「感動できるかは視聴者の経験に委ねられる」秒速5センチメートル(2007) じゅんさんの映画レビュー(感想・評価)
感動できるかは視聴者の経験に委ねられる
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短編3話からなる本作は端的に初恋の切なさを描いた物語としては最高。
しかし短いゆえに人物の描写としては弱く、主人公にも感情移入しにくい。
この感情移入できるかのポイントは視聴者の経験が大きく左右する。
最終的な結末がハッピーとは言いがたいのでむしろ感情移入しすぎると凄まじい憂鬱感をしばらく引きずることになると思われる。
遠距離恋愛経験者で、かつ成就することなく終わった経験のある人などは視聴注意であると警告しておく。
人物描写の弱点を補うのはリアルな背景描写だろう。
主人公に感情移入しないまでも、リアリティのある世界観が作品への没入度を高めてくれる。
個人的には馴染みのある駅や路線名などがそのまま出てきたことにより、すんなりとのめり込むことができたように思う。
クライマックスは山崎まさよしの名曲に頼りきった盛り上げ方であり、演出力には疑問が残る。
新海監督作品はこれから順番に観ていくつもりなのでここからどう変わっていくのかを楽しもうと思う。
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