「まぁ、そう成りますわねぇ…。」ダークナイト ライジング こっこさんの映画レビュー(感想・評価)
まぁ、そう成りますわねぇ…。
何だかんだの最終作、前作でメチャクチャに成ってしまったゴッサム・シティを、《悪者》に成ってしまったバットマンがどう街を救うのか、ほんの僅かな期待で観始めた。
今回はジョーカーが出ない代わりに、ラーズ・アル・グール(リーアム・ニーソン久し振り!!)に“鍛えられたけど見捨てられたと云う傭兵(←誰にとっての?)ベイン”とか云うデッカいのが主敵に成っていた(メチャ強で頭も回るが、いかにも口のマスクが弱点そうなキャラで、最終目標も曖昧w)。
序盤のウェイン産業乗っ取り話の辺りから、ゾロっと役員会議に並んでいる人の、誰が重役で誰が弁護士なのかゴチャゴチャしていて、ウェイン産業が乗っ取りに遭いブルースが放り出され、その後突如ベインが彼等を全部裏切り、テメェで中性子爆弾奪っておいて、急に市民を脅迫した挙句に不安を扇動し、改めてバットマンを貶める辺りの展開は強引で、ハッキリ言って理解しづらかった。〈キャット・ウーマン〉がアン・ハサウェイだったのにはちょっとビックリ(この頃が絶頂期の美しさだね)だったけど。
警察もいいように振り回されて、丸ごと地下に閉じ込められちゃうのも、ややご都合主義(ゲイリー・オールドマンは市警本部長なのに巡査並みに働くけどw)かな。
まぁ前作で、バットマンの権威も肉体も地に落ちていたのだから、ベインがそんなに目の敵にする必要性は感じなかったのだが、「奈落」と呼ばれる地下監獄までバットマンが叩き落とされ、復活するまでの道のりは「ロッキー3」ぽくて良かったw。
心身共にボロボロのバットマンが地下囚人達や、リーアム・ニーソンに鍛え直され(?)て、見事脱獄成功のシーンは、分かっていても手に汗握る展開(しかし、この「地下監獄」って、公共の監獄なのか、何処の誰が管理してる場所なのか最後まで不明なのは笑った)だった。
ところがその後がいけません。(ウェインと寝る関係にまで成った)よく分からない慈善事業している金持ちらしき女性が、物語上においてもあまり意味の無い突然の裏切り(ゴッサム・シティってそんなに嫌われてるの?w)。
「私も監獄を出た身なの。(どデカい傭兵)ベインは私の弟よ!」と慌ただしい時に叫ばれてもアナタの身の上知らないですから、コッチはポカ〜ン…。
そして、その間に市民と刑務所の囚人が、それぞれ2つの船に分けて乗せられて、死ぬか生きるか二者択一の危機(…を愉しむベインw)。
M.フリーマンは007で云うところの〈Q〉だけど、地下工房を荒らされたり、いつの間にか取り返してたりと状況が二転三転(機械が壊れるのも修復するのもw)していたが、ギミック的な要素の強いバットマンの各種乗り物や兵器は、惚れ惚れするほど美しく格好良いので、終盤強奪された方のモービルは撃たれ弱くて、取り返した方のモービルは逆に撃たれ強く成っちゃうのは、仮面ライダー並みの調子良さw。
結局、バットマンが(やっぱり口のマスクが弱点だったw)ベインを倒してから、全てがトントン拍子で上手く行き、皆大喜びで大団円(全部ネタバレする気は無いので、観た人には分かる大掛かりな場面もカッコ良かった)と成る。
最後のヴェネチアのシーンはマイケル・ケインのサラッとした演技に感嘆しました(でも、ウェイン産業って破綻したんじゃ…w?)。
それに未来のゴッサム・シティには、新たに『ロビン』が居てくれる…。
とまぁ、非常に乱暴で雑駁な振り返りをダラダラ書いたのも、「打ち負かされるメリ、立ち上がって叩きのめすハリ」と云う点においては、上出来だったと思います。又、本作を「二面性」と云うキーワードでレビューしていらっしゃる方が居られましたが、此処まで辛辣なコメを書いてきた自分には、上記のメリハリしか残念ですが感じられませんでした。
根本的には、街の状況の変化や視点(貧富や格差社会等)がアッチへ行ったりコッチへ行ったりで、「ゴッサム・シティ」にはどうしてこんなに〈因果因縁〉みたいなものが色々取り巻いているのか、どうにも自分には分からないからです。
「彼」は去り、ロビンが後を継いだとしても、一体それがハッピーエンドなのかどうかも、今もって理解が及びません。
単純に「話が暗いから」とか云う意味合いでは無く、やはり、クリストファー・ノーランの描く世界観に《バットマン》は合っていたのか、自分としては疑問が残りました。
話が長くなりましたが最後に、ブルース・ウェインはあのマスクを被ると、声質が変わる機能が何処かに付いてるんでしょうか?本人が声色を使っているんだったら笑ってしまいます。フリークの方へご教示願います。