「もしもの世界。」ミッション:8ミニッツ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
もしもの世界。
多くのD・ジョーンズファンがおっしゃっているように、
私も「月に囚われた男」でやられてしまった一人である。
まぁ~泣いた、泣いた、心でむせび泣くっていうの?(古)
まさにそんな感じだったなぁーなんて思いながら観た本作、
やっぱりラスト近くではむせび泣き(T_T)、また同じだった。
本作もテイストはよく似ている。
なんですか、あの予告(だいぶ反響をよんでるみたいだけど)
映画通ほど…ってやつですね。そもそも映画通って何なの^^;
そう言われて「あ、はい私映画通ですから」と思える人は素敵。
私は通じゃなくてバカの方なので…じゃあどっちなんだろか?
と期待しながら観てしまった。結果は…う~ん泣かされた(爆)
ま~話の運びが巧い。
観客までも列車に同乗させ、主人公と一緒に犯人探しをさせ、
さらにロマンスまで絡める。かと思えば悲しい過去を露呈させ、
人生にやり直しは利くのか?という難問を突きつけてくる。
原題「ソースコード」、これはプログラムの中での出来事である。
テロによる列車爆破は起きた後、第二の予告テロを防ぐための
ミッションがこの8分間なのである。繰り返される転送と爆破、
このままずっと主人公は転送され続けるのだろうか、と考えて
より切なくなってくる観客に、少しずつ変わる環境を味わわせ、
待てよ、これって何とかできるんじゃないのか?ひょっとしたら
この乗客全員を助けることが可能なんじゃないのか?と期待を
膨らませる方法が巧い。結果、最後までミッションが展開する。
確かに人生、そうは巧くいかない(T_T)
理想(仮想・夢想・構想・妄想)と現実世界とは異なって然りなのだ。
人生のもしも。はどちらかといえば後悔の念が引き起こす。
もう戻らない時間や人間や物体をいつまでも追い求める脳内世界。
特に今回のようなテロにあっては、犠牲者の魂が救われないのが
何より辛い。博士が開発したこのソースコードの目的が犯人特定
に絞られることに対し、主人公が最も重要視するのが救済である。
この監督、こういった自己犠牲的なテーマをこれは如何にもという
目線でなく、ごくサラリと描いてしまうところがすごい。
なぜ大尉が選ばれたのか。なぜショーンの身体なのか。どうして
彼は父親と話がしたいのか。このミッションを成功させたいのか。
謎が謎を呼ぶ(考えるとキリがない)展開の中、物語は佳境に入り、
ついにラストの8分間へと向かっていくが。。。
ストップモーションの中、列車内に散りばめられた笑顔の光景は
おそらく誰もが今作の冒頭からは予想し得なかった映像だと思う。
J・ギレンホール(ホントに名画座みたいな名前^^;)
監督を逆指名し今作を作り上げたのだが、とてもいい演技を見せる。
一瞬しか顔を拝めないショーン先生(だったよね)が一番の犠牲者
(言い方が悪いかしら)では?という気がするのは私だけだろうか。。
いや違う、運命は、信じた方が勝ちなんだから。魂よ、永遠なれ!
(どの世界、どの時間、どの相手とであれ、幸せならばそれが一番)