「俊英ジョーンズがハリウッド・デビュー作で切り開いた自らの可能性」ミッション:8ミニッツ ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
俊英ジョーンズがハリウッド・デビュー作で切り開いた自らの可能性
ベン・リプリーが執筆したこの脚本は「ブラックリスト」にランクインするほどの高い評価を獲得した。だが、この奇想天外なSFストーリーを映像化できる才能は一握りだ。まずは主演のギレンホールの出演が決まった上で、彼の提案もあってダンカン・ジョーンズに白羽の矢が立ったのだという。
本作の魅力は、最小人数の登場人物の素晴らしさだ。ギレンホール、ミシェル・モナハン、それにもう一人のヒロインであるヴェラ・ファーミガも実に奥行きのある演技を見せてくれる。当のジョーンズ監督は、前作『月に囚われた男』とは全くかけ離れたジャンルに挑戦したくて本作を選んだそうだが、じっくり見ていくと、ものの見事に物語の構図やテーマ性が似ていることが分かってくる。とはいえ、これは娯楽性と作家性の両面を巧みにカバーした高品質の作品。ハリウッドデビューを果たしたジョーンズの持つ可能性を、国内外に大いに知らしめた快作と言っていいだろう。
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