007 スカイフォールのレビュー・感想・評価
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シナリオ破綻
映画はシナリオが基本と考えます。どんなに物理的に破綻した荒唐無稽な物語でも、物語としての「筋」が通っていることが肝要と考えます。
「スカイフォール」シナリオの破綻
①ボンドの走行列車上の任務遂行時、マネペニーに狙撃を指示したMの判断。もし相手が落下していたらファイル回収はどうするのか。あのような「物」は自然界への埋没を期待するものではなく、原則回収が義務づけられている。状況判断、指示としてあり得ない。→ 非現実的
②戻ったボンドを、適性検査が「不適格」でありながら同じ任務に復帰させるぐらいなら、最初からボンドに全面的に任せているはず。Mの自宅での二人のやりとりで、ボンド自身が指摘しているが、Mの言い訳の「緊急事態」は①の観点で破綻している。まして、実際にファイル内の潜入エージェントが暗殺されている設定は①の判断ミスを物語るというジレンマに陥っている。後のM後任者とのやりとりや査問委員会でのMの強気は滑稽でしかない。
③死にぞこなって現実逃避、自暴自棄、堕落の生活に陥っていたボンドが、偶然TVでMI6爆破事件の報道を見て戻るという設定 → 陳腐
④ボンドが島に乗り込み敵を逮捕する場面。元エージェントがボンドの身体検査をしないわけがない。捕まるための罠であっても、逆に身体検査をされないことで疑問をもつのがボンドの力量。ボンドが無線機をかざし味方ヘリが上昇する場面のボンドは滑稽でしかない。(疑問を持たず指示されるがままに演じる役者って…)
⑤MI6のMの執務室を爆破する力を有する敵が自らつかまる意図が不明瞭。捕虜の苦しみや自害カプセルの後遺症を披露する「恨み言」のためなら、冷酷キャラと矛盾。脱走して査問委員会でMを銃殺するためという理由なら訳がわからない。「恨み」ならいつでも暗殺できた。
⑥脱走方法が不明。→ 雑
⑦逃走場面(追跡場面)。「罠」のためだけの、お決まりの地下鉄設定。→ 陳腐
⑧逃走場面の「罠」。爆破によりボンドに突っ込んでくる走行列車。爆破を「外した?」の台詞が滑稽。運転手や乗客が見えない。テロリストが「回送車」を選んだ?「回送車」の時間に「罠」を合わせた?あり得ない。阿鼻叫喚を端折ったとしか思えない。ってか、ずばり不要なシーン。
⑨敵を迎え撃つための準備や方法が陳腐。老人の素性も不明瞭。挙げ句の果てに「こんな家」という陳腐な台詞でプロパンガス爆破、最後はナイフって…どこが「Mr.ボンド」の任務遂行なのか…
⑩Mの死(心臓麻痺?銃弾や破片だったとしても同じこと)。ずばりボンドのせい。査問委員会の現場から逃げおおせたのだからMI6に匿ってもらっていればMは死ななかった。生身を晒している、殺されるという恐怖、そこそこ高齢なのに寒い夜を長距離半走り…想定内でボンドがMに課したようなもの。→ 破綻
面白く、かっこいい!
まさにResurrection
過去作品へのオマージュ、リスペクトと、そこから始まる再出発。まさに50周年といえる作品だと思いました。
冷戦時代の遺物と化しつつある諜報部員という存在について語るMと、そこにオーバーラップする走るボンドの姿は感動的でした。もはや現代においてスクリーンの中でもヒーローがあっけらかんとヒーローとして存在することができず、一度その存在や意義を自ら否定し、あるいは他社から否定されなくてはならないのは、ダークナイトと似たアプローチでもありますが、時代の流れですかね…。
しかし、その一方でMを連れての逃亡にあのアストンマーチンが。赤いボタンと助手席の仕掛け(実際には使われなかったけど)、マシンガンなどなど、「これぞ007」なアイテムが登場。生家を舞台に死闘を繰り広げて過去と決別するボンド、Mの交代劇…過去を清算し、一区切りをつけて新たな再出発を図ってみせた、なかなか粋なストーリー展開と演出だと思いました。
レイフ・ファインズは、あのために今回から出てきたんですねぇ…なるほど。男性のMと、その執務室、秘書の存在も、昔の007みたい(昔のはショーン・コネリーのをちょっと見たことある程度ですが)。
痛みのない情報社会に一喝
ダニエル版「007」三作目にして「007」シリーズ生誕50周年作品。
なので気合も入っていただろうと思わせるほど、映画としてもとても面白い作品になっていたと思います。
アクションシーンは大作映画の割には地味でド派手さが欠けていましたが、無駄に「ジェイソンボーン」シリーズみたくカメラワークをブラしたり過度の画面の切り替わりがなかったため非常に見やすかったです。
