劇場公開日 2011年8月27日

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「彼はゴースト。」ゴーストライター ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0彼はゴースト。

2011年11月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

興奮

知的

贅沢な気分です。
久しぶりにストーリーを純粋に楽しめる映画に出逢えたというか、画がうるさくない静かな世界に没頭できたというか。
躍動しない映像は、抑揚ないままにスクリーンに貼り付き、その中をキャラクターが動く。キャラの一挙一動が彼らの心情となり、個性となり、物語になる。
でも、動かない画の変わりに楽曲はやたらと弾む。飛び跳ねる。だから全神経が画面に向く。心の余所見をさせない。
つまりは没頭している。
画と音楽の上手い役割分担。

ストーリー自体に斬新さや最先端的なモノは無いんですけどね。
何だろう。『味』がありますね。
オーソドックスではないというか。

兎に角、語り口が面白い。

映画自体は謎解き、ミステリー、サスペンスの様相。
でも主人公は警察でも探偵でもない。一介の物書き。ゴーストライター。
会話に切り札忍ばせないし、あっさり疑わしき人物に情報垂れ流すし、隙は多いし、嘘も言えない。
だからこそというか、そこから生まれる生々しい緊張感。ライヴ的なハラハラ感。
そして、オーラスで見事にこなす、納得の伏線回収。
終幕は唸りましたね。

最後の最期まで、堪能しきりの128分間。
個人的には、続編を期待しています。

ロロ・トマシ