「老忙爺、万歳!」ロボジー ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
老忙爺、万歳!
予告で何度もお目にかかっていたのに(鈴木重光さんに)^^;
まさか彼を演じているのがM・カーチスだとは思わなんだ~!
五十嵐信次郎って誰よ?と思った人が多いと思うが(私もそう)
実はこの芸名、彼がずっと前から自分が俳優として活躍する
その日のために用意していた名前。奇しくも彼は俳優でなく、
ミュージシャンとして活動することを余儀なくされたので、
なかなか陽の目を見ることができなかったのが…ここへきて!
見事に爺ちゃん役をゲット!した彼。コレだから人生は面白い。
だから本作は、ロボットに入って脚光を浴びる鈴木さんと、
その鈴木さんを日本名で演じることが叶った五十嵐さんの、
幸せリンクの上に成り立っているのだ。老忙爺、万歳である。
さて…かなり評価が分かれるだろう本作。
いつも通り矢口監督はダメ人間を真っ当な方向へは導かない。
嘘に嘘を重ね(爆)平然とロボットの中に人間を入れるなんて
大それたことまでやらせる(しかも爺さんに、だ)
嘘をついて皆を騙すことが果たして成功へ繋がるのか…?と
疑問に思う余地をまるで与えず^^;あれよあれよと大人気に。。
困ったのは当人達で、一回のはずがそれで済まなくなってきて
人気に浮かれる鈴木さんをよそに、大学で勉強に勤しむことに。
ロボット工学。あぁそんな難しい分野^^;私にはサッパリだが、
今作に登場する学生さん達の、あの目のキラキラ感ときたら☆
いつも不思議ちゃんの吉高由里子が、かなりチャーミングvな
女子大生を演じる。彼女がいかに「ニュー潮風」に興味を抱き、
3人の社員にやる気を起こさせたかがとても心地良く描かれる。
これぞ嘘から出た誠。
鈴木さん、いいんだわぁ^^;
ホントそこら辺にいる、頑固一徹の、とはいえお気楽者であり、
娘や孫を気にかけつつも、うるせいっ!とっとと帰っちまえ、と
暴言を吐くクソジジイのお手本だ。そんな彼の素敵なところは、
出過ぎない。言い過ぎない。ところだろうか。監督の演出も常に
そんな感じなのだが、ストレートに強調しない部分がとても多い。
起承転結でいえば、起から結までが異様に長く^^;ダラダラする。
結で感動させるのだから、じゃあ承転も力を入れればもっと良い
映画になるかもしれないのに敢えてそうしないところが謎である。
おかしな行動をとる鈴木さんに「ああはなりたくないわね」なんて
老人仲間が陰口を言うのだが、そこら辺はすんなり下がる。
孫に逢うのも自分の偉業は明かさず、あくまで夢に沿い合わせる。
五十嵐さんの嬉々とした表情がロボットに見え隠れするのが愉快。
おそらくはこんな風に描いておいて、ロボット技術における未来や、
老人介護の明日、なんてものをサラリと言っているのだろう。
転んだ人ににサッと手を差し出せる人間が今どれくらいいるだろう。
どんな悪態をついていても、培われた人の良さは絶対に変わらない。
彼女(吉高)は鈴木さんの人間性(その動き)に惹かれちゃったのね。
エンドの「ミスター・ロボット」は私世代にはとっても懐かしい名曲。
1983年のスティクスのヒット曲、歌詞に使われた日本語が流行って
当時の日本のファンが喜んだ。…ドモアリガット、ミスター・ロボット、
ヒミーツを知りた~い♪←こんなこと言ってたわね、確かに^^;
それを今回(もちろんミュージシャンの顔を持つ)五十嵐信次郎が、
シルバー人材センターの皆様と共に高らかに歌い上げるのに感動!
最後のオチでニヤリとさせ、ラストの音楽で嬉しくなる不思議快作。
(ニュー潮風なんていう洗濯機なかったっけ?あれ、うず潮だったか)