CGを極力使わないスタンド重視のアクションも「生身の人間」としてのボンドをより際立たせ緊迫感もあって見ごたえあり。
それからストーリーもとてもよく、特に映画に登場する各キャラクターも魅力的。人間味ある演技を各役者がしてくれているので感情移入もしやすいです。
特にシルヴァは悲劇的な悪役としては良かったと思います。最初はなんか不気味なやつだなと思っていましたが、終盤に行くにつれ不気味な笑顔の裏にあるMへの憤りと子から親への愛情が見えてくる様はこのキャラの悲痛な過去があったのだと思わせます。
これらを見てシルヴァとボンドの違いってなんだろうなと思ってしまいました。
Mから見放されたても忠誠心と英雄心を保って戻ってきたボンドと、復讐心にとらわれたシルヴァとの違い。多分それは直に戦場でどれだけ痛みを味わい他人の痛みも見て味わってきたかだと思います。
前二作「カジノロワイアル」と「慰めの報酬」でそれを味わってきたボンドに対しシルヴァはネットという情報社会に浸りすぎてそれを知らなかったためあのような違いが出たのだと思います。相手を理解し思いやりを思いやりを持つということにシルヴァは欠けていたからボンドとは違いMに対して復讐心しかわかなかったのではないかなと思います。
その他にも現代の情報社会の欠点が見て取れるようなシーンがあり、この映画は画面に表示される絵では味わえない、現場百回でしか感じることができものがあると情報社会に一喝しているように思えました。
人間味あふれるドラマで、「007」シリーズに新たな可能性を与えた一作だと思います。なかなかいい映画を見させてもらったと思える作品でした。
ダークなボンド
結論から述べるなら・・旧作DVDレンタルで充分!
男くさいのがいい(^^)
ダニエルになってからの007はあちこちで評価が高いが、今回もかなり良かった。
記念作品だけに、あちこちにこれまでの007シリーズのエッセンスが散りばめられていますね。ファンならニヤニヤしながら見ちゃうはず。
2度目以降も楽しめると思う。
生まれ育った環境にまで踏み込んだり、Mとの一筋縄ではいかない感情のやり取りもいいですね。
ただ今回はボンド・ガールの存在は希薄気味かも……f^_^;)
それと……コモドドラゴンは怖すぎです((((;゚Д゚)))))))
これが時代なんでしょうが・・・。
出だしは快調ですが・・・・
全くの予備知識無しで観賞しました。
冒頭の列車での激闘からMI6本部が爆破されるまでは、
画面に引き込まれましたが、ボンドが軍艦島に乗り込む?あたりから、
俄然話がつまらなくなり、SKYFALLでの決戦
(何故ここで戦うのか?何故MI6は応援に来ないのか? 皆さん分りました?)
のあたりでは「早く終わらないかな…」と思ってしまいました。
よく考えると、存在さえも秘密のハードディスクを、
何故第一線のエージェントがノートPCに入れて持っていたのかも良く分らないし、Qに折角もらったワルサーも余り有効に使われないし…と、
いい加減な脚本という印象です。
折角登場した古(いにしえ)のボンドカー・アストンマーチンDB5も、
Mとのやり取りで脱出シートの話が一寸出たのが嬉しかったですが、
余り活躍しないで爆破されてしまい、残念でした。
ただ、本作を非常に高く評価されている方も大勢いらっしゃいますので、
人の感性というのは様々なんだなと思います。
007は、「死ぬのだ奴らだ」以降をほぼすべて、
劇場でリアルタイムで観賞していますが、
次回作を観に行くかどうか微妙です。
それでもオマージュではないだろうか
ボンドはショーン・コネリーの頃から見ているロートルファンだが、
どういう訳かダニエル・クレイグのボンドが、
ショーン・コネリーの次に好き、いやかなり大好きなので、
今作もとても楽しみだった。
その理由は色々あるが、コネリーの頃はあの時代ならではの、
そして今は今ならではの、時代の空気を体現したボンドなら、
自分的には楽しいと感じるから…だと思う。
(この二人の間のボンドは寧ろ、その辺の感覚が鋭く無いので、
きっと個人的にはそんなに好きでは無かったのだろうと。)
というわけで、MI6も007も現代の目線に晒され、
旧世界では考えられなかった厳しい事態を招く展開だけど、
それと並行して、寧ろ逢えて作り物っぽい旧態依然とした異国情緒や、
お約束のアクションシーン、アストン・マーティンやその例の装置、
それを揶揄する台詞等々、
数々の「懐かしくそそられるカラクリ」が現れる。
