アウトレイジ ビヨンドのレビュー・感想・評価
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北野対西田
総合80点 ( ストーリー:80点|キャスト:90点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
前作に引き続いて大量の人が実にあっさりと人目に触れぬ場だけでなく公共の場でも簡単に死んでいくのはやりすぎと思う。南米の麻薬組織ならともかく、こんなことを日本でしていたらただではすまない。前作も作品自体は気に入ってたけど、この部分が気になって減点した。もっと現実感のある殺しの場面をやってくれたら良かったのにと思うが、これがこの作品のやり方なんだと思って割り切って観れば、それほど今回は気にならなくなった。
しかしみんなが自分のことだけを考えながら、仁義も何も無く好き勝手に好きなことと悪いことをやる続けるのが前作同様に潔くていい。暴力団を美化するのでもなく格好良く描こうとするのでもなく、悪人たちが勢揃いして熾烈な食うか食われるかの潰しあいをする様に痺れる。周りにいるのは自分にとってどんな使い道があるかしか価値観がないようにすら見える。花菱会の悪巧みにも感心した。
暴力描写は北野作品の特徴だが、自分としてはあっさりと人命を奪っていく無機的で機械的に見える殺しの場面よりも、殺しにはならない暴力描写のほうが怖くて良いと思ったし、それ以上に役者が面と面を突き合わせて言葉を叩きつけ凄みを利かせている場面の出来が良かった。
中でも一番気に入ったのは、西田敏行と北野武が花菱会で迫力のある怒鳴りあいをするところ。相手を自分たちの都合の良い駒にしようと圧力をかけながら追い込んでいく西田と、山王会と戦うための協力を期待して来たのに逆に袋小路にはまってただ「馬鹿野朗」を繰り返す北野のやりあいが怖い。「なめとんかこらっ!」と言われて「なめてねえよ、馬鹿野朗っ!」ってどんな返しだよ。西田敏行として素のままテレビ番組に出ている姿とも、普段演じている人情味溢れるとぼけた人の良いおじさんとも全く異なる、ヤクザ幹部役を本物のような迫力で演じて、これが同一人物とは思えないほどに役に染まっていた。西田敏行はいい役者だとつくづく感じた。私は知らない役者だったが、西田の隣にいて凄んでいた塩見三省も凄かった。本物の極道にしか見えなかった。その他の役者も迫力があった。悪巧みばかりする全員悪人ということ以外にも、この役者たちのヤクザ像の演じ方がとても気に入った。
ザ・たけし!!
雰囲気を楽しんだ。
ふつうにおもしろかった。
鈴木慶一の音楽いいよ
前作は期待して行ったのだが
期待し過ぎていたためか、それほど乗れなかった。
で今作。
スゴク良かった。それほど期待してなかったからかもしれないが。
思い出したのが、映画「仁義なき戦い 代理戦争」
抗争らしいアクションがあまりなく、
ヤクザ同士の腹のさぐり合いと人間関係を描いた仁義シリーズの傑作。
たけしがこの映画を思い描いていたかどうかは知らないが
全編騙し合うヤクザの群像はこの映画とだぶる。
今回もえげつない顔ときたないセリフの展示会。
いきなり飛び出すグロ描写。
先が読めなかったという点も良かった。
北野監督には予定調和を嫌う作風でありながら娯楽作
って路線で撮り続けて欲しいです。
ちょっと飽きますね
ヤクザ映画作りの天才。
続編としての意味
北野はきっちりと把握していた。物語の続編を作るという事は、前作をふまえたものを作るという事。それは当然の事だと思われるだろうが、実際これができてない物語が多い。
さすがギャング映画を得意としているだけあって、本当に、面白かった。
前作のアウトレイジは、極道をテーマにした圧倒的「暴力」映画。
今回は、「暴力」と「人間模様」「下克上」「復讐」
1であまり余った鬱憤をビヨンドで全て洗い流してくれたようなものだ。
1しかみてないあなた、大友はもちろん、帰ってくる。
是非、観てほしい。
いやあ、役といえば加藤がねwww
すっかり小物に見えるところが多分今作で一番ギャグ線高い所、笑いが止まらない笑
殺し方も相変わらずユニークだなぁ。
極道を使って、組織の面白さを丁寧に描く。
北野が描くブラックユーモアってなんでこう、ひぃってなるけど面白いんだろう。役者がね、この人死ぬ訳なかろうと思う人をあっさり切り捨てたりして、そっちのユーモアもあるね。笑
そして、話題にもなっているが、ラストの観客の突き放しっぷりは凄まじい。
それから流れるエンドロールで、最初に名前の上がってくる「ビートたけし」の名前を観た時、お前は一体何者なのだ、と思った。
それほど、圧巻。
北野監督は、洋画を意識した心象的な方面を描くより、純粋に油っぽいこっちの方面の方が、観客としても見やすく、そして面白い。好きだよ!
