「プロセスは良いが終わってがっくりのポランスキー流サスペンス」ゴーストライター odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
プロセスは良いが終わってがっくりのポランスキー流サスペンス
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主人公は自叙伝のゴーストライターですがよくある探偵ものと同様、おいしい仕事の筈がとんでも展開という、巻き込まれ型サスペンスです。原作(ゴースト)は当時ブレア首相がモデルではないかと噂され売れたらしい。
この種のミステリー小説は一人称で語られますが映画も同様、主人公の視点での展開なので観客にも誰が敵で味方かも分からず否応なくテンションが続きます、この辺の気持たせの上手さはポランスキー監督お得意の演出ですね。
プロセスには文句はなのですが観終わってレビューを書こうと考えてみると疑問が噴出、脚本の手抜きにも関わらず演出で騙された感がこみ上げます。元側近の告発ならこんな回りくどい方法でなくともマスコミに直接リークすれば済むことなので動機が読めませんし、秘書のアメリアが何故原稿の謎を知っていたのか、ひょっとして彼女はMI6?ネット検索で簡単に機密情報が得られるのも手抜きでしょう。反面、舞台になったアメリカ東海岸のマーサズヴィニヤード島、主人公がタクシーでジョークを言っても無反応な運転手のシーン、実は島は遺伝的難聴者が多いことでも有名らしい。ことほど左様に人物描写にはこだわる反面、国家だのCIAの策略などと大風呂敷を広げてもたたむどころかひらひらさせて終わってしまう、ハッピーエンドが嫌いなところもいつものポランスキー監督らしい。
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