「ロミオ」秒速5センチメートル(2007) まきさんの映画レビュー(感想・評価)
ロミオ
終わった恋を何度も反芻して、あの時はああだった、あのときああしたのはこんな理由があったからだ、彼女はこんな気持ちだったんだ、あの時の経験が自分を形作っているんだ…と妄想し続ける…
わかる、わかるよ。すごく好きな人と別れたあとってそうだよね。
でもね、自分に酔いすぎ。気持ち悪い。
最後に会ったのが13才で、大学まで出てたと考えると第三部で仕事辞めるまでに軽く10年近く経ってるんだよね?
10年、同じ女の終わった思い出の中でぼんやり生きてるの?ほかの女の子と付き合ってるのに?
何でアカリちゃんのことをそんなに強く思うことになったのかも分からないからこっちも思い入れをもてないのかもなぁ。
第一部が完全に男目線だから、そもそも二人が思い合ってるのかも謎。第二部以降の男の自分に酔った妄想万歳な思考回路を見るにつけ、「彼女と強く惹かれあってる」ってとこから彼の思いこみなのでは?女の子はただちょっといい感じだった男子程度にしか思っていないのでは?と思う。
新海誠の恋愛観って微妙だな…この映画は、気持ち悪くて子供っぽい男が妄想垂れ流しながら特になんのきっかけもないけど立ち直る映画なの?
映画なんだから、せめて何らかのきっかけはほしいよなぁ。起承転結の転がない。
タイトルのセンスと風景描写に★を2つ。最後の山崎まさよしで細かくカットを挟み、途中で曲がタメを作るところで映像も止めるという演出、しつこくてしらけたのでそこで-0.5です。
主人公のあらゆる行動が気持ち悪いけど、もっとも痛々しいのは「宛先のないメールを打ってる」ってとこ。しかもそれをちょっとかっこいいことみたいに言ってるとこ。まぁ高校生だからね…痛めの高校生ってそういうことするよね……と思って許すしかないけど。