ヤクザな雰囲気を楽しもう
前作では1人1人の個性的なキャラクター、大物俳優起用、斬新な殺人シーンが話題になってて普段あんまりヤクザ映画を観ない自分まで観てしまう娯楽暴力作品に仕立て上げられていて良作だった。
今回、待望の続編!
ぇつ?!大友さん、生きてたんすか?笑
いや、まぁまた1騒動起こしてくれるなら喜んでついてきますよ?
加瀬くん裏切っちゃいましたけど、今回やっぱ殺しますよね?どうしましょう?!あとあの人とかあの人も殺らないとですね!
前回はけっこう危険な臭いとか、ハラハラ感があって、いやーーそんな殺し方しちゃうんーー?!て感じだったんで本当、期待してます!
でもやっぱあれですね、人間丸くなっちゃうと若干バイオレンスハラハラドキドキは削られましたね。
想定内とはいえ、それでも観たあとはあの怒号の飛び交う口喧嘩には満足しました。大友さんたち、ありがとう!
「調子乗ってると、しまいには~するぞ!このやろう!」と誰かに言ってみたくなる映画。
いつものたけしさんの映画は、どちらかというとやられる方だけど、本作はやる方だった。
やっぱり、守備より攻撃の方が面白いと思う。
それに加えて、勧善懲悪的な感じと、復讐、それに下剋上的な要素も入っていてよかった。
でも、野球に例えれば、フリーバッティングというか、バッティングセンター的感じが、やや不満だった。
やりすぎと、うまくいきすぎのところがちょっと変。
実際の試合では、そんなにうまくいかないはず。
ましてや相手は関東最大の暴力団、警察もいるだろうし、調子に乗っていると、逆に、この映画で加瀬さんの演じている石原(今回は小物ぶりがすごくて笑えた。)のようになりそうな気がしてしょうがなかった。
でも、全体的には前作よりよかったし、以前やっていた「TAKESIES’」や「アキレスと亀」みたいなヨーロッパ映画風の感覚的映画より、全然いいと思う。
ギャング映画(やくざ映画ではないかな?)が一番得意なのだから、やめるとか言わないで、どんどん作っていただきたいです。
ところで、あんたは読める奴?
