「役者さんが悪いのか、演出が悪いのかしらないけど、みんな軽い感じで悲壮感がなく、悲惨なだけだった。」一命 Push6700さんの映画レビュー(感想・評価)
役者さんが悪いのか、演出が悪いのかしらないけど、みんな軽い感じで悲壮感がなく、悲惨なだけだった。
三池監督は、すごいチャレンジャーだと思います。今までいろんなことに挑戦して、とうとう日本映画の歴代最高レベルの名作に手を出した。
これは自分の演出力に、かなりの自信がなければできないことだと思います。
でもちょっと不思議なのは、宣伝とか解説その他に小林正樹監督の「切腹」のリメイクと書いてないことです。
ということは、別物だから比較しないでということで、真っ向勝負というわけでもないのかな?
内容的には、いわゆるリメイク映画と比べるとよくできている方だと思うけど、やっぱり元が超名作だけに、真っ向勝負はきびしいかもしれないというレベルでした。
いろいろイラっとくるところはあるけど、一番気になるのは配役かな?
仲代さんがやっていた役が、海老蔵さんでは、軽くなり過ぎ。作ったときには想定外だったのかもしれないけど、暴走族に殴られて逃げ回っているイメージがあってよくない。
やるなら瑛太さんところでしょう、それだったらピッタリだった。
海老蔵さんのところは、ベタだけど、役所さんがやればよかったと思う。
それから、満島さんのところもかわいいけど、よくない。
幸うすい感じはいいのだけれども、童顔すぎて悲壮感(悲しさの中でりっぱに振る舞うようす)がない。
全体的に言えるけど、役者さんが悪いのか、演出が悪いのかしらないけど、みんな軽い感じで悲壮感がなく、悲惨なだけだった。
テーマ的にも、別に同じにする必要はないけど、前は「カティンの森」(2007)的なものだったのに、今回は単なる復讐劇というか、武家社会への反抗みたいなものがメインで、だいぶ軽くなっていて、あまり共感できなかった。
それから、劇場で3D版で見たけど、覚悟していたとはいえ、3Dだったのは雪と文字だけという、とんでもなく酷いものだった。