アウトレイジ ビヨンドのレビュー・感想・評価
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ところで、あんたは読める奴?
前作は見事なまでに、悪趣味な暴力シーンのオンパレードだった。暴力のプロフェッショナルである「玄人」さん達の業界、そのロジックは恐ろしくシンプルだ。欲望。権力、カネ、バイオレンス、全ては欲望に基づく。だからこそ「組」という統治運用システムを絶対のものとするために、親は絶対であり雪が黒いと言えば何が何でも黒いのであり絶対服従の鉄の掟があるのである。欲望に基づくカオスこそ裏社会の本質であるはずが、全く逆説的に、秩序が求められるがために、その掟はある。
しかし親が衰えれば父殺しを企む息子もある。子のシノギを横取りする親だってある。鉄の掟の上で繰り広げられる欲望の闘争、そこにあるのは一皮ひん剥いた膚の下にどす黒く流れる欲望の囂々たる流れだ。それが暴力となって一線を越えるとき、北野流のじつにブラックで悪趣味きわまりない、和製タランティーノと称するべき世界がスクリーンにぶちまけられる、というのが前作の暴力シーンの趣向であり、北野武監督ならではの、目を背けたくなりつつも凝視せざるを得ない、ギリギリの世界だった。それはありとあらゆる趣向を凝らした、豪華な暴力の博覧会。スクリーンに次から次へと現れては消えてゆく暴力、それが大きな見所であったことは間違いない。
ところが今回は違う。
前作を踏まえながら、そこにあるのは「空気」だ。
確かに暴力描写は存在する。しかしそれは「選択」の「結果」であり、それ自体が映画の目的ではない。北野監督は第二作を製作するにあたり、前作の轍をもう一度踏むことはせず、ナナメ上を行った。そこにあるのは(もう一度言おう)、空気だ。
世の中には二種類の人間がいる。空気が読める奴と、読めない奴だ。今作ではストーリーラインを追いながら、登場人物の立場や物事の白と黒がめまぐるしく入れ替わる。ほんのささいなきっかけで、オセロの盤面を覆い尽くした白が、あっさりと黒へと覆る。登場人物たちは何食わぬ顔でその見えざる盤面を注視し、言葉を選び、狡猾に立ち回る。
読めなかった奴の末路は言うまでもなく、悲惨だ。その結末として用意される暴力は北野流のドス黒さだ。観客が「悪趣味」として感じつつつい笑ってしまう、ブラックな笑い。哀しみをたたえた暴力。そう、暴力とはある一線を越えると「笑うしかない」のだ。キタノ流とはこの境地を指すのかも知れない。
しかし、そこで終わらないのが今作の凄さ。
最後の最後に、北野監督は突然、観客を突き放す。おそらくそのことすら気づかないまま鑑賞を終える人もあるだろう。だからこそ、このラストシーンに込められたブラックな意図こそ、北野節と呼ぶべきなのだ。
最後の最後になって、北野監督は観客を試す。「ところで、あんた、空気読めてんの?」と。その答え、本作の本質は唐突に終わるラストシーンの先にある。
あなたにはその先に何があるのか、読めるだろうか?
全員殺して決着
第一作目の最後のカットで生き残った“悪人”全員が死ぬまでを描く続篇です。
ヤクザから金を受け取り、そのヤクザの生き死にを自分の栄達のために利用する、シリーズ 2作品を通して描かれた悪のヒエラルキーで、最も悪い奴に位置づけられる 刑事・片岡が、いよいよ自分が駒として利用される最終局面にあると悟った大友により撃ち殺される事で、物語は決着を迎えます。
罵り合いが素晴らしい(=´∀`ノノ゙☆パチパチパチ
前作『アウトレイジ』で、北村総一郎演じる山王会の会長を殺して、対立する組の組員と相打ちしたように見せかけて三浦友和扮する加藤が会長になってから、その内幕がどんどん暴かれていくという話。
とにかく関西の花菱会の組員とのやり取りが素晴らしくおもろいキャハハハハッ!!(≧▽≦)彡☆バンバン
そして大友組長を裏切って山王会の若頭に就いた加瀬亮扮する石原の、前作とは打って変わってうろたえて怒鳴り散らしてるのもヾ(≧∀≦ )ブハハッ!!ヾ(≧∀≦)ノブハハッ!!( ≧∀≦)ノブハハッ!!
