声をかくす人のレビュー・感想・評価
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悪魔を呼ぶ熱狂の渦
アメリカ史上初の女性死刑囚は無罪だったかもしれない。
1つの国が南北に分かれ、戦争で血を流し何を得ようとしたのだろう・・・
敗北した、南部の残党は一矢を報いるべく、秘密裏に敵への奇襲を企てていた。
そして、北部出身のリンカーン大統領は暗殺された。
国中が怒りと不安に包まれた。
犯人グループを宿泊させた罪で南部の下宿屋の女主人が逮捕された。
力を持つ北部の全ての者が、怒りに囚われ熱狂の渦にいた。
その悪魔のような絶大なパワーへの生贄に女主人が選ばれた。
世論の怒りを静めるべく、死刑ありきで裁判は進む。
彼女は守りたいものの為に、死刑を受け入れた。
息子が事件に関わっていたことを、ひた隠すために・・・
身に覚えのない罪で、殺されるという最悪の時に
自分の為に姿を現さない息子をどう思っていたのだろうか?
実の息子が自分を見捨てた真実は、死刑よりも残酷なはずだ。
全てを悪魔が支配した、それしか説明がつかない・・・・
法を沈黙させる人。
リンカーン鑑賞後に本作を観たことが何とも皮肉で感動を呼んだ。
「戦時に法は沈黙する」を堂々と謳い上げたレッドフォードに感服。
共謀犯かもしれない息子を守る母親、有罪をでっちあげる軍政府。
どこに正義がと思う法廷劇に息を飲み、リンカーンが長引かせた
南北戦争が齎したものが憲法改正ともうひとつあったことに気付く。
憎悪と復讐で人間は裁けないことを知りつつ、それでも重罪殺人を
犯した子供の両親を断罪したくなるのが世間の常識であることをも
痛感させられる。非常識こそ法下の正義であると目を啓かされるが
報われないのは事実を正確に訴えれば葬られていく声の方である。
久々のレッドフォードの映画は見ごたえ十分でした!
歴史とかほとんど詳しくないけど南北戦争やKKKとかアメリカの人種差別問題は嫌でも聞かされる事実です。
リンカーンを暗殺したメンバーを下宿させていただけで共謀犯にまつりあげられ死刑にされる女性の物語。
映画はこの女性が無実ということをベースに話が進むから南北の人の溝の深さや裁判の不当さがとても気になるけど真実はわからないよね…。
北部の人間なのに南部の人間を弁護する羽目になり、やがて自我の正義に目覚めていく主人公、しかし、現実は甘くない…。結局、巨大な組織に勝つことは出来ず命を守りきることはできなかった…。
親子の愛や、人間の絆、正義とは何か、をじっくりと描き出してくれた映画でした。
それにしても最近リンカーン映画多い〜な〜。
おまけに、映画と全然関係ないけどテアトルシネマで見たら、来年閉館するの初めて今日知りました。シアターn渋谷も12月に閉館だし、どんどんこういう映画館なくなっちゃうんやね〜悲し。
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