「映像だけで語れる事はもっと多かったかも」ライフ いのちをつなぐ物語 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
映像だけで語れる事はもっと多かったかも
あのぅ……なんかここの所、タイトルに“ライフ”と付く
映画ばっかり観てる気がするんですが。
映画館のチケット売りの方にも
「(ポスターを指しつつ)こちらの“ライフ”でよろしかったですよね?」
なんて聞き返されたし。
似たタイトルばかりだと映画館の方も何かと面倒かもね。
要らぬ心配はさておき映画のハナシ。
『アース』『オーシャンズ』などのいわゆる
ネイチャードキュメンタリー映画を観たことが無い自分。
なのでその辺りとの比較はできないのだが、とりあえず間違い無いのは、
大画面で観るアザラシの赤ちゃんが死ぬほど可愛いかったこと(笑)。
ゾウの子どもとか温泉に浸かるニホンザルとか
もう悶絶しそうなくらいに可愛いし、
ハエトリソウに捕まるハエのクローズアップは
もう悶絶しそうなくらいに気色悪い。
アイベックスの崖下りも本当にスリリングだし、
“調理”するサルなんてのも初めて目にした。
さすが最新の撮影技術を謳うだけあります。
しかし、最新技術を駆使した映像は見事であるものの、
大自然の生態に迫る!みたいなドキュメタリーは
これまでテレビでもさんざん演ってる訳で、
本作の映像も僕には六割方デジャヴを覚えてしまうような内容だった。
似たような映像が世間で出回っている以上、
あとは作品のテーマやテーマに見合った編集で
独自性を打ち出すしか無いと思うんだが、
本作はその辺りがイマイチかなあ。
ゾウ親子のシーンとかワシの骨割りとか、
宣伝で『100%の真実』と謳っていながら、
『ドラマチックにしよう』という意図が見え隠れする
編集があちこち施されちゃいないか。
そこに『人工物』のにおいを感じ、ちょっと気持ちが醒めてしまった。
最初と最後に流れるメッセージや、饒舌過ぎるナレーションも……
なんつーか、「さあ感動しなさい!」と言われてる感じがしてどうも。
ナレーター自体は特に不味くなかったと思うケド。
こういう映画の場合は過剰な演出がどうにも煩わしい。
これだけの映像が撮れたなら、映像だけで語れる事はもっと多かったのではと思う。
ま、それで動物達の可愛らしさや逞しさが薄れる訳じゃない。
動物好きの方は観て損ナシじゃないかな。
出産や狩りなど、血の多いシーンも極力映らないように編集されてるので
血の苦手な方や小さなお子さんと一緒に観る映画としても最適。
動物園を観に行くくらいの気軽さでドーゾ。
<2011/9/4鑑賞>