「チンピラ1人取れねえってどういうことだよ!!!」
Σd(゚∀゚d)イカス!
まずは片岡は山王会の幹部3人組を使って、花菱会と手を組ませて山王会の加藤を倒そうとするも花菱会はそんな何の得もないことに加担するはずもなく加藤に報告してあっけなく露見。
そこで片岡は死んだと思われてた大友組長を使って、さらに前作では対立関係にあった木村と手を組ませて花菱会に杯を貰いに行こうとする。
木村の子分の桐谷健太と新井浩文(・∀・)イイネ!!
バッティングセンターで柄の悪い客を脅したり、大友に「お前等道具持ってんのか?」「はい!」「出すなよヾ(゚Д゚ )ォィォィ」
≧(´▽`)≦アハハハハハ
ホテルで山王会の組員に大友が腹を刺されてうろたえるシーンも(゚д゚)イーヨイイヨー
「何かっていうと腹刺されるな・・・」
「兄貴すまねえ<(_ _)>」
「いやいや、そういう意味じゃねえんだよ(ヾノ・∀・`)」
アッヒャッヒャ!ヽ(゚∀゚)ノアッヒャッヒャ!
そこでこの2人は山王会に襲撃をかけるが、簡単に捕まって殺される。
その仇を撃つため、花菱会に助けてもらうために杯を貰いに行く。
ところがいきなり行ってもそんなの承諾するはずもなく、罵り合いの末木村は自分の小指を噛み千切るという壮絶な指つめガクガク((( ;゚Д゚)))ブルブル
前作でカッターで指をつめろと言い寄られるシーンと見事に対になっててΣd(゚∀゚d)イカス!
ちなみに大友は前作で左手の小指をつめてるけど、今回はできるだけ左手を見せないというさりげない演出もしてあって(・∀・)イイ!!
とにかくここの大友と花菱会の罵り合いだけでずっと見てられるワーイヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノワーイ
塩見三省の面構えも素晴らしいし、西田敏行の関西弁訛りの怒鳴りもまた゚+。゚(・∀・)゚。+゚イイ!!
そして神山繁扮する花菱会会長の大物感はさすがですな\(◎o◎)/
実際山王会の黒い噂も知ってて、何とかして潰せないかと画策してた花菱会はこの2人使えると踏んで手を貸すことにする。
ここから高橋克典扮する殺し屋が出てきて、次から次へと殺しまくっていく。
高橋克典台詞が全くないけど、それがまたいいじゃないか(*´・д・)*´。_。)ゥミュ
ただここの銃撃シーン、ちょっとあっさりし過ぎと言うか物足りない(;・∀・)
特に血があんまり出なかったり、冒頭近くでも中尾彬が頭を撃たれて死ぬところなんかもちょっとリアルじゃなさ過ぎる。
至近距離から頭を撃てば頭吹っ飛ぶぞ?ヾ(゚Д゚ )ォィォィ
まあそれはいいとしても、とにかくそこから山王会をどんどん追い詰めて行って、側近の舟木を捕まえて真相を吐かせる。
そこで行う拷問も、頭に袋を被せた上に電動ドリルで顔を突くという何ともえぐいやり方ガクガク((( ;゚Д゚)))ブルブル
そして加藤が前会長を殺して会長の座に就いたことを洗いざらい吐かせて、山王会にその情報を流して、お伺いに来てた加藤に石原がちくったとでっち上げて内部から崩壊させていく。
そしてついに石原を引っ張り出して大友の所に連れて来る。
そこで大友はバッティングセンターの打席に石原を縛り付けて、頭にボールをぶつけて殺す。
これが硬球じゃなくて軟球ってところがまたえげつない(゚∀゚ ;)タラー
一体何発当たったらいっちまうんだろ?
