ボーン・レガシー : 映画評論・批評

ボーン・レガシー

劇場公開日 2012年9月28日
2012年9月18日更新 2012年9月28日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー

ボーン3部作の世界観を継承して描かれる、“国家”対暗殺者アーロンの死闘

ボーン・アルティメイタム」でCIAの暗部を探る新聞記者は射殺された。その直前から始まる本作は、ボーン3部作の記憶を巧みに呼び覚ましつつ、ジェイソン・ボーン最後の戦いと同時進行していた別の国家的陰謀を、スリリングかつスピーディーに描いていく。

今度の主人公アーロン・クロス(ジェレミー・レナー)は、肉体と精神を染色体から強化された暗殺者で2種の薬を服用せねば生きていけない。突如軍の無人機に攻撃されたアーロンは、薬と真相を求めて“国家”と戦う猶予なき展開で、最後まで緊張感が途切れないのだ。

アーロンは優れた知力と運動能力を駆使し、リック・バイヤー(エドワード・ノートン)率いる隠蔽チームの追撃をかわし、裏をかく。埋め込まれた発信器を遮断するためにアルミを腹に巻くなど、その手順をきちんと映像で見せる演出はボーン3部作以上に細やか。主人公が咄嗟に取った行動にも理由があったことを随時映像で示す演出も同様。ボーン3部作の脚本を書いたトニー・ギルロイが脚本・監督で、見事に世界観を継承している。

状況説明がわずかで中盤までは少々わかりにくいが、アーロン同様に命を狙われる女性科学者マルタ(レイチェル・ワイズ)が絡むと情報が提供され、サスペンス&アクションにスリルと意外性が増す仕掛けは上手い。

ありとあらゆる監視カメラ映像を収集分析し、アーロンたちを追う最新技術の凄さと盲点は味わい深く、終盤の混沌としたマニラでの多彩なチェイスはかつてない臨場感に息を呑む。さらに「ボーン・アルティメイタム」後のCIAの状況も示され、続編が楽しみ。触れられずに不満に思ったアーロンの過去やCIAと軍の関係なども明かされることだろう。

(山口直樹)

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