「がっかりした人に読んでほしい」ダークナイト ライジング aiueoさんの映画レビュー(感想・評価)
がっかりした人に読んでほしい
本作をみてがっかりした人に読んでほしいです
少し長いですが、共感できる人もいるとおもいます
1,悪役について
ベインの声は意外にも間抜けでなんだか親しみやすく、口を隠した状態で目線の変化だけで内面を表現するハーディの演技はすごいのですが
バットマンと並べるためにわざわざ影の同盟をがまた出てきたのはよくないです、強さの理由はあのマスクからすっているドーピングだけで十分です、でもなんでドーピングマッチョがフットボールスタジアムで選挙運動みたいな演説をするのでしょう、それとハーヴィーデントのことをばらすシーンのせいで「ダークナイト」でのテーマが決定的にこわされました、極めつけにひどいのは奥の手として原爆を持ってきたことです
「ダークナイト」の続編で原爆かよ、「ハートロッカー」の続編で主人公に巨大ダイナマイトを解除させるぐらいあり得ない
世界で唯一の原爆被爆国でありながら原発のことでいろいろともめている日本人が一番敏感にならなければいけないだろ
自分の不注意で原爆をテロリストに渡してしまったやつをヒーローにするような話を簡単に評価するなよ
前作はジョーカーの演技がすごい以前に話がよく練られていた
ジョーカーは40年にでてきた名悪役だがそれに焦点が当てられるなかでもう一人の悪役を作り出す、そう、トゥーフェイスです、彼も42年からいるバットマンを代表する悪役です
ハーヴィーと聞いてピンとくるマニアもいるが本当に見事なシナリオだった
それに対して今回は黒幕が「実は私がラーズの娘よ」と説明するだけで見事とはいえないと思う
2,ださいよバットマン
なんでヒマラヤの奥地で心身ともに訓練された忍者が2回も女にだまされるのでしょうか
キャットウーマンはいりません、バットマンが死んだのはキャットウーマンのせいなのに最後はいいやつになってしまって、バットマンにおける善悪の道徳的テーマをぐちゃぐちゃにしています
どんでん返しでてきたタリアも全くゴッサムっぽくない、まるで脚本の締め切りまじかに「ユージュアルサスペクツ」をみて、思いついたかのように慌ててつけた程度のシナリオです
バットマンの死に方は「鉄腕アトム」や「アイアンジャイアント」と同じでありきたりだし、墓穴を掘ってただけです
前作はバットマンが人間のヒーローとして戦ったからかっこ良かったのであって、今回はすごいのはルーシャルフォックス(科学者)だけだということになってくる
3,最後に
決してつまらない映画だったとはいいません、確かに面白いところもあります、最初の映像なんかは度肝を抜かれました
大好きなバットマンが終わるというのにこんなに批判されるシナリオのできなのが残念なのです、決して前作のようにネガティブな終わりを求めている訳ではありません、今回は細かいところがいろいろとよくできていないのです
それと悪役は工夫できたはずです
例えばペンギン(ダニーデヴィートなどに演じてもらう)リドラー、ブラックマスク
少しマニアックですがベントリロクエスト(腹話術師なのでアンソニーホプキンスに演じてもらう、ハンニバルレクターよりすごい悪役になってしまうかもしれない)
この一癖も二癖もある悪役たちをジョーカーやトゥーフェイスのように見事に再現できていたら「ダークナイト」の終わりにふさわしい作品だったはずです