「ヤクザ映画版の「小津映画」です?!」アウトレイジ ビヨンド ソーヤさんの映画レビュー(感想・評価)
ヤクザ映画版の「小津映画」です?!
前作『アウトレイジ』に引き続き、今回もまた、男の愚かさと破滅への道程を、非情な視線から描き出しています。まるで「冬の花火」というか「空虚な男祭り」といった印象・・・?!
ただし前作と決定的に違うのは、「コトバ」と「顔力」の応酬でストーリーが進んでいく点。監督自身も「前作は海外では暴力描写で賛否両論あったため、それなら言葉のやりとりの暴力映画を作ろうと思って・・・」と発言していますね。
そのせいか、前作に比べ、キャスティングの意外性が薄れて、「いかにも」といった感じの表情と怒号のやり取りに終始してしまったのは、ちょっと残念だったかな・・。
でも私は、定番のキャストとセリフによって独特なリズムを帯びた小津[安二郎]作品を楽しむように、本作も存分に楽しみましたよ~。まるで小津監督の『小早川家の秋』(1961年)を観るような気持ちで。
そして観終わった後ふと思い浮かんだのが、シェイクスピア『マクベス』の、次のセリフ。
「消えろ、消えろ、つかの間の燈火!
人生は歩きまわる影法師、あわれな役者だ、
舞台の上でおおげさにみえをきっても、
出場が終われば消えてしまう。
白痴のしゃべる物語だ、
わめき立てる響きと怒りはすさまじいが、
意味はなに一つありはしない」
むむむ、、、さすが、シェイクスピア先生の「コトバ」は重い・・・
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