そして側近を全員殺して、加藤を会長の座から引きずり下ろす。
そこで最初は怒鳴られまくってた幹部の名高達男と光石研が、態度をころっと変えて「てめえどこ座ってんだ( ゚Д゚)ゴルァ!!」とか「金庫が空ってどういうことだこの野郎!!!1週間待ってやるから金持って来い」と威張り散らすのもまたいい感じですなo(`・д・´)o ウン!!
そしてパチンコに行って金を稼ごうとしてる加藤を尾行して、大友がパチンコをしてる加藤を殺す。
大友は花菱会は自分たちの組を復活させてくれるなんて甘いことはしないと分かってて、しかも最初から流れに任せて動いてるだけでやくざにまた戻ろうとは全く思ってない。
だから加藤の側近連中を片付けたらそそくさと表舞台から退いて、出所した時に世話になった韓国マフィアの手を借りて加藤を殺す。
これで終わりかと思いきや・・・
結局木村の組を系列に加え、さらに加藤を引退させた山王会の後見人として東京にも勢力を伸ばしてきた。
水道橋博士が言ってたけど、これは今の日本のお笑い界のメタファーとしても興味深い。
気が付いたらいつの間にか関西勢に主導権を握られてたという感じ。
そして今回の登場人物は常に2人組ないし3人組で行動してるあたりも、お笑いコンビやトリオを連想させる。
そして片岡はまだ引っ掻き回すために、生き残った加藤の側近に木村が加藤を殺したと焚き付けて、直前に形だけだと木村組にがさ入いれをして拳銃や刀を全部押収して丸腰の状態にして、その直後加藤の側近が復讐に来て木村を殺させる。
そして木村の葬式があるが、そこに花菱会の幹部連中が勢揃いで、そこに大友を焚き付けてまた抗争をさせようとして、弔問に来た大友に拳銃を渡すが・・・
その思惑を見抜いてた大友に射殺されて終わり。
とにかく一番悪い奴だった片岡が死ぬことで全部終わったわけですな(*´・д・)*´。_。)ゥミュ
しかし片岡良かったな~ワーイヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノワーイ
「加藤と裏切った石原に、きっちりけじめつけてくださいよ!!!」
Σd(゚∀゚d)イカス!
そして俺が一番印象的だったのが・・・韓国マフィアを演じた金田時男。
本物の迫力ってああいうことなんだなと実感した。
個人的にはたけし映画の中でも1、2を争うくらいの傑作だと思う。
狐と狸の群中で、忠義に尽くす犬二匹
北野武監督のヒット作『アウトレイジ』続編!
いきなり残念だった点から挙げてしまうと、前作のような、
並のホラーを凌ぐほどの緊張感に満ちたバイオレンス描写が薄まってしまった点かな。
だが人が死ぬ場面で驚くほど感傷が交じらない点はいつもの北野節。
パチンコ屋やバッティングセンターみたいな日常の中で人がコロリと殺される様は、やはり異様。
それに今回は画的な派手さが薄れた分、シナリオが面白くてテンポもアップしている印象だ。
アコギな方法で膨張した山王会とその幹部連中が
ずるずる崩壊してゆく様を眺めるのは、なんか爽快。
手際良いビル解体作業を見てるような快感とでも言いましょうか。
前作では辛抱強かった加藤会長もインテリ石原も、上の立場になって調子付いちゃったね。
仁義なんざ無視してのし上がったもんだから、
信用できる人間なんて一人もいない。
不満を暴力で抑え付ける事しか出来ない。
出世したからって調子に乗っちゃノンノン。奢れる者も久しからずってね。
代わりに策士振りを披露するのが敵対勢力・花菱会の面子。
表向きはあくまで山王会の味方のまま、捨て駒に持ってこいの大友・木村を焚き付けて
山王会を襲撃させる手際が憎らしいほど見事。顔では怒り狂ってるが、そのじつ冷徹で計算高い。
西田さん、塩見さん、顔も性根も悪過ぎです。あ、いや、役柄の事ですって。
そんな保身や損得感情のみで動く、狐と狸みたいな奴らの中で、
恩義・忠義に尽くす猛犬2匹——大友と木村がカッコいい。
彼らが手を組んだ理由は利害の一致じゃなく、互いへの罪滅ぼしと、
悪党なりにも“仁”を重んじる者同士としての尊敬の念からだ。
そしてあのラスト!
