「田舎暮らしへの耐性試験みたいな作品。」HOME 愛しの座敷わらし お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)
田舎暮らしへの耐性試験みたいな作品。
観光映画というジャンルがあるのかどうか分かりませんが、盛岡・遠野・滝沢村などの美しい風景を、これでもかと取り入れた「観光映画」でした。
ストーリー上は、とりたてて大きな事件が起きるわけではありません。
オカルトチックに始まりながら、最後には客席全体が心暖かい気持ちに包まれるお話で、主人公のように「まっすぐ頑張ってきたけど報われない人たち」にはジンと来る話だったと思います。
ところで、この映画の観客席について、一言述べておきたいと思います。
客席からは、映画が始まっても私語や飲食の音などが止まることがありませんでした。
ちょうど、お菓子やミカンを食べ、雑談をしながら農村歌舞伎を楽しむ観客席のようなノリでした。
ふだんあまり映画を観ない人たち、つまり映画観賞のマナーを身につけぬままに初老期に達した人たちが多いのだろうか、と思いました。
ストーリー自体が、農村歌舞伎ばりのおおらかなお話だったからかも知れません。
他の映画だったら、こんな客が一人でもいると気が散ってしまいますが、この映画に関しては、ま、いいかと許せたのが、この映画の持つ「人徳」というものかも知れません。
主人公たちが過ごした季節は、東北地方の初夏から秋にかけてです。
東北がいちばん輝いている季節。
美しい季節だけをつまみ食いし、長く暗い冬を過ごさずに東京に帰った主人公たちがハッピーエンドで終わることに、いま一つ物足りなさを感じた東北出身者も、いるかも知れぬと思いました。
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