劇場公開日 2012年8月10日

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「スタイリッシュなリメイク」トータル・リコール Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0スタイリッシュなリメイク

2017年5月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館

シュワルツェネッガー主演のオリジナル版とはかなり異なった展開を迎えた本作だが、スタイリッシュなアクションと、未来世界の圧倒的なビジュアルでかなり引き込まれる。レン・ワイズマン監督はノスタルジックでクールなビジュアルが好みなのだろう。恐らく手がけた作品の中で最も製作費が高いであろう本作で最大限それを発揮している。オリジナル版はポール・ヴァーホーヴェンという中々の鬼才がメガホンを取り、スター俳優のシュワルツェネッガー主演という巨塔が2本立ての、どこかマニアックでブラックなSF大作であり、それを超えるインパクトというのは中々困難を極めるだろう。

しかし、過去のSF作に通ずる描写や、当時の最先端技術で映像化された物はSFファンとしては満足のいくものだった。コロニーの世界観はまるでSF映画の金字塔、「ブレードランナー」の様だし、移動式エレベーターを利用したアクション等はスティーヴン・スピルバーグ監督の「マイノリティ・リポート」のオマージュに思える。ファンには分かるニヤリと出来るポイントを押さえた部分は非常に好みだ。

前作の最大の見せ場は火星に行くという展開だったが、本作の舞台は地球。その代わりになるのが富裕層が貧困層を支配下に置いている象徴として、フォールと呼ばれる乗り物が出てくる。これは貧困層が地球の反対側に住む富裕層の住む場所まで20分位で行ける通勤時に使う移動手段だ。このアイデアは中々良いと思うし、コアの近くを通る際の重力反転を利用したアクション等、とにかくどこを切り取ってもカッコいい。残念なのが前作にあったアドベンチャー精神と、鼻の穴からゴルフボール大の発信機を取り出す様なブラックユーモアが本作では皆無だという事。このキャストでその様な描写をまた期待する方が間違っているのかも知れないが、なんやかんや時折Blu-Rayを鑑賞しているお気に入りの作品になった。

本編とは関係無いが、初回限定版のBlu-Rayにノイズが入ったり、再生が出来なくなるという被害が相次いでいたようだが、現在はどうなったのだろうか。

Mina