自分が殺られるなんてこれっぽちも考えてなかったろうねえ、片岡さん。
「へ?」という最期の言葉に、少し笑ってしまった。
それまでは確かに策略通りにコトを動かしていた彼だが、最後だけは読み違えた。
他の連中のように私利私欲で動く人間なら、思考を読むのは得意だったんだろうが、
大友はそんなタイプじゃないし、片岡が見下していたほどの間抜けでも無かった。
あれは落とし前とかケジメとかじゃなく、戦友を殺された事に対して
ただただ単純にブチ切れ(outrage)ただけだと思う。
人間臭くて、良い。
という訳で、僕はかなりかなり楽しめた。
今回が完結編という事だけど、また続編作ってほしいなあ。
<2012/10/6鑑賞>
古風なヤクザ・大友のケジメ
口を開けば「バカヤロー!!」「やれねーのか!!」「やってやろーじゃねーか!!」の連発でコメディーかと思えた前作に比べると少し知的な内容になった。
いわば前作は意地の張り合いで、今回は謀略の張り合いがテーマ。
刑事の片岡(小日向文世)が関東最大の山王会と関西の花菱会を衝突させようと画策する。このぐらいのこズルさを、日本の外交でも発揮して欲しいものだと思って観てしまう。
前作で一番悪い奴は、まんまと山王会の会長にのし上がった加藤(三浦友和)だったが、今作で一番のワルはこのマル暴・片岡だ。片岡の陰謀は際限がなく無差別で、獄中にいた大友(北野武)の足元にまで及ぶ。
前作で賢く立ちまわって山王会の若頭の座を手に入れた石原ののさばり方がいい。ある意味、今回の紛争の火種的存在で、敵からも身内からも、そして映画を観る客からも嫌われる役どころだが、加瀬亮が上手い。
ほかにも役者は多いが、それぞれの役割がはっきりしていて、ごった煮にならずにすんでいる。
バイオレンス描写は前回同様、ことさら過激だと吹聴するほどのものではない。むしろ、それに見合った色気が不足と感じる。前作の椎名桔平のような役者が出てこないのだから無理もない。今回は元宝塚の月船さららが背中の刺青を見せるぐらいだ。
大友が銃を向ける花菱会の中田(塩見三省)に向かって「さっさとやれ!!」と叫ぶ裏には、ここで死んだほうがずっと楽なんだという思いがあったに違いない。
利用されるのを拒みながらも義理を立てる時代遅れのヤクザ・大友の悲哀が出ているところが、前作のデキを上回った要因といえるだろう。
悪人が多すぎ!
全員悪人を演じてしまって、それも全員が主役級の演技。ここまで役者を集める必要があったのかどうかは、監督だけが知っていることなのでしょう?
次々とヤクザが殺られてしまう場面にしては、緊張感が伝わって来ません。あまりに簡単に復讐劇が進み、ベルトコンベアーに乗っているかのような、シナリオ通りの殺戮です。
巷では、民家の床下から3人の遺体と多数の行方不明者。家族間での暴行を強要されたり、聞くに堪えない事件の発覚です。
今回のアウトレイジ ビヨンドは、今ある現実を超えることが出来なかったようです。
「ビヨンド」はできなかった
前作から5年(という設定)で、なんとも様変わりした。前作からのストーリーを引っ張ってるのは大友、木村、片岡ぐらいで、他の人物は(少なくとも本人たちにとっては)完全に新しいストーリーと言っても過言ではない。
ではまず、その登場人物たちから。正直、主演であるはずの大友の影がかなり薄くなった。前作もアンサンブル・キャストが見所ではあったが、今回は話の規模が山王会、花菱会、さらには警察にまで及んでいる。そのため一人一人のキャラクターは強烈なのに、全員を描くことに必死になり、大友の出番がグッと減ってしまった。さらに前作で大友は完全にヤクザだったので、射殺シーンなど見所がたくさんあった。今回も石原を追い詰めるシーンなどは引きつけられるが、ほとんどの場面では水を打ったかのように静か。
