劇場公開日 2011年6月25日

スリ(1960)のレビュー・感想・評価

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4.0誕生から60年経った今なお、微塵も色褪せぬ名作

2020年10月22日
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この伝説的な作品をまだ見ていないのか、と怒られるだろうが、その通りだと告白せざるをえない。一人の男の淡々とした独白と、雑踏の中で目線をゆっくりと動かしながら獲物を狙う表情。そこからの「動線」を周到に追いかけるカメラワーク。緊張感とはまた別次元の、ある意味、静謐さすら漂う映像の連なりがそこに刻印されている。とりわけ犯行の瞬間、手の動きを別アングルからアップで克明に映し出す魔術的なまでの美しさには、それが犯罪だとは理解しつつも、ただただ溜息がこぼれるばかり。おそらくは主人公が徐々に溺れゆくのも、この一連の動きの芸術性の高さゆえなのだろう。ただし、あらゆる魔法には午前0時の鐘が伴う。まっとうな人間の感情や暮らしに背を向けて生きてきた彼にも、その尊さに気づく瞬間がやってくる。この時、長い道のりの果てに見せる表情にも一切の無駄がない。誕生から60年が経った今なお効力を失わず観る者を惹きつける名作だ。

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牛津厚信

3.0スリ

2023年8月23日
iPhoneアプリから投稿

するするとした指の動き、 なめらかなカメラワークで、 非常に心地よく観られた映画 ラストシーンは凄い

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JYARI

4.0盗むという官能

2023年6月23日
iPhoneアプリから投稿

性器の直接的な交感よりも手先指先のささやかな擦過に目を付けたロベール・ブレッソンの変態的慧眼に恐れ慄く。カメラは人物を映し出したかと思えばいつの間にか手を大写しにしている。手にも表情というものがあるらしい。すらりとした白い手とごつごつした男の手。予想外に表情豊かな手の肌理に驚く。 主人公の青年とその取り巻きが駅で次から次へとスリを繰り返す一連のショットは水面を辷る花のように流々と美しい。胸ポケットから引き抜かれ音もなく落下する財布、新聞紙とすり替えられる手提げバッグ、ふとした拍子に腕からスルリと外される腕時計。そこに女の衣服を脱がしていくような官能性を見出してしまうのは仕方がないことだ。 「スリ」という金品略奪行為と青年の貧しい暮らしぶりの交点についつい貧富や格差といった社会的テーマ性を読み取ってしまいたくもなるが、スリという行為の官能性・耽美性を鑑みれば、本作はむしろ個人の内面に巣食う不貞、性的放埓に関する映画であるといえる。窃盗罪で遂にお縄となった青年が次第に子持ちの女に惹かれていく終盤の展開は不貞から純愛への改心と読み解ける。 いやしかし監獄という不毛さが一時的に彼をそう思わせているだけなのかもしれない。女の美貌と愛情をもってしても、財布や腕時計が音もなくスルスルと持ち主の手を離れていくエロティシズムにかなうことはないのではないだろうか。

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因果

4.0人間を凝視するブレッソン、スリを解析する

2020年4月17日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

ブレッソン映画で大好きな一本。 ポール・シュレイダーの「アメリカン・ジゴロ」を観たら、この映画のパクリを疑ったが、後にブレッソンに傾倒していることを知る。シュレイダーなりのオマージュだったのか。 この様な映画が創れるフランス映画の豊かさが素晴らしい。

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Gustav

4.0ネオリアリズモの影響を受けたフランス映画

2018年10月1日
Androidアプリから投稿

ドラマというべき物語は大してない しかし主人公とジャンヌとの愛という主題は明確に起承転結する スリの手品のような手口のシーンは見応えがあり、緊迫感も素晴らしい イタリア映画のネオリアリズモの作品のように、俳優は素人だという それがまた、その大根ぶりが過剰な演技を廃した、ある種の味わいと説得力を醸し出しているのは確か

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あき240

2.5スリの現場を淡々と

2018年6月14日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

・スリにのめり込むひとりの青年のスリ生活を淡々と ・仲間達との連携のとれた集団スリは鮮やか ・ジャンヌ役の女優が凄い綺麗

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mimiccu

3.5貧富の差がデフォルト

2018年3月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

知的

資本主義、自由主義の国に暮しながら、仕事につけないと非常に苦しむ。共産主義国ではなく、失業を前提としているが、個人にも世間にも失業は敗北であり、本来は社会が平等である証拠だが不平等だと感じる。これは、おそらく教育に原因がある。共産主義国にあってさえ、美しい建前を述べながら、本質的に競争主義で、失敗を恐れる思考を植え付けている。

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ひろち

4.0手フェチ・指フェチ向け?

2018年2月19日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

スリを罪として描きながらも、緊張感・陶酔感があってとてもいいです。 スリをするシーンでは、じわじわ動く手のアップが多く、手フェチ・指フェチの方ならさらに楽しめるのではないかと思います。 女性が綺麗でグッとくるのもブレッソンらしくて良かったです。

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凪