80年代に週刊少年ジャンプに連載され大ヒットしたコミック。TVアニメにもなり、これも人気が出た。そして20年経った今、なぜ作り直さなければならなかったのか?しかも人気俳優に吹替えを担当させるなんて・・・などと、全く期待しないでの試写会鑑賞となった。
タイトルには「ラオウ伝」とあり、「北斗の拳」サーガ全5部作の第1章とも謳ってるようです。もちろん原作ではケンシロウが主人公であるし、もしやラオウを中心とした内容なのかもしれないとも期待しましたが、「お前はもう忘れてる」などと言われそうなほど記憶がないので、何も考えずに観たのです。冒頭では、核戦争後の未来。リュウケイが3人の養子をとって一子相伝の北斗神拳を伝授する等の説明。すぐに南斗と北斗の十人組手で幼少のケンシロウがピンチとなる過去のシーンへと移ります。すでに聖帝サウザーが帝国を築きあげようとしていて、そこにはユリア、レイ、シンもすでにいないことから、続編でも登場がないのかもしれません。
長兄ラオウには修羅の国出身のレイナという女性戦士が腹心にいて、最初からケンシロウが北斗神拳伝承者と納得している様子です。次兄トキも病的ではありません。ストーリーの記憶がないので、何やら知ってるような知らないようなエピソードによってラオウがいい人のように描かれています。戦いにしても「ひでぶ」や「安部氏」が出てきませんし、一体どんな展開になるんだ?と心配になってきたところへ、大好きな南斗白鷺拳のシュウが登場するじゃありませんか!ここから一気に好感度アップしちゃいました。
仁星のシュウがサウザーの築いたピラミッド聖帝十字陵を聖牌を担ぎ登る。子供たちは泣きそうな顔で彼を見守る。まるでキリストが十字架を担いでいるようで、このシーンで涙腺が決壊しました。ああ、第1部はシュウのための映画だったんだ・・・と感動してしまうと、その後の闘いがどうでもよくなってきたほどです。
レイナ役の柴咲コウはあまりにもミスマッチだったし、ケンシロウの阿部寛も「アタタタタタ」という六連符のタンギングテクニックがなかったせいでしょうか、神谷明の雰囲気よりはブルース・リーの雰囲気でした。特に余韻を残す「ァァァ」という声は『燃えよドラゴン』を彷彿させるほどエコーが効いています。声でも良かったのはシュウでした・・・
【2006年3月試写会】