そのほかのキャラクターも良くない。石原はインテリ派だったはずが、今回は怒鳴り散らしてばかりで完全にタダのチンピラと化している。その石原を恐れて、他の多くのヤクザが幹部会でヘコヘコしてるのも見苦しい。加藤も天下を維持するので精一杯。虚勢を張っていてとてもヤクザには見えない(ただし終盤は、少しだけだが哀愁のあるシーンがあって、良くできている)。
それに比べ新規のキャラクターはほとんどが最高だ。木村の手下は序盤にしか出てこないものの(なんのために出たのかすら分からない)、前作とは違ったコミカルな要素を持ってきていて、テンションの低い大友との掛け合いが面白い。さらに花菱会の面々も際立った人物ばかり。花菱の会長は「俺こそがヤクザの会長」といった雰囲気を出していて、ステレオタイプだが見ていて飽きない。その若頭である西野(西田敏行が好演。どこぞの釣り好きよりもこっちの方がずっと似合ってる。)と中田はこの作品で一番ヤクザらしい。CMなどでも前面に押し出されていたが、彼らが怒鳴り散らすシーンは「会話中の緊迫感」が見事に表現できている(このときの大友もやはり良い)。彼らの部下が山王会を始末していくときの冷静さも、スカッとするほど鮮やかな殺害シーンと相まって、次はいつ殺るのかついつい期待してしまう。
こうした面もあってか、ストーリーは前作の方が良かった。今回の方が序盤から殺害シーンが目白押しなので、締まりはいいのだが、いかんせんヤクザっぽくない。前作のときの会話の緊迫感が全く存在していないのだ。「いつキレるか分からない連中が〜」というのが、先ほど挙げた花菱での会話ぐらいで、山王会は”本当に”最悪。警察の片岡が動きすぎていて、ヤクザの出番を奪っている。それに加え、彼自身が持っていた「味方なのか敵なのか分からない」魅力が無くなった。
要するに、脚本を練りすぎていてキャラクターが死んでいるのだ。ストーリーの筋は完璧なのに(上手く行き過ぎな風は相変わらずだが)、裏世界の魅力が不思議なほど損なわれている。前作はたけしによると「人をどうやって殺すかを考えて作った」というぐらいだから、荒削りながらも「殺し」という行為を極限にまで高めていた。
とはいっても、見ていて面白くなかったか言うと、そんなことはない。それどころか十分楽しんでいた。やっぱりたけしはどこで見せれば良いのかは理解しているし(BGMの使い方は古くさいが)、復讐を軸に置いたところも前作とは別の楽しさができた。
エンディングについては色々あるだろう。歯切れの悪さは前作以上だが、私は気に入った。ある意味すべての元凶を片付けたわけだから、「復讐を遂げた」という点では最高だ。少ない大友の出番という意味でも、素晴らしい(唐突なのが衝撃的だ)。
山王会が代替わりしたせいで、映画も変わってしまった。「ビヨンド」というわけにはいかなかったが、佳作点はあげられるだろう。
(10月21日鑑賞)
まあまあ面白かった
前作は場面場面はけっこう面白いところもあったけど全体的にだらだらした印象で、そんなに抜群に面白かったわけではなかった。今回も特に期待せずに見に行ったら、まあまあ面白かった。ヤクザの誰がどうというより、場末感たっぷりのバッティングセンターや、その事務所などがとても魅力的だった。あんな場末なところでだらだら商売して生きていくのはいいなと感じた。
中野貴雄さんの顔の傷がかっこよかった。
加瀬亮は常に切れていて小物感たっぷりでよかった。
三浦友和は全然ヤクザに見えなかった。
こんな冷めた感想じゃなくてもっとハラハラしたりドキドキ本気でしたかった。
(追記)
前作と続けて見ると前に見た時より面白い。加瀬亮が組の重鎮たちに横柄にふるまいすぎで、大丈夫かと思うと当然大丈夫ではないが思っていたよりは大丈夫だった。大阪の親分や幹部と三浦友和の組の幹部、警察などトップの活動が中心だ。たけしの出番は遅い。たけしが出所したあと韓国人のチャンさんが何もかも面倒見てくれる。顔に傷を負わせた中野英雄と仲直りするどころか兄弟になるすごい展開だ。「オレはもう年だからよ」とちょっと元気がない。その分加瀬亮が元気いっぱいだ。