最終的に、ボンドとシルヴァを精神的に分けたものがなんだったのか…、
そこにもう少し踏み込むと良かったとは思いつつも、
これもいつもは描かれない、ボンドとMとの絆について想像しながら、
自分的にはあっという間に物語は終わった。
結局、MもQもミス・マネーペニーも総入れ替えとなるオチを見て、
コアの部分に収束したんだな…と思うと、
全編を通して、これも007シリーズの過去へのオマージュであり、
そして次回作への転換と意欲という感じがして、
個人的にはやはり007シリーズは嫌いじゃないな…と劇場を後にした。
いや~ぁ映画はIMAXに限るね。
やっと時間がとれたので劇場へと足を運んだ。どうせ観るならIMAXと決めていたのでいつもの劇場へ。 今回の007はこれまでとちょっと趣向が違っていた。つまり巨大な悪の組織が相手と云った図式ではなく、いわば等身大の悪党がボンドの敵なのである。そしてM演じるジュディ・デンチが1934年生まれの高齢と云ったことなども加味されて今回の脚本となったのではないだろうか。スカイフォールとは、あぁそういう意味だったのかと思う程度のことだけど敵とボンドの過去とMとの情が少し絡んだ関係が物語の中心だった。
このため物語の厚みがない分少し物足りなさを感じてしまう。
でも、アクション・シーンはいつもどうり派手でいいクルマも何台も壊す贅沢さ。
やはり007はハズレのない一級のエンターティメント映画といえる。
IMAXで観たからアクション映画としても充分楽しめた。
冷酷なスパイの世界にも多少の家族愛が存在するとボンドは云いたかったのだろう。
こりゃ凄い。
最初は半信半疑だったんですよね。ダニエル・クレイグの前の二作で「ダメだこりゃ」と感じてましたから、今回もスッテンテンじゃないかと…。
はい、僕が悪ぅございました。スカイフォールは文句無しの快作です!!!
注目はMとQの世代交代。これがねぇ、また上手く説得力を持たせた展開なんですよ。ジュディ・デンチの引退作が見事に花開いた感じですよねぇ。いやぁ、恐れ入った。
新しくて古い007。まさにその言葉通りの逸品です。
みる価値なし
時間が空いてアクション系がこれだけだったので事前知識なしでみたのですが・・・
最初の10分のアクションは「これぞボンド!!」と思うのですが、その後2時間はほんとうに退屈で途中で寝そうになるぐらい面白くないです。
予告CMの列車に飛び乗って、列車の後ろがぶっ壊れるシーンが山といってもいいかもしれないです。
何が悪いというと物語のメリハリといったものがありません。
事件→説明→キャラクターの関係形成→事件→ピンチ→どんでん返し→クライマックスという波がほとんどない
事件→説明説明説明説明説明→事件→説明会話会話会話会話→ピンチ!!
みたいな感じです。
また、ボンド映画ということを踏まえると
ボンドカー(改造車両)が出てこない。旧式のカッコイイ外車は出てくるんですが、いまいちです。
ボンドアイテムが地味すぎる。リアル思考にしすぎてかっこよくない上に地味
見に行かなくていいです。
レンタルで旧作の値段になってから本命買った後に財布に余裕があってまがさせば借りたらいいお思います。
昔とは違うボンドでした
久しぶりに007を観ました。
ショーン・コネリーこそボンドだと思ってましたが、ダニエル・クレイグも渋くて良かったです。
アクションシーンや、ウイットに満ちたやり取りなど、ボンドの人物像があまり変わってなくて、すぐに作品に入り込めました。
結局最後は肉弾戦、というのも以前同様ですし。
007は水戸黄門のような様式美があって、お決まりの展開があるけどそれを分かっていながら楽しむ作品でした。
米ソ冷戦、NATOvsワルシャワ条約機構 という分かりやすい対立の構図の中で、作られてきた作品です。
なので、昔のボンドにこだわる人には、この作品はあまり面白くないかもしれません。
敵役がなぜ、あんなに強大な資金力や組織力を持っているのか、全く語られていません。
ちょっと唐突な感じを受けました。冷戦時代なら説明不要なことなんですけどね。
でも、ボンドの魅力が非常に大きな要素を占めている作品なので、ダニエルのボンドなら次回作もぜひ観たいと思います。
いい仕事をしたと思いますよ、サム・メンデス。
前作より15%予算減で50周年企画を担おうというサム・メンデス監督作品、非常に面白い映画に仕上がったと思います。007映画は男性優位時代の能天気でいい加減な魅力が必要なのですが、新シリーズはかなり渋い系になっていたので、古いファンにも目配せしないと、ととってつけたようなアイデアを盛り込んだりするお祭り感覚、というか商売の要請に乗るのは嫌いではないです。
