「原作が脳裏に蘇る」るろうに剣心 ゆうたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
原作が脳裏に蘇る
大ヒット漫画の実写化という事で、原作のファンからのレビューです。
荒れる状勢、乱れる人心。
流れ行く世を憂い、多くの有志が理想を掲げ戦った動乱の時代、幕末。
己の理想の為に命を賭けた時代の変わり目に、1人の男がいた。
余りにも多くを斬殺し、「人斬り抜刀斎」とあだ名された伝説の剣士にして暗殺者。
夥しい屍を作り続け、人々から恐れられた伝説の人斬りはしかし、幕府が倒れると共にその姿を消していた。
その行方を誰にも知られる事もなく……。
時は明治。文明開化の時代。人々の生活は大きく様変わりし、また人の在り方にも大きな変化が見られる。
かつて力の象徴であった刀は廃れ、日本は新たな文化を築き始めていた。
そんな平和な時代に、突如として起きた「人斬り事件」。
伝説の「人斬り抜刀斎」を名乗る謎の殺人犯を、人々は恐れていた。
こじんまりとした剣術道場を営む娘「神谷薫」は、この人斬り事件の濡れ衣を着せられていた。
犯人探しに躍起になる神谷薫はある日、今時珍しい腰に刀を差した男を見付ける。
食ってかかる神谷薫だが、その男はとても人斬りなんて出来なさそうな優男だった。
ただの流浪人と言う素性の知れぬ優男。
ひょんな事から知り合った二人はやがて、人斬り事件の真相に迫ってゆく……。
。
物語の展開は原作のストーリーを分解し、再構築した物。
大体四巻分の内容でした。恐らくはボリュームを出す為だったのでしょうが、如何せん詰め込み過ぎて展開が少々強引な所がチラホラと。
登場人物達の行動の「なぜそうするのか」という所が結構抜けていた印象です。原作を読んでいれば納得の展開も、初見の人には些かわかりずらいように思えました。とは言え先入観があるので確かな事は言えませんが。
惜しい感じがまた残念。
目玉であるアクションに関しては圧巻の一言。
現実的ではありませんが、漫画の雰囲気をよく掴んだスピード感あるアクションの数々は一見の価値あり。
主人公を演じる佐藤健さんのアクロバティックな演技はとても爽快。
まるで風のような疾走は興奮モノ。
何よりも感心したのは俳優さん達の演技。
佐藤健さんの台詞回しは聴いた事もない筈なのに「原作通り!」と言いたくなるような完成度。あのナチュラルな「おろ?」は原作ファンなら聞き逃せませんね!
吉川晃司さん演じる鵜堂刃兵衛はちょっと男前過ぎる気がしますが、違和感がない…
一番感心したのは武田観柳を演じた香川さんのゲスい演技っぷり。素晴らしいの一言です。一瞬で好きになれます。
女優さん達の体を張ったアクションは思わず「うわっ」と言いそうになりました。大丈夫でしょうか?って心配になりましたね!
漫画の実写版という事で然して期待はしていませんでした。しかしその期待を良い意味で裏切ってくれる作品です。
完璧とは言えませんが、スタッフの皆さんの努力がとてもよく感じれる出来栄えでした!
特に原作ファンは思わずニヤついてしまうシーンが目白押し。
見て損はしないと思いますね!