「シアーシャとケイト、次回の共演はぜひ親子役で」ハンナ マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
シアーシャとケイト、次回の共演はぜひ親子役で
幕開きはもっと幼いハンナから始めた方が、16歳に成長したハンナを実感できただろう。
ときにハスキー犬を想わせる瞳の色が魅力的なシアーシャ・ローナン。大の大人をぶちのめす能力を持つハンナを生き生きと演じている。
父親役のエリック・バナに精彩が無く、前半はシアーシャのPVのようだ。カメラを天地360°回転させるカットを挿入したりするから余計そう見える。
それにしても、このカメラを回すのも何度もやられるといい加減にせぇよと思ってしまう。ここぞというときに使ってこそ効果がある伝家の宝刀を小出しにしてどーする。
前半は、森を出て初めて文明社会に足を踏み入れたハンナの戸惑いの可笑しさでなんとか繋ぐ。
後半は、いよいよハンナの秘密が明かされていくのだが、掘り下げが浅い。
度を過ぎた身体能力は許せるとしても、全体にストーリーの上っ面を撫でただけで、ハンナの出生の秘密を語る部分が中途半端でドラマとしての深みがない。
ケイト・ブランシェットがこれまでとはまったく違う、冷徹で非情なCIA捜査官マリッサを演じる。これは面白い。上品で優雅なイメージでひと目お会いしたいと思っていたが、会ったときがこの世の終わりになるという、まさかまさかの展開を見せる。今後の作品によっては、いい者か悪もんか判らなくなる楽しみができた。
手下のアイザックも面白い存在だ。なぜか上下、白のジャージで、ハンナを追い込むときの口笛が妙に耳につく。ハンナとの直接対決がないのが残念。
観る前は、ハンナの実の母親はマリッサというオチを予測したが見事に裏切られる。
おとぎの国に迷い込んだアリスと魔女のごとく、シアーシャとケイトが年齢差を超えた競演で一騎打ちするラスト。シアーシャは背伸びし、ケイトがおとぎ話に付き合うといった風情だ。
やっぱり親子が似合うよ。ぜひ、今度は親子役で共演を。