よくもたくさんの人が殺される映画だ
やくざ同士の抗争を利用してやくざ勢力の弱体化を図ろうとするプロットは黒澤さんの「用心棒」を思い出させた。 それにしてもたくさんの人が殺される映画だった。現代ではあり得ないだろう。それとも、この世の中、静かに気づかれずに抹殺されている人間が多数いるのかもしれない。映画の展開は面白く良くできていると思うが、最後に刑事も含めて殺されてしまうのは、あまりに現実離れしていると思った。北野武のパワーには圧倒されたが、60代半ば過ぎての歳で見る好ましい映画には合致しないような印象であった。
ヤクザのトップも哀しい
「アウトレイジ」の続編として見なければならない。
それはまず、登場人物の人間関係が前作を前提に描かれているため、前作を見ていないと難しいという点で、続編である。
それとは別に、前作と合わせてアウトレイジの世界観を補完するという意味で、続編である。すなわち、下っ端ヤクザの哀しみが描かれていた前作に対し、今作はヤクザのトップも哀しいものとして描かれている。両作を合わせて、全ヤクザが哀しいアウトレイジの世界観が完成することになる。
とはいえそうであるが故に、しがない一ヤクザに過ぎないはずの大友を巡って関東で栄華を極める山王会の屋台骨が揺らいだり、朝鮮マフィア(?)が登場したりと、話のスケールが大きくなり、前作のリアリティが失われている。
多少豪華なVシネマ
たけし映画を最初から最後まで観たのは実は今作が初めて。
もちろん、前作も未見だが、話は大体理解できる作りになっている。
僕はヤクザ映画にも現実のヤクザにもなんの憧れも無いので、頭にきたら全滅させる程度にしか思えなかった。
要は、拳銃持ってて頭数揃えて不意打ちする方が勝つゲームなのかな?この話は。
たけしとチョロのコンビが関西やくざの親分と杯交わしたから潰せたんじゃなくて、高橋克典を起動させたから戦争に勝てただけでしょ。
杯の件もドラマとして弱いし、そもそもやり取りが面白くもなんともない。
罵り合いの対話も、ばかやろうだの台詞が全然粋じゃないし。
松重豊演じる純粋系刑事の視点が唯一共感の対象だった。
怖い描写も特に無し。
ほぼ唯一の面白殺害シーンのアレも、実は初弾で意識飛ぶので、そこまで
黒沢清の「蛇の道」の続編、「蜘蛛の瞳」がおススメ。
たけし版「用心棒」×「乱」と言ったら大袈裟か。
三浦友和が追い出されて門を出てくるところが仲代達矢にだぶりました。襲撃、殺戮のモンタージュ?が『乱』っぽかった。そうか、衣裳は黒澤和子なんだしな。小日向文世は『用心棒』の役回り、ただし悪党で。
そんなこんなですが、個人的には前作の方が好き。あっちは完全にエンタメ(B級の意味で)してたけど、今回は遊びが少ない。バイオレンスが控え目。あと、やっぱりたけしのたけしらしいところは芝居達者な人たちを集めることじゃないんだよな、と痛感。
今回はヒットを狙っての豪華配役、という目的のもとなので芝居できる連中が集まっちゃったんで啖呵切りまくりの映画になっちゃった、いつもやらないことをやってみた、という感じがした。けど、そのシーンは笑えるほどいい。特に塩見さん、最近やさしいお父さん役をよく見てたので久々シビれた。あと中野英雄、高橋克典、かっこ良かった。でもやっぱり、たけしの映画のいちばんドキリとするのは、決して芝居がうまいとかじゃないんだよな、と思った。せめて、桐谷、新井のところはもっと無名の若手でもよかったような気がする。悪くはないけど。
ツケは絶対に回ってくる
インパクトは前作の方がありましたが、今回は禁じ手で乗し上がり調子こいた奴等が全員しっぺ返しを食らうという続編らしい展開だったと思います。笑いの方も序盤の取り調べシーンはコントみたいで面白かったですが、あとは真面目な展開だったので、前作の指入りラーメンの下りみたいな笑いがほしかったですね。
