「重厚な作りだが・・・」聯合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実 tochiroさんの映画レビュー(感想・評価)
重厚な作りだが・・・
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山本五十六と言うと、自分のような年配者にとっては、かっての東宝の「8.15シリーズ」の三船敏郎の印象が強いが、役所広司もそれに劣らず実に存在感のある山本五十六像を創りあげていた。全体の作りも重厚で丁寧な印象がある。太平洋戦争の発端から終結までを俯瞰的に描いているのも分かりやすくてよい。ただ自分にとって気になるのは山本五十六側の軍人と対立側の軍人の描き方にあまりに落差があることだ。まるで山本五十六側だけに見識があって、軍令部総長が余計な入れ知恵をせず、南雲司令がそれに唯々諾々と従わなければもっと有利に戦争終結に持ち込めたと言わんばかりで、少し一方的に過ぎるように思う。もちろん戦局の悪化を糊塗し続け、戦争終結の見通しも持たず戦死者の数を重ね、あまつさえ「一億玉砕」を叫んで日本を滅亡の淵に追い込んだ当時の軍指導者には弁解の余地はないが。
勝ち目のないアメリカとの戦争に、国を挙げて自信満々臨んで行った背景(原因)を描くことが「70年目の真実」なのかどうかは分からないが、閉塞感に覆われた現代の日本が「止められなかった誤った道」に踏み込まないように、参考にすべき点があるかもしれない。
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