「伏線がすべて明かされないワケ」ゴーストライター いずるさんの映画レビュー(感想・評価)
伏線がすべて明かされないワケ
一般の人が政治の世界に巻き込まれたらどうなるか。
ラストの展開に疑問が残ります。
丁寧に丁寧に物語を展開していたのに、早急に纏めなければいけない、と広げた風呂敷を無理にひとまとめにしてしまって、色々と重要なものを取りこぼしているような……
風で舞う書類の描写は、『真実は闇の中』の暗喩のように思えて、すごく素敵なのですが、主人公(ゴースト)に感情移入していただけに、もっと幸せにしてあげて!と叫びたくなりました。クライアントの家に泊まると必ずその家の妻といい仲になってしまう(本人はいつもじゃないと否定していましたが、おそらくいつもの事でしょう)ような、静かでユーモアがあって知的な良い男なのに……
劇中、代理人に電話がつながらないのは何かの伏線かと思いましたが、
続報もなく真相は分かりませんでした。気になる。
『すべての真相が分からない』訳は、一般人のゴーストライターが主人公なので、その目線に寄っているからでしょうね。
もちろん彼は仮にも文章を書く人間なので、十分情報収集能力や観察力はあり、普通の人より状況がよく分かっている方。
しかし一般人なので、すべては分からない。
作家にとってよく分かるのは感情の機微などです。状況よりも感情の描写が多いのもその為でしょう。
それを私はリアリティーと感じました。
リアリティーを大切にしている良い映画です。
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