容赦なしは痛快
TVドラマやエンターテイメント邦画なんかだと主要キャラなんかはピンチを上手く脱したり、運よく逃げ切ってハラハラドキドキ、よくあるシーンですが現実味がないんですよ。
その点この映画は狙われたが最後、確実に死にます! ヤクザに狙われてるんですもんそりゃそーでしょ。他の作品なら死なない役者さん達がボッコボコ殺されます。
微妙な感じ
結構期待していただけに少し微妙な感じになりました。
前半は大友らと花菱会との駆け引き等があり面白かった。また、大友が刺されて桐谷らが焦るシーンも見応えがあった。しかし、後半になって山王会を襲撃する場面になってからは殺人一辺倒で単純すぎた。
なんとなくクローズZERO2を思い浮かべてしまった。前作が面白く、2を観に行ったが喧嘩一辺倒で終わってしまってがっかりしたのを覚えている。
やはり、次作となると前作よりハードボイルドにしないといけないという流れになってしまうのだろうか?
総じて言うと、前半は面白かったが、後半は単純だった。終わった後は後半のイメージが強く微妙な感じに終わった。
全員悪党、でもない
あんなに白昼堂々とヤクザとつるむマル暴はいないでしょ。先輩の大友をたてつつ、自分の筋書き通りにことを運ぼうとする片岡。前作より圧倒的に出番が多い。大友には長生きの道を選択してほしかったが、やはりヤクザのメンツとケジメを選んでしまった。暴力団の生態をみせられても、住む世界が違うからね。くれぐれもシロウト衆に迷惑をかけないように。
残念
前作が持っていたテンポや迫力、ワクワク感みたいな物が無い。これはシナリオ段階での失敗、カット割りも変えてきたけど嫌い。それぞれのキャラクターとその人物が持つ思い、そういう根本の描写に説得力が無い。やっぱり一人一人が何を思って何を背負って行動するのかは映画の芯だと思う。
究極のピカレスク
これは絶対前作を見ておかなければ楽しめないかもね;;
北野映画の真骨頂、ムダをそぎ落とし「暴力」のみで
人間のズルさプライド、虚しさを描ききった!
まさに溜飲が下がるラスト。
「いつまでも調子こいてんぢゃねぇ!!コノヤロー!」
暗転の後にたけしの怒声が響き渡るかのようにさえ思えるカタルシス。
しびれました!
男達の復讐、策略の果てには。
日本で有名なやくざ映画といえば、「仁義なき戦い」。
その名脚本家は、北野作品のシナリオの弱さを指摘したそうだ。
それに応えるかのように、この「アウトレイジビヨンド」は、脚本をとても丁寧に練ってあると思う。
無駄な脇筋は、極限までそぎ落とし、次から次へと起こる復讐や策略や暴力の連鎖が見事。
でも、警察関係者の登場が、片岡にすべてをもっていかれあまりに少ない。
あれだけ、拳銃をぶっ放して殺人を犯しているのだから、もう少し絡んできても良いのではないか。
下剋上でのし上がった者は、少しの猜疑心で簡単に窮地に陥る。
自分が裏切ったということは、他人も自分を裏切って当たり前なのだ。
その猜疑心が、疑心暗鬼が、次から次へと殺しと報復の連鎖を起こす。
その繋がりが見事。
女性の登場は、たったの二人だけ。
しかも、写真とほんの少しの場面だけ。
あとは、男と男と男たち。
自分の利益と延命にひたすら駆けずり回る加藤と石原には、無様な死が待っている。
良い人に見えてくる木村には、すっきり綺麗な死が。
でも、その顔には、醜い十字の線がくっきりとある。
殺らなきゃ、殺られる。
そんなどん詰まりの世界で繰り広げられる、男達の威信をかけた駆け引き。
でも、これって、拳銃を使わなければ、社会、又は会社の中で起こっても不思議じゃないよね。
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