「派手な設定とグラマラスな美女、新メカ、大物俳優のゲスト出演で楽しめればいい」、というロートルファンがここぞとばかりにいろいろ言うと思いますが、今頃そんな薄ら寒い設定のまま大作の企画が通るはずなく、そいつらはDVDで昔の作品でも観て褒め合ってろ、と言いたいですが、「スカイフォールの意味は?」とか「悪役はどうやってMI6から脱出したのか」とか「クライマックスMI6の仲間を呼べばいいじゃん」とか言ってる方々もいったい何を楽しみにお金を払って観に行っているのか本当にわからないが、まあ、いろいろな観方があるんだなと思いました。
ダニエル最高。
とても楽しめました。
毎回楽しみなオープニングですが、映像は今回のが一番美しいと思う。アデルの歌声とも合っているけど、歌詞にもっと深みが欲しかった。これまでの曲では「カジノロワイヤル」のクリス・コーネルが一番良かった。迫力があったし、歌詞がクールで渋くて好き。
列車上のアクションやイスタンブールのバザール上でのアクションは見応え抜群! 上海の夜景もきれい! 007シリーズの良さの一つは、世界各地を旅した気分になれるところ。
今回はロンドン市内での派手なアクションも見所ですが、女王陛下のお膝元でって初めてではないかな?
悪役のバルデムには不気味さを期待し過ぎでした。金髪じゃないほうが良かったのでは?
シルヴァのMに対する憎悪は、ボンドにも起こり得たことかと(今回近いものが合ったよね!?)思うと恐ろしかった。でもボンドは彼とは違うから無論大丈夫なのだけど。
しばらく登場なしだったQが、サイバーテロにも耐え得る天才オタク君としてリニューアルされいい味出してます。思ったより活躍しなかったので、(とはいえ、これまでのQと比べるとかなりの活躍か)次回もっと活躍してほしい。 ラストちょい前で位置付けされる名脇キャラもいい!これまでとは格段に違う存在感となりそうです。
今回は上海で登場のボンドガールが美しくて良かったのに、あっけない幕切れで残念だった。今回の真のボンドガールはM・・・?だからやむを得ないのかしら。
タイトルは敵のスケールを意味しているのかと思いきや意外な出所で、ボンドファンには嬉しい種明かしでした。
歴代のボンドの中で最もクールでモダンなダニエル・クレイグがとにかく良かった! 途中、体力の衰えが痛いほど表現されていて、「おいおい今回で引退のオチかよ」とハラハラさせられましたが、ノープロブレムです。
次回作を早く見たいです。
皆さんも是非見てみてください。
ここ20年で最高の出来
007シリーズはゴールデンアイ以降しか観たこと無いですが、その中では最高の出来ではないでしょうか。
今までの敵といえば、世界征服を企む輩、しかし今作の敵は全く個人的な理由でボンドやMI6を追い詰めていく。
ダニエル・クレイグになってからのシリアス路線が、他のレビュアーが述べている「ダークナイト」の様だと揶揄する表現につながっているのかもしれないが、この二つの作品は似て非なり。己の在り方を自答するバットマンに対して、今作のボンドは過去との対峙。バルデム演ずるシルヴァも、ジョーカーがあまりに悪役として強烈すぎて比較されやすいが、シルヴァの原動力ははっきりしていて、ジョーカーはとりとめもない。
まぁ、監督のサム・メンデスはダークナイトに影響を受けたとの発言をしている様だが。
IT時代にアナログなスパイは必要なのか、ペン型爆弾は時代遅れだと一蹴、わかりやすく単純な悪の描写が受け入れられなくなった9.11以降の世界に合わす様に、過去のシリーズとの訣別とも思える表現が、今作では過去の作品を引き合いに出すことで描かれています。
これまでのボンドを否定する事で、次の50年へバトンを渡す、そんな重要な意味合いを含ませつつ、カーチェイス、肉弾戦、女好き、銃撃戦、といった007に必要な描写も手を抜かず、作品そのもののバランスが絶妙。
これまでに見られた衛星からのレーザーやステルス艦と言った荒唐無稽とも思える表現は落ち着き、スパイの「重み」すら感じる仕上がり。
個人的にお気に入りのシーンは、上海の高層ビルのイルミネーションをバックにボンドと敵が戦う姿がシルエットで浮かび上がり、揉み合いながら時折放たれる銃のマズルフラッシュが互いの顔を浮かび上がらせるシーンです。
いずれにせよ、この作品が、この先の007の方向性を決める作品となるのは間違いないと思われます。
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