劇場公開日 2011年8月27日

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「これが、サスペンスだ!」ゴーストライター 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0これが、サスペンスだ!

2013年2月13日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

興奮

知的

英国元首相ラングの自伝執筆を依頼されたゴーストライターの男。取りかかるが、謎が湧いて出る。
前任のゴーストライターの死…。
ラングの隠された過去…。
ラングの突然の戦犯容疑…。
やがて、政界を揺るがす陰謀に巻き込まれていく…。

「チャイナタウン」「フランティック」など優れたサスペンス映画でも知られるロマン・ポランスキー。その手腕が冴え渡った上質のサスペンス。

特に取り得も無い名もなき主人公はゴーストライターとは言え物書き。性分からか真実を追求するが、追い求めれば追い求めるほど危険の中に足を踏み込んでいく。ユアン・マクレガーが危うさと共に何処か滑稽さも滲ませる。
某スパイのようなラングの二枚目の顔と、その顔の下に隠されたもう一つの顔。明暗の付け方はラングのあだ名のように“役者”だ。ピアース・ブロスナンが絶妙に演じる。
何か秘めた雰囲気を醸し出すラング夫人。ラスト共々、オリヴィア・ウィリアムズが印象を残す。

真実が全て正義に繋がる訳ではない。真実に政界が絡むと尚更。
ゴーストライターの末路に、政界の闇の戦慄を感じる。

話的にはよくある陰謀劇で派手なシーンも無いが、不穏な冒頭から衝撃のラストまで、静かながらも流れるような展開で、見入ってしまう。寒々とした孤島の風景も一役買っている。
巨匠が手掛けたヒッチコック風巻き込まれ型サスペンスに満足。

旨みと醍醐味たっぷり、これぞサスペンス!

近大