリティについて。
「エイリアン」のオリジナリティのひとつは、戦う女性ヒーローの先駆けという点にある。リプリーのように戦うヒロインはいなかった。他に戦うヒロインといえば「ターミネーター」(1985年)のサラ・コナーも有名だ。つけくわえるならば、彼女たちはSF映画のヒロインで、現実離れしている。地に足がついた女性ヒロインは「羊たちの沈黙」(1991年)のクラリス・スターリング(ジョディ・フォスター)あたりからだろう。

あふろざむらい