劇場公開日 2011年12月23日

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宇宙人ポール : 映画評論・批評

2011年12月13日更新

2011年12月23日よりシネクイントほかにてロードショー

SF映画のパロディが導くサブカル世代のアメリカ人論

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オタク御用達のコメディにすぎないと思えば大間違い。なかなかどうして、単なるパロディでは終わらぬ境地へ達していく。重要なのは、脚本・主演の2人がイギリス人であることだ。ホラーや刑事アクションをモチーフに、映画的偏愛を描いてきたサイモン・ペッグニック・フロストがSFマニアに扮し、アメリカに乗り込んでオタクの聖地をめぐる。表層的には、スピルバーグ作品を筆頭に数々のアメリカ映画へのオマージュのつるべ打ち。脱走を図った宇宙人ポールと遭遇し、故郷への帰還を目指す彼との逃避行が、ストーリーの柱ではある。

コミックコンベンションに始まり、広大な西部のUFOスポットをキャンピングカーで旅するうちに、知的な笑いが見え隠れしてくる。まずはポールのキャラクター。英語が達者で下ネタやジョークを飛ばしまくり、やたらとフレンドリー。政府に拘束されながらも、半世紀以上にわたってポップカルチャーに影響を及ぼしてきた彼こそは、外国人から見たアメリカ人らしいアメリカ人だ。一方、道中で出会う、排他的で粗暴な連中や、進化論を否定し、ポールを目の敵にする狂信的なキリスト教原理主義者もまた、この国の別の顔。こうなるともう、誰がエイリアン=よそ者なのか混沌としてくるから面白い。

ロードムービーのスタイルを採って、20世紀後半の伝説となった西部の原風景をたどる本作の正体とは何だろう。人を癒し覚醒させる科学的な神であり、往年の映画の中のアメリカ人の典型でもあるポールを、イギリス人2人組は解放することになる。これは外部からの視点による、風刺精神に満ちたサブカル世代のアメリカ人論に違いない。

(清水節)

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