「適性を知り未来を掴め。」モンスターズ・ユニバーシティ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
適性を知り未来を掴め。
前作からもう10年以上経ったなんて…(あぁ懐かしい)
当時うちの子供は何歳だったんだろう?なんて思うが、
子供の成長とは本当に早いもんであっという間に大人だ。
同じくマイクやサリーにも、幼少時代や学生時代があって
晴れてあの会社で働くまでには、色々あったワケなのよね。
前作ファンならなおさら、観ていなくてもほぼ大丈夫という
大人~子供まで「どんとこい」なディズニー・ピクサー作品。
劇場内にも子供がいっぱい。
あらそんな小さな赤ちゃんを連れてきてまで…と思わせる
家族も見受けられたが、よっぽど観たかったんだろうなぁ。
案の定、赤ちゃんは怖いシーンで大泣き!ギャーギャー!
しかしそれを観て思った、
ちゃんと子供を怖がらせているんだな、この映画!(爆)
子供の悲鳴がエネルギー源。じゃあ大人の悲鳴は?
この疑問にも今作はしっかりと答えを出してくれる。
製作総指揮のJ・ラセター曰く、今回のテーマは「挫折」。
一生の中で、人間は幾度となく挫折を体験するものだが
(ない人もいるか)、その時点で目標の転換をどう計るか。
マイクは猛勉強の末、夢に見たモンスターズ大学に入るが、
選んだ「怖がらせ学部」の敷居は高かった。
どんなテクニックや効果が成績を上げても、マイクそのもの
に人間を怖がらせる要素(才能)が足りない。
こればっかりは…。なりたいものになれないと悟るまでの
マイクの葛藤と努力は、おそらく彼と同じような精進を
してきた人にとっては、口惜しくて堪らないところである。
こんな時、天性の才能を持った人間が疎ましくなるものだ。
名門怖がらせ一家出身、サリーは正にそういう息子である。
才能に甘んじて自らの努力を怠り、気付けば成績は下の下。
でも才能を持った奴ってのは、努力次第でまた這い上がれる。
要は自分に具わっている「適性」が何かを知ることである。
それを掴んだからこそ、現在のマイクがあるわけなのだが、
とりあえず今作はそこまでの長~い^^;道のりを描いている。
しかしモンスター相手とはいえ、海外の大学事情っていうのが
よく分かってとっても面白かった。ホント厳しいのねぇ。。
そりゃ大学は勉強しに行くところなんだからさ(ホントにねー)
様々な出逢いやサークル活動も無意味じゃないし、大切だけど、
肝心の単位を落としたら元も子もない。問題起こせば即、退学。
遊びじゃないのよ大学は。高い学費を払った親は泣いちゃうね。
学長のハードスクラブルの冷静なところが良かった。
非常に怖い存在だけど、言っていることは理に叶っている。
最後に登場して「復学」なんていうのかと思ったら違っていた^^;
ダメなものはダメ。このへんの決断も大したもの。
懐かしいところではランドール(ランディ)
学生の頃はマイクと同室で、けっこう友達想いのいい奴だった。
まぁ長いモノに捲かれる系だったのは言うまでもないけど…。
是非とも字幕版で観たかったと思う、前作からの顔ぶれ。
しかし吹替え版も素晴らしい。田中と石ちゃんのコンビは鉄壁。
(こっちでコンビ組んじゃえば?^^;)
お喋りマイクとおっとりしたサリーの組み合わせはお見事だ。
前日譚、ということで後の展開は前作で証明済み。ということは
目新しい動きが描かれないのだが、そこは残念。
明らかに日本のアニメから多用していたブーのキャラや、
どこでもドアの効力など、前作には驚きと創造力が溢れていた。
過去の良い面を振り返るような内容が多い昨今のピクサーには、
以前のように挑戦的な発想が見られなくなってきた感がある。
ひきかえ併映の短編「ブルー・アンブレラ」は、よくある手法ながら
無機質な傘に表情を灯したところや、雨樋や排水蓋にまで動きを
持たせていたところがよく出来ていたと思う。
(自分の適性について深く考えたりして。一体何に向いているのだぁ)