「カウボーイ(米国人)&エイリアンズ(英国人と宇宙人)」宇宙人ポール 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
カウボーイ(米国人)&エイリアンズ(英国人と宇宙人)
オープニングからしばらく頭の中で、
スティングの『イングリッシュマン・イン・ニューヨーク』が流れ続けて困った。
まあ映画に忠実に言えば『イングリッシュマン・イン・LAのコミコン』なんだが、
「オー、アイム・ア・エイリアン(あたしゃよそ者)」なんて歌詞もあるし(笑)。
とてつもなくどーでもいい話はさておき。
アメリカを訪れたSFオタクのイギリス人コンビが、
エリア51から脱走したフランク過ぎる宇宙人と共に
政府から逃げ回る羽目になる、ロードムービー風味のSFコメディ。
ところで主演のサイモン・ペッグ&ニック・フロストは本作の脚本も担当している。
最近この2人はホントに大活躍ですねえ。嬉しい。
抱腹絶倒とまではいかないものの、
パロディに風刺にあるあるネタにと多彩な笑いが盛り込まれている本作。
やっぱり笑えるのは、タイトルにもなっている宇宙人のポールだ。
マリファナ吸うわ、スラング連発だわ、サブカルにやたら詳しいわ、
見た目と特殊な力を無視すればもうチャキチャキのアメリカっ子ではございませんか。
けれど、だんだん宇宙人ポールも他のキャラもみな同列に見えてくるのが面白い。
大人げないオタク2人、
キリスト教原理主義者(あとで理性崩壊)、
気に入らないとすぐケンカを売る野郎ども、
銃を撃ちまくるおとぼけ捜査官、
つまり、みんなイカれた連中に見える(笑)。
まあ他方から見れば誰だってヘンな連中ってことでしょう。
「なんで仏教徒がクリスマスやハロウィンを祝ってるんだ? 訳分かんねえぜ!」
「ニホンジンは腐った豆や生魚を喜んで食うらしいぞ! ホーリー・○ット!」
みたいな。
未知の文化を頭ごなしに否定するんじゃなく、
「ま、そういう人種もいるわな」くらいの広い心で構えましょうって事かしら。
あと個人的に一番ツボだったギャグは、
ポールを執拗に追う黒幕“ビッグ・ガイ”の正体!(爆)
劇場で危うく声を上げて笑いそうになってしまった。
まさか、あの人類が誇る対宇宙人戦のリーサルウェポンが登場するとは。
怖がる訳だわ。素手でも超強いし(爆)。
人を選ぶだろうお下品なギャグも多いが、風刺が利いてて、
気持ち良く笑えて、しかも最後の方はちょっぴり泣ける、
素敵に良く出来たSFコメディです。
ところでポールがスピルバーグから電話を受けてた場所って……
『インディ・ジョーンズ』のあの場所だよね。
<2011/12/24鑑賞>