前作は見事なまでに、悪趣味な暴力シーンのオンパレードだった。暴力のプロフェッショナルである「玄人」さん達の業界、そのロジックは恐ろしくシンプルだ。欲望。権力、カネ、バイオレンス、全ては欲望に基づく。だからこそ「組」という統治運用システムを絶対のものとするために、親は絶対であり雪が黒いと言えば何が何でも黒いのであり絶対服従の鉄の掟があるのである。欲望に基づくカオスこそ裏社会の本質であるはずが、全く逆説的に、秩序が求められるがために、その掟はある。
しかし親が衰えれば父殺しを企む息子もある。子のシノギを横取りする親だってある。鉄の掟の上で繰り広げられる欲望の闘争、そこにあるのは一皮ひん剥いた膚の下にどす黒く流れる欲望の囂々たる流れだ。それが暴力となって一線を越えるとき、北野流のじつにブラックで悪趣味きわまりない、和製タランティーノと称するべき世界がスクリーンにぶちまけられる、というのが前作の暴力シーンの趣向であり、北野武監督ならではの、目を背けたくなりつつも凝視せざるを得ない、ギリギリの世界だった。それはありとあらゆる趣向を凝らした、豪華な暴力の博覧会。スクリーンに次から次へと現れては消えてゆく暴力、それが大きな見所であったことは間違いない。
ところが今回は違う。
前作を踏まえながら、そこにあるのは「空気」だ。
確かに暴力描写は存在する。しかしそれは「選択」の「結果」であり、それ自体が映画の目的ではない。北野監督は第二作を製作するにあたり、前作の轍をもう一度踏むことはせず、ナナメ上を行った。そこにあるのは(もう一度言おう)、空気だ。
世の中には二種類の人間がいる。空気が読める奴と、読めない奴だ。今作ではストーリーラインを追いながら、登場人物の立場や物事の白と黒がめまぐるしく入れ替わる。ほんのささいなきっかけで、オセロの盤面を覆い尽くした白が、あっさりと黒へと覆る。登場人物たちは何食わぬ顔でその見えざる盤面を注視し、言葉を選び、狡猾に立ち回る。
読めなかった奴の末路は言うまでもなく、悲惨だ。その結末として用意される暴力は北野流のドス黒さだ。観客が「悪趣味」として感じつつつい笑ってしまう、ブラックな笑い。哀しみをたたえた暴力。そう、暴力とはある一線を越えると「笑うしかない」のだ。キタノ流とはこの境地を指すのかも知れない。
しかし、そこで終わらないのが今作の凄さ。
最後の最後に、北野監督は突然、観客を突き放す。おそらくそのことすら気づかないまま鑑賞を終える人もあるだろう。だからこそ、このラストシーンに込められたブラックな意図こそ、北野節と呼ぶべきなのだ。
最後の最後になって、北野監督は観客を試す。「ところで、あんた、空気読めてんの?」と。その答え、本作の本質は唐突に終わるラストシーンの先にある。
あなたにはその先に何があるのか、読めるだろうか?
古風なヤクザ・大友のケジメ
口を開けば「バカヤロー!!」「やれねーのか!!」「やってやろーじゃねーか!!」の連発でコメディーかと思えた前作に比べると少し知的な内容になった。
いわば前作は意地の張り合いで、今回は謀略の張り合いがテーマ。
刑事の片岡(小日向文世)が関東最大の山王会と関西の花菱会を衝突させようと画策する。このぐらいのこズルさを、日本の外交でも発揮して欲しいものだと思って観てしまう。
前作で一番悪い奴は、まんまと山王会の会長にのし上がった加藤(三浦友和)だったが、今作で一番のワルはこのマル暴・片岡だ。片岡の陰謀は際限がなく無差別で、獄中にいた大友(北野武)の足元にまで及ぶ。
前作で賢く立ちまわって山王会の若頭の座を手に入れた石原ののさばり方がいい。ある意味、今回の紛争の火種的存在で、敵からも身内からも、そして映画を観る客からも嫌われる役どころだが、加瀬亮が上手い。
ほかにも役者は多いが、それぞれの役割がはっきりしていて、ごった煮にならずにすんでいる。
バイオレンス描写は前回同様、ことさら過激だと吹聴するほどのものではない。むしろ、それに見合った色気が不足と感じる。前作の椎名桔平のような役者が出てこないのだから無理もない。今回は元宝塚の月船さららが背中の刺青を見せるぐらいだ。
大友が銃を向ける花菱会の中田(塩見三省)に向かって「さっさとやれ!!」と叫ぶ裏には、ここで死んだほうがずっと楽なんだという思いがあったに違いない。
利用されるのを拒みながらも義理を立てる時代遅れのヤクザ・大友の悲哀が出ているところが、前作のデキを上回った要因といえるだろう。
悪人が多すぎ!
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